第2話
たくさん読んでくださる方がいて、嬉しくて投稿しちゃいました!
ぐおぉぉぉ!!
「うぎゃ!」
遠くからだけど、何かの咆哮が聞こえたよ…。
ラ、ライオンかなぁ…。
ライオンってアルプスにいるのか?
そう思って辺りを見回してみたけど、煙でよく見えない。
でも黄色い鬣は見えなかった。
その代わり、じゃないけど遠くの方で何か黒いものが動いているように見える。
もっとよく凝らして見る。大きな狼に見えた。
100メートルくらい先で家をがじがじしてる。
あ。
私に気づいたみたい。こっちにくる。
「あ、あ…。」
それは、近づくほど私より何回りも大きいのがわかった。
まさに獣、という表現が正しいと思える。
大人のゾウくらいだろうか。ゾウのような大きさなのに、走る速度は狼より速い。
座り込んでいる所為で、尚大きく見えた。
ど、どうしよ…。
怖い。
恐怖で身体が動かないよ…。
「ひっ…!」
喉が張り付いて悲鳴もでない。
出てよ!私の声!
もう目の前に迫っていた。
狼のような顔に大きな耳、目、口、牙が目に入る。
ぎょろりとした目は私を捉え、餌にありつける喜びを表すように、口角が上がっているように見えた。
――そして、私からは獣の牙と、大きく開けた口の中しか見えなくなった。
「危ない!!」
もう駄目だ、と思った瞬間。
牙に触れるまであと数センチ、というところで獣が横に吹っ飛んだ。
…のではなく、私が突き飛ばされたらしい。
私は目を見開いたまま動けなかったけど、誰かが助けてくれた、ということは分かった。
そのあと、あの獣の咆哮がもう一度聞こえて、私の視界から消えた。
たぶん、逃げたんだと思う。
どしんどしん、という駆けていく音が聞こえたから。
「君、大丈夫か!?」
誰かが私の肩に触れた。
そのまま揺さぶられる。
顔をあげて、助けてくれた人を見ようとしたけど、見えなかった。
周りで火が轟々と燃えているせいで、逆光になっているのだ。
「あ、あれは…。」
掠れた声しかでない。だが、向こうは気づいてくれたようだ。
「あれは、魔獣。火の魔獣だ。怖かったな。もう大丈夫だ。」
先ほどの獣――魔獣――は、追い払ったようで、姿はもう見えない。
助けてくれた人は、ファンタジックな甲冑を着ていて、他に人がいないかー、と他の部下に捜索の指示を出している。
よくよくみると、周りには30人くらいの人がいて、皆同じようにファンタジーな甲冑を着て、消火活動、捜索活動を行っていた。
「もう危険はないよ。お家はこの辺かい?」
彼は、隊長、と呼ばれていて、この甲冑団の中でも偉いみたいだ。
私の横に膝をついてくれた隊長様は、ものすごく端正な顔立ちをしていた。
きりりとした眉、するどい眼光、シャープな顎。
釣り目なのが玉にキズ…というか怖いけど、めちゃくちゃかっこいい。
…現実を侮ってましたすみません。こんな人2次元だけだと思ってました。
「え、えと…。」
ちなみに今言葉に詰まったのは、彼がかっこよくて…などではなく、返す言葉が見つからなかったからです。はい。
そもそもここはどこ?ってな話なのですが。
「孤児か?行く宛てはないのかい?」
「い、いや…。」
なんて言えばいいのでしょう。
てゆうかあなた誰?
「放心してるのかな…?街で引き取ってもらうか…。」
隊長様は呟くと、どこかへ行こうとした。
私は、思わず彼の服の袖を引っ張り、引き止めた。
無意識に引っ張っていたようで、自分でもびっくりした。
でも、もっと驚いたのは、自分の口からでた言葉だった。
「私を弟子にしてください!」
普通はこんなこと言わないもんですかね…(汗