第27話
サクラ視点です。
月日が流れるのは早いねぇ。うんうん。
あ、いきなりごめん。
今日は7月の第一月曜日。
だってもう7月だよ!
4月にこの世界に来て、3ヶ月も経つんだよね。
なんかあっという間だなぁ。
この3ヶ月は、イベントして好感度あげたりとか、リオンとおしゃべりしたりとか、クラスメイトとおしゃべりしたりとか、勉強したりとか…してた。
やっぱり勉強が一番大変だったよー!
みんな頭良すぎ!
国語とか数学は復習だから、結構自信ある。歴史だってリオンがずっと傍で教えてくれてたから、なんとかわかる。
瞑想が問題なんだよ!
瞑想はセンスの問題だから、勉強したから上手くなるってものでもないし。てかテストが鬼畜過ぎ!
“自分の魔力をコントロールして、先生に送りましょう”って無理です先生!
リオンが、練習付き合おうか?、って言ってくれたんだけど、こればかりは申し訳ないから断った。
私が問題を解いている間リオンは参考書とか見てて、私だけじゃなくてリオンも勉強してるんだな、って勉強してるときは思える。
でも、勉強だけでもこんなに面倒見てもらってるのに、こんなことまでつき合わすのはさすがに引け目がある。
こればかりは魔力を受けるだけでリオンには一銭の得にもならない。
本当は勉強だって自分一人でできなきゃいけないはずだし、この程度で弱音を吐いている場合じゃないのだ。
そう、少なくとも本物は一人でやっていたはず。
リオンが、断られてちょっと寂しそうにしてて心の中で土下座した。
ごめんね、リオン。
って、授業中なのに妄想しちゃった。
今の今勉強がんばろって思ってたところなのに。
周りを見ると、私が授業中にぼけっとしてたことには気づかず、女子たちが頬を染めて教壇を見ていた。
「かっこいいわぁ…。あの方、以前別の女性を口説いていたそうよ。」
「ええっ!あの方のお眼鏡に適う方がカレン様以外にいらっしゃるの?」
「見た者がいたらしいわ。食堂で熱心に、自分の元へこないか…と仰られていたそうですわ。」
「いや~ん、羨ましい!!」
「しっ。声が大きいですわ。せっかくレイジ様の授業を受けられるのですから、悪目立ちするようなことはやめてくださいな。」
「はっ…も、申し訳ありませんわっ。どうか嫌いにならないで下さい…レイジ様…。」
私の前の席に座っていた女子2人がひそひそと話していた。
ここは広い教室で、レイジとの距離は結構ある。2人の会話は聞こえないだろうが…。
「そんなに身を寄せ合って話してたらばればれなんじゃ…。」
可哀想なので2人には聞こえないように呟いたけど、隣にいたリオンが苦笑してたから、私の呟きは聞こえていたみたい。
うっ、ちょっと恥ずかしい…。
今日は7月に会えるレイジ・エイストフ、魔術師との出会いイベントだ。
レイジはこの学院からは少し離れた、王宮近くにある魔術師団本部にいつもいる。
強いて言うなら、魔術師団本部の地下研究室なんだけど。
週に1回、この時間だけ研究室からこっちに指導に来てくれるんだ。
7月からカリキュラムの関係で、瞑想で培った魔力をレイジの指導によって少しずつ魔術として実体化できるようにする、ってゆう授業が始まる。授業の名前は「魔術指導」。うん、まんまだね。
改めて考えてみたけど、私って魔力があるんだよね。
ここにきたらいきなり入学式だったから、そんなこと考える暇もなかったんだけど。
なんの属性に適正があったかな…。
ヒロインの魔術って使われるシーンがほとんどないから、あんまり覚えてないんだよね。
でも確か治癒術が使えたはず。
私の場合、属性を持たない特殊なタイプだったんじゃなかったかな。
特にバッドエンドとかね…あのときはすごい活躍して…うん、やめよう。
なんかテンション下がってきた。
とかなんとか考え事ってゆう妄想をしてたらそろそろ授業が終わりそう。
今日はオリエンテーションだから、聞いてなくても大丈夫かな?
「では今日はここまでにします。来週から授業を始めるので、教科書を持ってきてください。」
とレイジが言ったのと同時に教室の女子たちが立ち上がり、レイジに群がり始めた。
「す、すご…。」
あの群がりようじゃ近づけなさそう…。
一応、授業後に会話する、ってイベントだったはずなんだけど。
うーん。イベント起こせなさそう。
私としてはシナリオ通りに進めたいし、イベントを起こしたいんだけどな…。
「サクラもあの先生に聞きたいことあるの?」
隣にいたリオンは私の考えてることを見通したように言った。
リオンはなんでもないように言ってるけど、心なしか悲しそうに見える。
…授業を聞いてないのがばれてしまったの、か…!?
「う、うんとほら、私の適正とか聞きに行こうかなって…。」
は、話ちゃんと聞いてたよ…!
「それについては来週やるって言ってたよ。」
少し困ったようにリオンは眉尻を下げた。
というかなんか呆れられてる?
ちゃんと聞いとけよ、的な?
うっ…胸が痛い。
「うっ。だって…。」
じ、事情が…。
「サクラが行きたいなら…いいけど…。今は女子たちがまだいるから、人数減ってから行ったら?」
最初の方は小声で言われて良く聞こえなかった。けど、確かにまだ女子たちが群がっているのでもう少し待つことにした。
「レイジ先生!」
教室を出てすぐのところでレイジに声をかけた。
気づいた彼はすぐに振り向いてくれた。
人のよさそうな笑み。悪く言うと少しちゃらそうだ。
「どうかしたのかい?授業は来週だよね?」
「っはい!そうなんですけど…。」
やばい。なにも考えてなかった。
シナリオではなんて言ってたかな。
「ちょっと手貸してもらえる?」
レイジはそう言うと私の手をとった。
そうだ。こうやって手をとられて…。
「君結構魔力持ってるよ。魔術師団にも入れそうだ。」
そういうと私に微笑みかけた。
「か、からかわないでくださいっ!私にそんな魔力…。」
確かこんな感じ。手に触れられてヒロインは恥ずかしがるのだ。
「あるよ。強い魔力を秘めてる…。君も…。」
魔力を感じとっているため焦点の合ってない目でそう言われる。
そこで、あれ、と思った。
君も、ってことは私以外にいるんだろうけど、なんだかしっくりこなかった。
カレンの可能性もあるが、幼馴染で長い付き合いの彼女の魔力を“秘めている”、というのはおかしい。
彼女の能力はすでに開花しているから秘めていない。
それにヒロインの魔力はカレンより強かったはず。
さらにヒロインの魔力は学院でも一番で、強大で特殊な魔力がレイジの気を引くのだ。
私がこの世界に来たから、というのももちろん考えられる。
私がこの世界にいること自体シナリオにないことだし、レイジはもう少し女好きだった気がする。
本当なら、今だって私がレイジの元へ行くんじゃなくて、レイジが私を待ち伏せているはずだったから。
「私はどんな魔術が使えますか?」
握られている手に汗が滲まないかはらはらしながら私は答えた。
迷ったけど、シナリオどおり話を進めることにした。
私以外に強い魔力の持ち主は誰なのか。
シナリオが終わった後、それを聞いてもいいだろうか。
「んー。まだわかんないなぁ。でもちょっと特殊かな?気になるなら、来週の授業はちゃんと聞いててね?」
「っ!は、はい…っ。」
ば、ばれてた。授業聞いてなかったことばれてた!
「じゃ、また来週ね。」
そう言ってレイジは去ろうとした。
「ま、待ってください!」
…行ってしまった。
なんかものすごく急いでいたな…。
「…一応目的は達成したからいいんだよね?」
誰もいない廊下でぴゅーと枯葉が舞った気がした。
ちょっと文章変かもです。すみません。
書き溜めしたので、もう1話更新するかもしれません。




