58.声が効くんです
何に?どこに?笑
『…という訳で、来週から順次この内容で調査を開始します。よろしいですね?』
はぅ〜…また怒涛の調査攻撃。
何が大変かて?そりゃあんさん!
以前にも何度かあった内部監査。
監査する方は必要な各書類を把握した上に、その内容もきちんと理解していなければ、調査なんか出来ないし、ましてや不正を発見するなんて…。
各部署によって業務内容、必要書類が違うから、調査の度に覚え直さないといけないし…。だって前の調査のことなんて覚えてられないしぃ…。
つまりめんどくさ…
『すみませんね…。うちの問題がこんなことになって』と、私の心内を読み取ったように後ろから声が響いた。
「あ。牧くん。お疲れ様…は、お互い様だね?」聴き馴染みのある声に振り向く。
…この低い抑え気味の声が好きだったりするのよねぇ。とぼんやりと見上げたら。
『…ありがとうございます』
ふぇっ?!
『そんなことないです。自分の不手際の結果、皆さんのお手を煩わすことになったんで…』
あぁ!そっちね!あはは。
びっくりしたぜぃ!私の心の声がダダ漏れてんのかと…。焦った。
エスパー牧くんかっ⁈タイミングよすぎだろっ。
「あ〜その…なんだ。あれだあれっ!え〜っと…その為に出向になったんだと思うわけよ。だから仕事だ!仕事なんだから、当たり前のことをしたまで?気に病むことはないし」と、挙動不審に目線をあちこちに移しながら
…ごまかせたかな?と、ふと牧くんを見上げると、じっ…と私を見つめている目線と絡む。
『…な〜にをそんなに焦ってるんです?…まったくあなたは…くくっ』クスクス…と笑い始めた。
あぁ…いつもの牧くんだね。安心した。
『なんだ。私を心配してくれてたんですね?ありがとうございます。大丈夫ですよ…』
えっ…?あれ?
『声に出てますよ』クスクス…
「いやぁん!マジで?恥ずかし…」
さっきのもかーーっ?!
おぅっ…顔が熱いぜーーー。
ホカホカの頬を両手で挟んで、またもや(見るからに)挙動不審な私は牧くんを見れなくて…不審者バリに慌ててその場を辞した。
『…へぇ。あのトーンの声が「効く」んだ…。ふぅん。今度からこれでしゃべろうかな♪面白いのが見れるし』
クスクス…
思わずでちゃう言葉ってありますよね。「可愛い」「素敵」はよくありますが。「好き」って…男性からしたら声が好きと言われたら嬉しいもんなんですかね?




