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【完結】転生したけどウダツの上がらない冒険者は、奴隷を買う事にした  作者: よぎそーと
その2

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12話 収入源の確保と、収入源の使い道

「じゃあ、回収するぞ」

 そう言ってヨシフミは堀の中に入る。

 ネズミは矢に貫かれて動かなくなってるが、それでも用心をしていく。

 時折、突然動き出して攻撃してくる事もあるのだ。

 確実に倒したと分かるまで油断は出来ない。

 手にしたマシェットでネズミの頭を粉砕していく。

 そこが生命源ではないが、たいていの場合これでまともに動く事は出来なくなる。

 それが終わってから、倒したネズミの死骸を外に出していく。

「ナイフをとってくれ。

 荷車の箱の中にある」

 言われた通りにアヤがナイフを取り出す。

 その間に外に出たヨシフミは、倒したモンスターをひっくりかえしていく。

「これだ」

 その体表にある黒い塊を示す。

「これが核だ。

 こいつを集めて金にする」

「…………」

「倒してから切り取る事になる。

 一度やってみるから見てろ」

 言いながらナイフを受け取り、実際にやってみせる。

 アヤはその手さばきをじっと見つめていった。



 モンスターの生態については不明な部分が多い。

 そもそも、登場から数百年、一方的に襲ってくるばかりで調査もままならない。

 それなりの知能はあるようで、相手が強いと分かれば無闇に襲ってきたりはしない。

 人里などが生き残ってるのはこのためだと言われている。

 彼等も迂闊に攻撃してきたりはしない。

 数が勝ればこの限りではないが。

 そこから分かる事は、智慧があるにしてもそれは相手に勝つ為に用いられてること。

 なので、交渉などは不可能。

 生き延びるには、化け物を根絶やしにするか、相手より人間の勢力が上回ってると思わせる事しかない。

 そんな中で、これらの利用方法が一つある。

 核である。



 モンスターの核は、文字通りモンスターが存在するための中心となる部分となる。

 これを切り取られたモンスターは、核を残して消え去っていく。

 その核であるが、これを魔力の供給源として用いる事が出来る。

 ヨシフミはこれを『MPの塊』といったゲーム的な形で解釈していた。

 また、その用途から『MPを用いた電池』とも考えている。

 何にせよ、これらがこの世界でいうところの魔力という形で取り出せる事ははっきりしている。

 それ故にモンスターは、危険であるが有効な物資の入手手段でもあった。

 冒険者はこれらを採取して売り飛ばす事で生活をまかなっている。



 核に込められてる魔力(MPと言えば分かりやすいだろうか)は個体に寄って差がある。

 概ね、強力なモンスターほど蓄えてる魔力は大きい。

 当然ながら、強力(で魔力を蓄えてる)なモンスターの核は高値で取引される。

 そして、ネズミと呼ばれる最もよく見る、そして最も弱いモンスターでは高が知れている。

 内蔵されてる魔力は最低で、売り払ってもせいぜい三百銅貨前後にしかならない。

 採取しやすいのも確かであるが、それだけに旨みが少なかった。

 ただ、こうして簡単に手に入る事から、駆け出しの冒険者の小遣い稼ぎとモンスター退治の練習になる。

 余談になるが、村や町においても手軽に調達出来る魔力源なので、そこそこ重宝してはいる。

 これらを売りさばいて資金にする事もあれば、魔力を用いる道具の燃料にする事もある。

 その核を切り取る作業を、ヨシフミは手際よくやっていく。

 何度もやってきた事なので、今更しくじるような事はない。

 核の周囲にナイフを突き立て、モンスターから抉りとる。

 それだけで十分だった。

 核を切り離されたモンスターは霧のように消え去っていく。



 核によって肉体を維持してるらしく、両者が分離すると肉体は消え失せる。

 だが、これとは別に心臓や脳なども存在しており、それらが破壊されても一旦は死ぬ。

 ここがモンスターの不可解な所ではあった。

 わざわざ脳や心臓を持ってるのはなぜなのだという疑問が絶えない。

 だが、それらの調査はいまだに進んでいない。

 だいたいにしてそこまで細かく追求しようという者はそう多くはない。

 一部の研究者や好奇心が旺盛な者達以外の多くは、二つの事が分かっていればそれで十分だった。

 核以外にも弱点がある事と、核を切り離す事で確実にモンスターを消滅させる事を。

 心臓や頭を潰せば、まずモンスターは死ぬ。

 その他、大動脈にあたる部分を切り裂けば出血多量で死ぬ。

 骨を粉砕すれば、その部分を動かせなくなる。

 そういった生物的な弱点をもっているという事が、戦う時に重要になってくる。

 また、核を切り離さない限り完全に死んだと言えない事も重要だった。

 そこがモンスターのモンスターたる所以、怪物の面目躍如と言えるかもしれない。

 頭脳や心臓などの重要器官を失っても、核が貼り付いてる限りはいずれ復活する。

 時間はかなりかかるが、核がある限り失った部分も再生される。

 これらは実際に確認されている事実である。

 死体のはずのモンスターが腐敗もせずにいる事を訝しんだ研究者がそれを調べている。

 それらは数十日という時間をかけはしたが、破壊された組織や部位を再生させ、再び活動しはじめたという。

 それ故、体の一部を損壊したための死を仮死と呼ぶ事もある。

 核を抜き取らない限りモンスターは死なないのである。



 その核を取る事で、確実にモンスターを死においやる。

 抜き取った後の核は無害だと言われている。

 これらからモンスターが再生したという話は無い。

 まだ確認されてないだけかもしれないが、核だけになってしまえば害を及ぼす事は無いという。

 あとは魔力装置の動力として用いられるだけである。

 魔術を用いる者達は、自分の気力などを用いる代わりに核の魔力を用いる事もある。

 そうして用いられた核は魔力が尽きたら消滅する。

 これが、いまだどのような影響を及ぼすか分からない核の、おそらく最も効率的な無害化の手段であると言われてもいた。



「ま、こんな所だ」

 二回ほど核の切り取りをやって見せたヨシフミは、ナイフをアヤに手渡す。

 受け取った方は、真剣な顔で頷いてモンスターに向かっていく。

 刃を突き立て、核の周りをえぐり、目的のものを切り取る。

 指先ほどの大きさしかない核のこと、それ程難しくもないが初めてとあれば少しは時間がかかる。

 コツを掴むまで時間はかからないが、三匹のネズミから核を抜き取るのにかかった時間はヨシフミより遙かに長い。

 それでも確実にこなしたアヤを見て、ヨシフミは満足した。

「これから核をとるのを頼む事になる。

 俺は戦闘に集中するから、お前はその間に核をとってくれ」

 それだけでも大きな違いになる。

 一人で作業をしてると、これに時間をとられる事がある。

 それに、作業をしてる最中はどうしても無防備になる。

 奇襲されないよう周囲に気を配れるようにしておきたかった。



「でも、核を戦闘中に壊す事もある。

 そうなったらどうしようもないけどな」

 苦笑しながらそんな事もいう。

「核の場所が一匹ごとに違う場合もある。

 狙うつもりがなくても、核のある場所をやっちまう事だってある。

 そうなったら儲けは無くなるから、そうならないようにな」

「はい」

「と言っても、こればっかりは運だ。

 どうしようもない時だってあるから、そうなったら潔く諦めよう」

 モンスターを相手にする場合、こういった問題もある。

「あと、どうしても手強いモンスターを相手にする時は、核を狙え」

「……いいんですか?」

「あまり良くはないな」

 顔をしかめながら答える。

「それでも、命を無くすよりはいい。

 殺されたら儲けも何もない。

 儲けより命を大事にしろ。

 そうすりゃ、この先儲ける事も出来る」

「はい……」

 命がけの仕事なのだという事をあらためてアヤに実感させる言葉だった。

 20:00に続きを投稿予定

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