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ZONE  作者: 北斗 白
春季大会編
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32/46

ep10~桜井劉輝~

春期大会編10話です。申し訳ありませんが、都合により今回は文字数が少ないです。

ZONEは毎週日曜日21時更新です。

 「神代! こっちだ!」


 東堂高校ボールでキックオフし、神代から繋がれたボールを始めとして波のようにこちらのゴールへと押し寄せてくる。

 前半俺たちに良いようにパスを繋がれていた分、後半は流れを変えようと自分たちのペースを作り出そうとする。この辺は流石強豪校と言ったところだ。


 (だが……その流れをぶっ壊す怪物がうちにいるんだよな)


 「……うーん、取れるなぁ」


 「10」の背番号が押し寄せる波からボールを奪う。そしてカットしたボールをすぐさま前線へと繋ぐ。

 チームの危機に駆け付け、騎士の如く救済に導く。流石「フィールドのパラディン」と呼ばれた男だ。ここぞというときに自分自身の仕事を全うしてくれている。


 (……さて、速攻だ)


 風見キャプテンが東堂高校のボールをカットしてくれると予想していた俺を含む攻撃陣は、相手ディフェンスライン近くまでラインを上げていた。

 奏真が核となって自軍全体を指揮していく。東堂高校は今の攻めに人数をかけすぎていたので攻め込むなら今しかない。


 「奏真!」

 「わぁーってるって!」


 密着されていたマークを振り切って一気にゴールキーパー前へと走り込む。

 

 「うぉぉぉ!」

 

 そして奏真から鋭いライナー性のパスをトラップし、そのままシュートの体制に移る。

 飛び出してきたキーパーの脇を通り抜けていったボールはゴールへと向かって行った。


 「カンッ!」


 だが蹴ったボールは惜しくもゴールポストを直撃し、勢いよく弾かれたボールは外のラインを越えていった。


 「……ちっ」


 今日の試合の中で決定的なチャンスを潰したのがこれで二回目となった。奏真の優しさのかけらが一切ない絶妙なパスをトラップしたところまでは良かったが問題はそのあとだ。

 何で自分はこんなにチャンスを生かしきれないんだ。と頭を抱えていると、フィールドの脇から男性の大きめの声が聞こえた。


 「すんません監督、朝飯一時間程食べていたら遅くなりました」

 「何やっとんじゃボケェェ!」


 東堂高校の監督の鉄拳が黒いユニフォームを着た選手の頭を制裁する。いや、冷静に状況把握をしている場合ではない。誰だあいつは。

 

 「な……なぁ、あいつって桜井《さくらい》劉輝《りゅうき》じゃね? 怪我してたんじゃなかったのか?」


 桜井劉輝? ベンチに座っているメンバーたちが、なにやらそわそわし始めている。東堂高校について良く知っている訳でもないが、彼の名前を聞いたのは初めてだ。


 「あ、劉さんじゃん」

 

 少しの間彼を見つめていると、近くにいた奏真が口を開いた。


 「奏真知ってんの?」

 「あー知ってるも何も日本代表で同じだったからなー」

 「そんなにうまいんだ」

 「東堂高校の本当の強さはあの人がいてこそと言っても過言ではないくらいにな」


 奏真と一緒にプレーしていたとなれば実力は本物らしい。それにベンチのそわそわ具合からしてもあの男が要注意人物だという事は明らかだ。

 だが、いくら桜井が上手くてもこちらにも日本代表とそれ同等以上の力を持つ怪物が眠っている。打つ手がないわけではないはずだ。

 東堂高校はミッドフィルダーの選手と桜井を交代させ、桜井をフォワードに上げて神代とのツートップという陣形で位置に着いた。

 俺はこいつら相手に何ができるのか。お手並み拝見という言葉は軽いかもしれないが、実力試しにきつく心の帯を締めた。

お読みくださってありがとうございます。今回はこちらの都合上文字数が少なくなってしまい申し訳ありません。


北斗白のTwitterはこちら→@hokutoshiro1010

お知らせなどは活動報告をご覧ください。

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