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カラオケ屋の店員の声が急に現実に目を向けさせる。まるでサザエさんのエンディングテーマのように。
要は"終わり"ということだ。
気持ちは結び付きを強くした。だけど…現実にリコのことは何一つわからないし、明日の約束さえまだできていないんだ。
…そして、あの画像のことも。
お互い何かを意識したのだろう。ふと視線がぶつかった。
「これから…どうする?」
『あなたはどうしたい?』
そんな風に聞くから、思わず本音で、まだ一緒にいたいよ、と素直に言ってしまって、照れた。
それは彼女も同じだったようで、透けるような白い肌がほのかに赤味を増した。
『じゃあ…あなたの家に行ってもいい?』
「うち?」
…一瞬の間に思考を巡らせる。そこまで信じていいのか?家を知られた途端に…変なダイレクトメールとか届たりしかないだろうな?
そういえば…パソコンの電源は落としただろうか?もし、そうでなければ…アウトだ。
『嫌なら別にいいのよ』
本当に人の扱いが上手だと感じた。そう言われて、嫌だと言えるのはアメリカ人くらいだろ?
「いいけど…少し玄関で待ってもらってもいいかな?汚れてるからさ」
『ん?じゃあ手伝うわよ』
…なぜか冷や汗が出てくる。背筋に嫌なものを感じた。
「さすがにそこまでじゃないよ」とうまく切り返したが、不安は更に増した。それは疚しい気持ちなのか、それとも…彼女は家の何かを狙っているのか。
『わかったわ。じゃあ行きましょ』と腕を絡ませる彼女の笑顔の奥には、何が潜んでいるのだろうか…?
タクシーで駅まで戻り、電車に乗り込む。幸い、年末ということもあり、二人分の座席は確保できた。
「何だか不思議な気分だよ」
『何が?』
「二人でこうして家に向かっているのがさ」
『えっ?どうして?』
「リコとこんな風になるなんて思ってもみなかったからさ」
『…それはあたしもだけど、こうして一緒にいるんだから、それを信じなきゃ、ね?』
「ああ、そうだね…」
ガタンゴトンと揺れる電車。毎日のように見慣れた景色も、リコと二人ならまるで違って見えたんだ。だから…なおさら不思議だったんだ。
電車を降り、途中で寄ったコンビニの買い物袋をぶら下げて、家に向かう。
俺の左手と彼女の右手は重なったまま。
こんな形の出会いじゃなければ…疑わずにすむのに。
そう思いながら、カギを挿した。




