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ZONE  作者: 北斗 白
春季大会編
46/46

ep24~見えない痛み~

ZONEは毎週日曜日21時更新です。

今回は物語の都合上文章量が短くなってしまいました。


 笛を鳴らした審判が駆け寄ってきて、虎太郎を弾き飛ばした相手の選手にイエローカードを提示する。だがカードを貰った選手は悔しがる素振りを見せる事もなく、心なしかにやついているようにも見えた。

 

 「虎太郎、大丈夫か?」

 「……あ、あぁ、このくらい全然!」


 本人はそう言っているが、まだ試合が始まったばかりなのに額に尋常な汗を浮かべていて、虎太郎が隠すように抑えている足首は見てわかるくらいに腫れあがっていた。

 僕より遅れて到着した奏真が、恐らく僕と同じことを思ったのか、ベンチの方に振り向くと両手を目立つように高く上げて人差し指をくるくると回す選手交代の合図を監督に指示した。

 監督はそのサインを理解し、虎太郎を一度ピッチの外に出してすぐに選手交代を行った。


 (……虎太郎)


 海聖高校のフリーキックからスタートしたが、奏真が蹴ったボールはディフェンスラインを越えて良いコースに飛んで行ったと思われたが、その軌道を読んでいた相手のゴールキーパーの手に収まってしまった。

 それから攻めては守り、守っては攻めの得点が動かないまま時間だけが経過してしまい、0対0のまま前半終盤に差し掛かった時だった。


 (……みんな、今日調子悪いのかな?)


 ピッチに立つ選手たちの顔を見ると、明らかに海聖高校の選手陣の息が上がってきている。だがそれとうってかわって火花高校の選手達は涼しい顔で走り回っていて、運動量の差が開き始めてきていた。

 今までの前半の間に攻められっぱなしで走らされていたわけでもなく、海聖高校の練習では結構走り回るメニューが多い。しかも最近は砂浜で練習していることによって足腰が普段よりも鍛えられて踏ん張りがきくはずなのに、なぜにここまで息が上がっているんだろう。

 そう考えているうちに、相手の選手がドリブルで海聖高校のペナルティエリアに侵入してしまっていた。


 (まずい……!)


 シュートを打たせまいと氷上先輩がブロックをしにかかるが、もう一人の相手の選手に身体を入れられてしまって動くことを封じられ、そこを見逃さず事を許されずに得点を決められてしまった。


 (……?)


 同時に前半終了のホイッスルが鳴る。疲労で困憊した選手たちはベンチに腰をかけると、がっくりとうなだれてしまった。

 少しの沈黙状態が続くと、氷上先輩が口を開いた。


 「あいつら……わざとやってるな」

 

 自分達の方がサッカーの技術や経験的には勝っているはずなのに前半は上手くゲームが進められず、結局前半終了間際に先制点を決められてしまった。

 何で上手くゲームを進められないのか。それは最後の氷上先輩のプレーで気が付いたが、相手の選手が故意的に周りの選手や審判に気づかれないように「ラフプレーをしている」というものだろう。

 それも質の悪いもので、明らかなスライディングやタックルをするというものではなく、足を軽く踏みつけたり、ひざの関節部分にわざと足をぶつけたりと、知らない内に小さなダメージを積み重ねて最終的にはその痛みのせいで満足にプレーをさせないという作戦だ。

 恐らく氷上先輩が「わざとやってる」と言ったのはこれに関係している。


 「なに下向いてんのあなたたち」

 「……監督」

 「後半からはツータッチ以内でプレーしなさい。負けたら終わりよ」


お読みいただきありがとうございます。分上昇が短くなってしまい、待ってくれていた読者の皆様にお詫び申し上げます。次回もよろしくお願いします。


北斗白のTwitterはこちら→@hokutoshiro1010

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