うつとぼく20
猫島へは1日に2便だけ出ている定期船で訪れる。帰りは夕方の1便のみだ。ぼくらは夕方のチケットを購入し、船に乗り込もうと一歩踏み出す。うああ。揺れる。もうだめだ。船酔い確定。沈没もする。うああ。‥喚いていても仕方がないので大人しく船に乗り込むと、船内にあるテレビで昼ドラが流れていた。事情聴取されている占い師が胡散臭すぎる。こいつで確定や!といったところで船が動き出した。すかさず目を閉じるぼく。このまま到着までやり過ごそう‥。
ふーーっ。なんとか耐え切った。30分くらい経った頃、やっと船は猫島へ到着した。眠ることができたので、船酔いせず渡り切ることができた。もちろん沈没はしていない。上陸するとまず目に入ってきたのは猫を大量に従えたおじさんだった。満遍の笑みで猫に餌をやっている。‥ん?おかしくない?既に島にいるのって。1便目って朝8時だぞ。お手洗いも食堂もないこの島に朝から?現在の時刻は15時を回ったところである。‥だんだんとあの笑顔が狂気に満ちたものに見えるようになってきた。これ以上考えるのはやめておこう。迷宮入りや。
島には猫が数十匹暮らしていた。あまり良い飼育がされていないようで、毛並みはぐしゃぐしゃ、目ヤニも多く、中には失明している猫もいた。が、猫は猫。かわいいものはかわいいかった。たくさん写真を撮った。ぼくは動物が触れないので遠巻きに見ているだけだったが、T君は猫じゃらしを持参して戯れていた。しばらくすると猫にも飽きてきたので島を探検することにした。昔は人が住んでいたようで、廃墟になった建物が点在していた。T君は怖いもの知らずだったが、ぼくはなんだか気味が悪かったのですぐに切り上げ海岸を散歩した。海はいいなぁ。寄せて返す波の音を聞きながらしんみりとする。あの鳥のように会社のことなど気にせず飛び回っていられたらどんなに良いか。まぁ鳥には鳥の悩みがありそうだけどもね。




