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分岐点  作者: 有智 心
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∞∞番外編∞∞ 恋しちゃいました

 私の名前は珠子。

 最近引っ越して来たばかりで町内の事はよく知らない。

 …………えっ、年齢?

 女性に歳を聞くなんて失礼よ。

 ……まぁ、お年頃って言っておくわ。


 私、散歩するのが好きで、新しい町をゆっくりと景色を見ながら歩いていたらね……出会ってしまったの素敵な男性に…道ですれ違った瞬間一目惚れ。


 …………恋しちゃいました。


 振り返って彼の後ろ姿を見つめていたら一軒の家の中に入って、思わず走って門の前まで行ってしまったわ……


 表札には【折出】……下の名前はなんて言うのかしら?

 出来るならインターホンを押して彼の名前を聞きたい……でもそんな事したら気味が悪いと思われちゃう。

 ストーカーだと勘違いされたら生きていけなく成ってしまう。


 ……あら? 話し声が聞こえる……私、耳が凄くいいの。


「お帰り〜航太。」


 〝航太″……航太さんって言うのね。

 素敵な名前……でも、今の声……女性と一緒に住んでいるの?…奥さん?


 ヤダ……不倫は出来ないわ。


 もう少し奥の方を覗いたら見えるかしら?

 ……はしたないけど失礼させて頂くわ。


 なんだ…子供じゃない……良かった。

 ……ンン?

 航太さんの子供!

 如何しましょう、やっぱり結婚しているのね……ショックだわ。


 あら…人が来た。

 いつまでも此処で覗いていたら変に思われてしまう。

 今日はこれで帰る事にするわ。


 …あぁ……今夜は眠れないかも。




 ◆◆◆




 あれから航太さんの家の前が散歩コースになって、その前に来ると足どりをゆっくりとして、人の気配があると立ち止まり中をそっと伺うの……言っとくけど決してストーカーじゃ無いわよ。

 でもそのお陰で嬉しい真実を知れたわ。

 航太さんは独身で、子供は一緒に住んでいるお兄さんの娘って事が……やったわ、不倫にならない。


 あんなに素敵な人だから恋人がいるかも知れないけど、そんなの関係無いわ。

 結構自分に自信が有るの……色白美人で、スタイルだっていいわ。

 ……えっ?自信過剰じゃないかって……本当の事だから仕方ないと思うわ。


 でも……少し目障りなのが姪っ子の夢……いつも航太さんにベタベタして感じが悪いの……名前も気にいらない。

 全然似つかわしくない名前だわ。


 えっ…子供に嫉妬するなんて大人気ないって……そうね…そうよね。

 これは大人の女性として広い心を持たなくては……


 どなたか知りませんが、御忠告ありがとうございます。


 ……そう言えば凄い事に気付いてしまったの。

 昨日、ママと一緒にTVを見ていたら、何のCMだったかしら?……まぁ、そこはいいわ。


 航太さんが出てたの、私驚いてしまって思わずTVに近付いて魅入ってしまったわ……普段とは全然違ってて……2度目の一目惚れよ。


 CMに出るようなタレントが近所だったなんて……でも如何やら周りの人達はタレントだって知らないみたいなの、きっと何かわけがあるのね。

 ……秘密なんだわ…だから私誰にも言わないの、2人だけの、ヒ・ミ・ツ……あぁぁ、なんて甘美な響きでしょう。

 私だけが知っている秘密……フフ…やだ、顔がにやけてしまう。


 ……今日は家に居ないみたい……残念だけどソロソロ帰らないと……


 明日は会えますように。




 ◆◆◆




 今日も航太さんの家の前……あら、いい匂いがする。

 ちょっとはしたないけど鼻を……クン。

 中華?……これは、チャーハンね。

 門から少しだけ首を伸ばして覗いたら、今日は天気が良いからかしら縁側に座って美味しそうに食べてる。


 ……あぁ、隣で食べたい。


 …!!……目が合っちゃった!

 首を慌てて引っ込めたけど……

 如何しましょう……中を覗いてる変な女だと思われたかしら?


 もう1度そっと首を伸ばしてみたら……こっちを見てるうぅぅぅぅ……

 恥ずかしい。

 私、身を翻して逃げてしまったの…ちゃんと御挨拶出来なくてとっても失礼よね。

 ……落ち込んだわ。


 2日程航太さんの家は散歩コースから外したの……だって、又目が合って変な女だと思われたくないし……でもね我慢出来なくて3日目、家の前まで行ったら、又縁側でランチタイムを楽しんでいたのよ。


 やっぱり素敵!

 毎日会いたいと改めて思ったの……そうしたら、凄い事が起こったのよ。

 航太さんが私を見つけて声を掛けてくれたの……


「……この間も来てたよね。

 そんな所に居ないで中にどうぞ。」


 キャアー如何しましょう…如何しましょう……失神してしまいそう。

 とても恥ずかしかったけど、此処で逃げ出したら失礼だし、こんなチャンス無いと思うから……覚悟を決めてゆっくりと門から中へ入って行ったわ。

 1歩進むごとに航太さんの姿が近付いて来て、心臓が破裂してしまいそうだった。


 そして、すぐ前まで来たら…〝どうぞ″…って言って私を隣に座らせてくれたの…もう、夢の様な時間だった。


 帰る時には、〝また、おいで″…って……

 私恥ずかしくてただ頷くだけだった。


 でも、それからは私も少しだけ図々しくなって、家の中まで入れて貰える様になったの……

 航太さんとティータイムを楽しむ仲にまでなったのよ。

 もう世界一幸せな女よ私は……

 これが一生続けばいいと願ったわ。


 …………でもね…幸せって続かないものね。

 別れは突然やって来るの……つむじ風みたいに……


 ある日の午後、航太さんとティータイムを楽しんだ後、とっても眠くなってしまい不覚にもソファで寝てしまったの……


 気持ち良くソファで横になっていたら、何だかフワリと宙に浮いている感じがして……


 あら?

 ……もしかして…こっ、これはお姫様抱っこをされているのでは?

 ドキドキしながら、しっかり閉じていた目を少し開けてみたの……


 …………此の世の終わりだった。


「ねぇ、航太、何でこんな所で寝てるの?」


 ヒッ!!……ガキんちょ!


 私は姪っ子夢に首ねっこを掴まれ持ち上げられ、無様な格好を航太さんの前に晒された。


 私は両脚をバタつかせもがいて、その手から逃れ華麗に着地すると……


  〝フシャー!″

  と威嚇した。


「夢……気持ち良く寝てたのに起こすから、怒っちゃたよ。」

「どこの猫?……野良?」

「違うと思うよう。ピンクの首輪してるだろ……ほら、此れで遊んでやって、喜ぶから……」


 航太さん……そっ其れは私の大好きな猫じゃらし……やめて!……この娘に渡さないで!

 貴方との楽しい時間を過ごすアイテムなのに、駄目ぇぇぇ……


 あぁ……渡してしまった。


 でも、絶対のらないわっ、…よっ!

 どんなに、チラつかせたって…はっ!


 ……中々やるわねぇガキんちょ。


 むっ!……えい!……ニャァ!


 ……誘惑に負けてしまった…許して航太さん…身体が勝手に反応してしまうの。

 こんな私を嫌いにならないでね。


 ああぁ……楽しいぃぃ……ニャン。



 …………これが、私の進む道?



分岐点はこれで完結です。

如何だったでしょうか?

初めて小説でまとまらない所もたくさんあると感じているのですが、今の私の精一杯を文章に表現しました。


18話の本編で終了の予定でしたが、オマケで19話を書いて遊んでみました。


拙い文章ですが、楽しく執筆できた事が最大の喜びです。

分岐点が完結して少し寂しく思うのですが、新作でまたお会いしたいと思います。


読んで下さった方、有難う御座いました。

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