閑話4.不思議チャン(サン)て呼ばれますけど、何か?
こちらはご無沙汰更新です。清瀬部長視点です。不思議サンは最後に本領発揮です。どーぞー。
やっぱりな…
『清瀬さん。あの時は、どんな話になっていたんですか?』
…きちんと聞いておくべきだったかな。こいつがこんな苦労するなら…。
普段は人のプライベートに干渉することは絶対しないが、それは今後考え直さないといけないかもな〜。
あ…申し遅れました。
オレは、清瀬雅文と申します。
数年前より“部長”してます。
「あ〜…オレ、あの時詳しくは聞いてないんだ。片野くんの処分だけは聞いたけど」もういいです。と、何も聞かずに所長室(当時は松浦さんだったが)を出たな。
「…おまえも大変だな。依存症に、うつ…か」
大丈夫なのか?何もされてないのか?と、問うたオレは、ちょっと眉をひそめた。
彼女は、普段の表情の豊かさからは考えられないほどの無表情で押し黙る。
『…まあ不発?逃げますから大丈夫です』
と、苦笑しながら言う彼女は少し涙をにじませていた。
片野の不正疑惑に、庇いきれない程度であることを知って…オレは諦めと、責任を感じて、この事件自体へ向き合うことをしなかった。
こいつは、ちゃんと向き合っているんだな…。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「よおっ。がんばってるな。よく売り上げ伸ばせてるじゃないか」
会社の懇親会の席が、居づらくなったオレは、部下たちに囲まれて楽しそうに談笑している彼女を見つけて話しかけた。
『…いや、私だけの力ではないので、皆がんばってくれてますし』と、彼女は立ち上がりながら控えめに言った。
謙虚なのもいいけど、もう少し自信をもてよ。おまえの力量は、上層部にも噂が届いてきてるぞ…。「それでもオレは、おまえの力だと思ってるよ」
噂や評価なんてのは、自信にはならないと分かっている。でもな…
「うん。大丈夫。オレが太鼓判押したんだから」
それは、おまえの周りに集まってるメンツを見れば分かるよ…。
オレが諦めて、向き合って来なかったことに、おまえはちゃんと向き合っているんだな。
先日、樫本さんから報告があがっていた部下の不正事件にも、投げやりになることなく最後まで調査し続けたと…。
最後まで信じていたかった…とこぼしていたことも聞いている。
そんなおまえだから、部下たちは信頼してついてくるんだよ。
自信がない…持てない理由はわかってる。
だけど、今のおまえは、あの頃とは違うだろう?
それでいて変わらずに、他人を信じていられるおまえに、オレは安心してるよ…。
『でも、私はこれで満足してませんからっ。がんばりますよーっ』と、握りしめた手を見て言った彼女のそんなところも変わってね〜なぁ、とニンマリ。
うんうん。
「がんばんなよ〜。小出しにしていけよー。まぁ、おまえならマダマダやれるだろーけどなー」
オレも満足せずに前向いて進まないと。
おまえに負けては、いられないから。
じゃあな、とその場を離れた。
さて、オレの落ち着く場所はどこかな…?
フラフラとお湯割をもって徘徊してたら、
『清瀬さん?何してるんです?』と言う聞き慣れた声を聞いた。
声をかけられた方を向いたら、楢山が牧と一緒に立ち飲みしていた。
おう。と、手を挙げて近づくと二人が『誰かお探しですか?』『おかわりもらいましょうか?』と、近くの席に座りながら(もちろん自分たちの席ではない)オレに椅子を勧め聞いてきた。
「あぁ、おかわり頼む」と、楢山に頼んで牧と並んで座った。
『あのテーブルには居づらいですか?』と笑いながら、牧が言ってくるから
「正直、飲んだ気にはならんな。オレの席じゃね〜よ」と苦笑いで返した。
『そうっすか…。樫本所長も、よく言ってますよ』と、酎ハイを飲みながら牧が言う。
「そんなこと言ってると、その内おまえも座るようになるぞ」と、声をかけたら、苦味を感じたような表情で牧が肩を竦めた。
『正直嫌ですけど、あそこに座れるような役職は欲しいかもしれません…』ただで貰うつもりは、ありませんが。と牧は言った。
お…珍しい。楢山が言うなら分かる向上心?上昇志向?を、あからさまに言う牧をみるのは初めてかもしれん。
「へぇ〜、牧くんでもそんなこと言うんだな」と、からかうオレに
『まあ…ちょっと思うところがあるんで…』と、牧が言葉を濁した。
ははーん…これは男同士にしか分からん直感だが、オレにはピンときた。
男なら誰でも上を目指して行く生き物だと、オレは思っている。
男が弱くなったと言われる昨今、それでもここぞ!と思う場面で奮起するのは、“オンナ”絡みだとみた。
「何?結婚したいの?」と、直球で聞いたオレに、ちょっと驚いた表情で牧は『いや…結婚までは考えてませんでしたね〜…』と当惑気味に答えた。
ふーん…。
『はい。清瀬さん芋のお湯割です』と、楢山が戻ってきたので、牧との話はここまでになった。
こいつらも、30代になるイイ歳だし。
結婚も考える時期だよな…。
まっ、いま流行りのできちゃった婚したオレからしてみれば、きっかけなんて、どこにも転がっていそうだけどね…。
ただ、結婚してもお互いフィフティーフィフティーじゃないと。
補い合いながら、高め合える関係性は円満生活に必要だよ。
???
あ…だから、最初の立ち位置から一緒にしたい?
ん?牧が自分より立場が上のオンナを狙ってるのか?
そうかっ!
牧より立場が上………?
…!
樫本さんかっ!
イヤイヤ…。牧やめとけよ。あの人には敵わないから…。
人妻だし。
ポンポンと、牧の肩を叩いて
「牧くん。やめとけ」
イイ娘紹介してやるから、オレが。
と言った時に、牧が不思議そうな困惑した表情になっていたとか。
はい。不思議サン発揮ですね〜W。ちなみにお気づきの方もおられるかもしれませんが…太陽の王子登場と共に、隠すなら〜とリンクしてます。




