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保護区SSSーD−921

保護区の施設の中で一番の規模を持つ第一施設では、王族の急な来賓にも備えて施設内に一流ホテル並の宿泊環境が整っている。

国王陛下、エミリア姫は第一施設への宿泊が決まり、身辺の警護を側近と護衛が、第一施設内の警護を警備員と共に第7騎士団が受け持つ事となった。

3人一組の三時間交代で、警護に当たった。

と言っても、急遽決まった警護任務に施設の警備員に割り当てられた区画は物静かなで警護は少々退屈に感じ時が過ぎ夜も更けてゆき、隊員は時折出そうになる欠伸を噛みしめ、眠気覚ましに小声で喋りつつ警護にあたっていた。


「おい。交代の時間だ」

「あ、ハンレス副隊長」

「ありがとございます」

「お前等、暇なのは分かるが、無駄口は感心しないぞ」

「あっ、す、すみません!!」

「実は、今日見たドラゴンの話で盛り上がってしまって」


誤魔化すように苦笑いをする今まで警護をしていた部下の二人。

まあ、無理もない。

SSS級のドラゴンは見たいと願ってもなかなか見ることのできないものだ。任務とは言え、エンシェントドラゴンを見る事が出来たのは幸運と言ってもいいだろ。


「気持ちは分かるが、これは国王陛下直々の任務。気を抜くな」

「はい。申し訳ありません」

「あの・・・・ハンレス副隊長」

「ん?何だ?」

「あの噂は、本当なんでしょうか」

「??噂?」

「ああ、希少性の高い魔獣を狙う密猟者が最近増えてきている。それに近年では、このベルディア保護区を魔獣資源の独占の為の施設だと近隣国から指摘を受けている」

「本来なら今回の施設訪問は控えるべきだったのでは?」

「隊長もそう進言したそうだが、エミリア姫の12歳の誕生日祝いにどうしてもと言われたそうだ」


俺の言葉を聞いて4人の部下は複雑そうな顔をする。


(ん?部下が4人?)


三人1組の二交代警護の筈。

隊長は今、国王陛下に内密で御子息であるオーガスタの現状報告をしに行っている。もう一人の部下は万が一に備え我々に与えられた休憩部屋で待機をしている。


(・・・マークが居ない?)


マークは今朝急に今回の守備任務に参加を強く希望をした新人隊員だ。責任感があり、真面目な隊員だった為、隊長が任務の参加の許可した。


「マークはどうした?巡回にでているのか」

「え、マークなら具合が悪くなったから部屋で休むと」

「は?マークは部屋に戻って来ていないぞ」

「ああ、来る途中でも合わなかったぞ」

「え?」

「は?」


ユージーンと一緒に持ち場に来た部下のジョンとアンディが言うと、ハワードとジョナサンは一瞬呆けた顔をする。


「い、いや、マークの奴、気分が優れないからって30分くらい前に部屋に戻った筈です」

「は?戻って来てないぞ?それに、誰かが一人抜けた場合先に休んでいる組の中から一人交代でそっちに入るはずだろうが」

「え?じ、じゃあマークは何処に?」


慌てるジョンに先輩であるジョナサンがそう言うと、一同が困惑した雰囲気になる。


「ジョン。本当にマークは部屋に戻ると言ったんだな」

「はい!!それは間違いないです」

「俺も聞きました。ハンレス副隊長」


部下二人は焦ってはいるようだが、嘘を言っている様子は無い。


「そうか・・・・・、念のために巡回をする。ハワード、お前はこの事を隊長に報告。ジョナサンは休憩室に向かい待機してるブルーノのと合流、共にマークを捜索。各自、何かあればすぐに通信魔具で報告しろ。ジョンとアンディは俺とマークを捜索しつつ巡回」

「了解」

「了解」

「了解」

「了解」


俺の指示のもと、皆が一斉に動く。


ユージーンは部下二人を連れ、施設内を捜索していると、急にジョンがその足を止める。


「!ハンレス副隊長」

「何か見つけたか」

「いえ、でも何か、」

「何か?」

「シッ、静かに」


ジョンの一言にユージーンは口を閉ざした。

一瞬の静寂、そして、


「・・・・・・・・こっちです!!」


何かを感じ取ったのか、ジョンは走り出し、ユージーンとアンディは後を追う。


(ここは、)


俺とジョンがたどり着いたのは、保護区SSS-D-921。

今日、エンシェントドラゴンを見た洞窟の前だった。


「!副隊長!!あそこ!!」

「!!??」


アンディが声を上げる。

灯が消され薄暗い洞窟の入り口に目をやると、洞窟の入り口付近で4人倒れている。


「おい!?大丈夫か!?」

「・・・・・」


3人は直様倒れている人物の元へ駆け寄る。

倒れていたのは、4人共ベルディア保護区の警備員だった。

ユージーンはすぐに身に付けていた手甲を外し、倒れていた警備員を診る。


「ハンレス副隊長」

「落ち着け、ジョン。外傷は見当たらない。おそらく気絶しているだけだ」

「こっちらも、外傷は無し。気を失っているだけのようです」


他の警備員を診たアンディが少し安堵した風に報告した。


だが、ユージーンはじっと、洞窟の入り口を睨んだ。


「アンディ、お前は直様、通信魔具を使って隊長含む他の隊員、ベルディア保護区警備員をSSS-D-921保護場入り口に援護要請。ジョンと俺は、SSS-D-921へ潜入。中を調べるぞ」

「了解」

「了解」

「よし、行くぞ。ジョン!!」

「はい!!」


場が一気に緊張感が広がり、俺とジョンは臨戦態勢をとり、ベルディア保護区SSS-D-921の中へ入る。


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