第73話 家
私は、家へと向かっていく。
お母さんと立ち向かえるのか今も心配だ。
恭介君い見栄を貼っちゃったかな、なんて思う。
私は弱い。恭介君を守るためなら動けるのに、自分の事になると途端に怖くなる。
私はもしかしたら、私よりも恭介君の方が大事なのかもしれない。
でも、それって変だ。だって、私は私の肉体で生きているのに、恭介君の方が大事なんだから。
それって良い事なのかな。私に関しての関心が低すぎない?
今だってほら、恭介君を巻き込みたくない気持ちが大きいんだもん。
自嘲して、家に入る。
家の中は荒れていた。私はそのそばを通り部屋の中に入る。
私の家はすっかりと私への関心が薄れている。転校したいというのも、すぐに認めてくれた。
だけど、その理由は学費だと思う。学費が安くなるからと言う事なのだろう。
まあ勿論他の要因もあったのだろうけれど。
でも、転校した後またすぐにフランスに行くとか言い出すなんて、
私はフランスに行きたくないけれど、お母さんはすっかりとフランスに行くことを確定事項にしている。
なんでそんなにフランス行きにこだわるのだろうか。フランスってそんなに
私はフランス語が喋れない。英語も基本的な単語なら話せるけど、ネイティブの人達や、欧州の人と話せるレベルかと言われたら首を振るしかない。
フランス人に通じるようなスピーキング力も聞き取るリスニング力も、言葉を紡ぐ単語力もない。
そもそも、フランスとイギリスは歴史的に何度も対立してきたと、されている。そんなフランス人に対して英語で話しかけたら嫌だろうか。
私に白人の方が中国語や韓国語で話しかけられたら嫌な感じがする。だけど、英語は世界標準誤打。だったらいいのかな。
そこまで考えた所で、私は咄嗟に首を振った。
なんでフランスに行く前提になっているんだろう。
私は日本に居たいのに。
だめだ。体が動かない。
声を絞り上げて話しかけないといけないのに、それが出来ない。
なんとなく悔しく思う。自分の弱さに腹が立つ。
今も、フランス人は家に来ている。
お母さんと意気投合している。
だけど、私に関しては、ただの連れ子としか思っていない。
そもそもなんでフランス人なんだろう。日本人なら、まだやりようがあったのに。
私は、ベッドに寝転がった。あの時のフランスに行くよね、その圧は烈しかった。
私に有無も言わさな様な雰囲気だった。
でも、言いに行く勇気が出ない。
お母さんに転校したいという言葉はかろうじて言えたのに、どうしてこの言葉が出ないんだろう。
私は恭介君と一緒に居たいのに。
わたしは蒲団の裾を強くつかむ。
ひねるように力を込めた。
私は弱い。
弱いよ。
私はベッドに寝転がった。
最近はご飯はお母さんとは一緒に食べない。
カップ麺を食べる事が多い。
私はカップ麺をすする。
上の階から音が聞こえる。お母さんはきっと、フランス人とエッチをしているんだろうな、なんて思った。正直あまり聞きたくない。
親のそんな様子は見たくない。
麺をすする。美味しい。
私はきっと、否定されるのが怖いんだと思う。
これなら恭介君を連れてくればよかった。
いや、と渡曽は首を振った。恭介君に迷惑はかけたくない。
これは私の問題なんだから、私が解決しなきゃいけないのに。
私は恭介君を巻き込みたくなかった。




