第3話
後悔先に立たず。
この言葉の意味を身を持って理解した。
さっきまで私がいたところは、ハツカ村という村だったそうで、首都から離れているらしい。
首都、っていったら県庁所在地みたいなものなのだろうか…うーむ。
ちなみに甲冑を身に着けたファンタジックなお兄さんたちも首都から来たそうで、私が襲われたあのめちゃくちゃ怖い獣――魔獣だっけ?…を倒しに来たという。
そこで、たまたま私が居合わせたわけなんだけど。
てかここ日本じゃないね☆
ハツカ村ってどこだよ、と深くふかーく突っ込みをいれたい。
まあ、あんな危ない動物がいる辺り地球じゃないことはわかるけど…。
聞いてみたところ、案の定「この国はバルテッタ王国だよ」と聞いたこともない名前が騎士さんたちから発せられた。
バーレット10世が治める王国で、他国と比べても大きな領土を誇り、農業、漁業、林業、商業…と治安や経済は安定し資源が豊富であるという。いい国なんだね☆
私には何がなんだかわからなかったよ。
もしかして今流行りの異世界トリップというやつなのか…。
普通に考えてあんなところに放り出すなら、チートの一つや二つくれてもいいじゃんと思わなくもない。
実際、手の平かざしてみたり、厨二病的な台詞を言ってみたりしたが、私が恥ずかしい思いをしただけだった。
なんであんなところに隊長がいるんだよ!
私に初めて声をかけてくれたイケメンは、やっぱり騎士団で皆をまとめる役だった。
実際の肩書きは、何とか団“団長”らしいが、みなさんから“隊長”と呼ばれていて、私もそれにあやかってる。
ああ、また脱線した…。
まあお分かりの通り、チートな能力があることを願って、執念の様なものを発し続けてたら、視界の端で団長が驚いた顔で見てました。
ええもうそれは驚愕の顔で。
穴があったら入りたい、これも身を持って理解できましたよ、ええ。
私を見た隊長は、故郷を失った悲しみだと理解してくれたようで、変人扱いは免れ何とか安心。
まあ家に帰りたいという意味ではある意味合ってるし。
この世界は怖いけど、冷たい世界ではない気がする。
騎士団の人は優しくて、ハツカ村を失ったって思われてる私に対してみんな労わってくれる。
でもここは、私が生きたい世界じゃない。
私が生きたい世界は、穂村秋夫ってゆう父がいて、穂村春子ってゆう母がいて、穂村冬哉ってゆう憎たらしい弟がいるあの家と、大切な友達がいるあの世界だ。
実際、戻れないかもしれない世界を夢見るより、この世界を楽しんだ方が余程合理的で利口なのかもしれない。
…でも、そう割り切れるほど私はできた人間じゃない。
たとえ、10年20年戻れなくても、50年先になったって私はあの世界を探すよ。
だから、どんなに辛くても――――。
なんだかんだで3日ほどかけて、首都バルタに着いたけど、次の日にはなぜか団長が率いる騎士団に入団させられ、筋力トレーニングが始まった。
ちなみに今日で一週間。
確かに「弟子にしてくれ」と言った。
だけど本気になさるとは思わないでしょ。
しかも弟子=入団になる理由を是非教えて欲しいわ。
てかなんで私“弟子”なんて言ったんだ!
確かに“助けて”じゃちょっと違う気がするけど…。
私は騎士になりたかったのか!?
違う。私は日本に帰るってゆう野望があって…ううう。
とりあえずあの魔獣やらなんちゃらに殺られなければ、なんだけれどな。
まあでも武器が握れれば、また魔獣に出会っても逃げやすくなるし、いっか。
そういえば名前もちゃんと言ってないし。
…もちろん聞かれたよ?
あの火事場から首都へ向かう途中。
「名前は?」
「…ホムラ。」
私は苗字を言っちゃいました。
なんかさ、真名は言っちゃいけない、とかあるでしょ?
…無い、とは言わせない。
そういうわけでこれから私の名前はホムラになりました。
やばいよ筋肉痛。
人間ってここまで痛くなるもんなんだね。
うん、言葉が変なのは毎日のトレーニングのせいです。
あんなこと言わなきゃよかった…。
この1週間仰向けで眠れなかったよぉ。
そしてあの冒頭の言葉に戻るのでした。
ちゃんちゃん。
読んでくださる方、本当にありがとうございます!
いよいよ騎士になりましたね!
団長のことはたいちょうと読んであげてください(笑




