表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした  作者: よぎそーと
その3

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/93

20話 こうなったら使える手は何でも使っていく

「オッサン……」

「…………」

「どうしろってんだよ」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「まあ、どうにかしてやってくれ。

 俺からも頼む」

「おい……」

 ヨシフミと周旋屋のオッサンは、朝っぱらから心温まる会話を繰り広げていった。



 サキがやってきた翌朝、受付まで出向いたヨシフミは、昨夜の事でオッサンと向かい合って話しをしていた。

 もともとオッサンが気を利かせて、人を入れてみないかと言ってきたのが始まりである。

 それがまさかこんな面倒を押しつけられるとは思ってもいなかった。

 相手が既に別の集団にいるというのはまだ良い。

 だが、それが問題の多い赤布旅団であるとなるとわけが違う。

 簡単に引き抜くわけにはいかない。

 そんな人間をわざわざ紹介してきたのだから文句の一つも出る。



「まあ、確かにそうなんだが」

 オッサンもそれは承知してるようであった。

「だがな、お前以外に頼れそうな奴もいなくてな」

「俺だって無理だ」

「かもしれん。

 だが、他の者だともっと無理だ」

 それは感情を抜きにした冷徹な判断ではある。

 受付のオッサンが知る限りにおいて、こういった難題に取り組める能力を持ってるのはヨシフミだけだった。

「お前は今まで色々こなしてきたからな。

 智慧が回るというか、機転がきくというか。

 突拍子もない思いつきをするが、それで事態が好転した事もある。

 そこを見込んでだな……」

「無茶言うな」

 相手の言葉を遮ってはっきりと言う。

「簡単にできるわけないだろ」

「そうだろうな」

 オッサンはあっさりと認めた。

「だが、お前ならどうにか出来るんじゃないかと思ってな」

「買いかぶりだ」

 評価してくれてるならありがたいが、過大評価は困る。

 それに、評価してるふりして上手く利用しようとしてるんじゃないかとも思っている。

「しかしな、それは別にしても放置しておいて良い問題でもなくてな」

「どういう事?」

「さすがに目にあまる。

 このままでは、他の者達にも迷惑がかかる。

 げんにそういう事も起こってる」

 同業者でも必要以上に接触を持とうとしないヨシフミは知らない事だった。

 それもあり得るだろうとは思ったが。

「どうにかして手を打てないかと思ってな」

「それで、俺かよ」

「そういう事だ。

 募集の事を聞きに来たら、良い機会だと思ってな」

 いい迷惑だった。

 だが、そういう事なら無視する事も出来なかった。

 他に迷惑がかかってるなら、そのうちヨシフミにも何らかの影響があるかもしれなかった

 そうなる前に面倒の原因を潰しておきたい。

「出来るかどうか分からんけど」

「やってくれるか?」

「協力してもらうぞ」

「もちろんだ」

 いつになくオッサンは力強く頷いた。

 それが案外あてにならない事をヨシフミは経験上よく知っている。

 だが、それでもオッサンの力を借りる必要がある。

「それじゃあ……」

 とりあえず思いついた事を口にしていく。

 上手くいく保障はない。

 だが、やらないでいるよりは、やるだけやってみようと思った。

 失敗するにしても、挑戦して駄目だったという方がまだ諦めがつく。

 もちろん、成功させたいとは思ってる。

 でなければ、死ぬ事になるかもしれないのだから。



「でも、いいんですか?」

「なにが」

「町にいなくて」

 そう言いながら、荷車を引いてるヨシフミについて歩いていく。

 二人は今、町から外に出て再びモンスター退治に向かってる途中だった。

 サキの事とその対策をしてる最中にも関わらず。

 アヤが心配するのも無理はない。

 だが、ヨシフミは「いいの、いいの」と気にしていない。

「俺がいたって大して役に立たないよ。

 今はオッサンやサキに頑張ってもらわないと」

「でも、何かあったら」

「あったらあいつらでどうにかしてもらうさ」

 非情と思えるほど突き放した言い方をする。

「でなけりゃこの先、何にも出来やしない。

 俺がいなけりゃどうにもならないってんなら、もう最初から駄目って事だ」

「そうなのかな」

「そうなんだよ、多分な」

 ヨシフミとてそれで良いとは思っていない。

 しかし、言ってる事が間違ってるとは思っていなかった。

 実際、今の段階でヨシフミがいてもやる事がない。

 各所への働きかけはヨシフミよりもオッサンの方が適任である。

 こればかりはヨシフミには出来ない事だ。

 相手に怪しまれずに様々な人間に接触出来るのは、周旋屋のオッサンにしか任せられない。

「赤布旅団の中の事は、サキにやってもらわなくちゃならないし」

 同様の事は別れ際にサキにも頼んでいる。

 もし本気で抜け出すつもりなら、それくらいやってみろと。

 これも外部の人間では出来ない。

 かなり難しいだろうが、内部に人間がやらないとどうにもならない。

 その両者が上手くいったならヨシフミがどうこうする必要すらなくなる。

 また、それらが成就するには時間がかかる。

 その段階で町にいてもやる事がない。

 稼いだ金がすぐに底をつくだけだ。

「俺達がやらなくちゃならないのは、他人の世話をやく事じゃない。

 自分の稼ぎを作り出す事だ」

 生活していくにも、これだけはやっておかないといけない。

 また、一週間ほど外出してればそれなりに状況も進んでいるはずだった。

 そうなっていればヨシフミにも出番があるかもしれない。

 暇つぶしというわけではないが、モンスター退治に出かけるのは何かと都合が良かった。

「そういうわけだから、しっかり稼ごうな」

「うん、それは分かってるけど……」

 何となく言いくるめられてるような気がして、アヤは素直に返事が出来なかった。

 17:00に続きを投稿予定

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ