格好悪い男からの、あまりにも格好悪いSOS
さて、諸君。
ここまで散々、偉そうなことを語ってきた。
独りじゃない。
辛いのは君だけじゃない。
頑張ろう。
ネバーギブアップ。
まるで人生の攻略本でも書いているかのような口ぶりである。
しかし、ここまで言っておいてなんだが。
……少しくらいは、助けてほしいと思っている。
おっと、待ってほしい。
クラウドファンディングか?
集金か?
違う違う。
そんな卑怯なことはしない。
お金の価値なら、誰よりも分かっているつもりだ。
お金とは、自分の手で働き、苦労して稼いでこそ、本当の価値を持つものだと思っている。
誰かの同情を誘い、悲しい過去を並べ立て、その対価として手に入れるものではない。
もちろん、もし誰かが「どうしてもあげたい」と言うのなら、ありがたく頂戴するが。
……いや、何を言っているのだ、私は。
実にダサい。
自分の悲劇を語って気持ちよくなり、そのうえお金まで稼げるのなら、世の中の人間は全員、自分の不幸を出版して大金持ちになってしまうではないか。
そんな都合のいい世界があるものか。
そもそも、そんな世界なら、私がこれまで経験してきた出来事など起こるはずもない。
いやはや、世の中というものは厳しい!
まったく、どうしてこうも現実というものは、物語のように都合よく進んでくれないのだろうか。
……さて。
結局、何が言いたいのか。
お金をください、という話ではない。
いや、もちろん生活が楽になれば嬉しいのだが、今はそういう話ではない。
どうか、この話を聞いて笑ってほしい。
そして、もし面白いと思ってくれたのなら、友達にも勧めてほしい。
「なんだこの変な物語は」
「主人公、ちょっと面倒くさくないか?」
「最後まで格好つかないな」
そんな感想で構わない。
むしろ、そう言って笑ってもらえたなら、作者としては本望である。
なぜなら、この物語を多くの人に知ってもらうことには、少しだけ大きな意味があると思っているからだ。
この話を聞いた誰かが、子どもの異変に気づくかもしれない。
誰かが、助けを求める声を聞き逃さなくなるかもしれない。
誰かが、自分の子どもに同じ思いをさせないように、少しだけ優しくなれるかもしれない。
そして、いつか。
この物語を読んだ人たちの子どもが、誰にも助けてもらえずに苦しむことのない世界になったなら。
どうだろう。
見事、ハッピーエンドである。
世界平和である。
……いや、さすがに話を大きくしすぎたか。
たった一人の男の、あまりにも情けない人生の話から、世界平和まで目指すとは。
我ながら、なかなかの大風呂敷である。
だが、笑ってくれて構わない。
どうせ私は、格好つけるのが下手な男なのだから。
それでも、どうか一つだけ。
この物語を、ただの不幸自慢で終わらせないでほしい。
誰かの苦しみに気づくきっかけにしてほしい。
誰かが「助けて」と言ったとき、笑い話だと決めつけず、少しだけ耳を傾けてほしい。
そして、もし自分自身が苦しんでいるのなら、道化を演じ続けなくてもいいのだと知ってほしい。
……さて、これで本当に最後だ。
壮大な冒険譚の結末が、まさかの宣伝のお願いとは。
なんとも締まりのない物語である。
しかし、これが彼なりのSOSなのだろう。
格好悪くてもいい。
情けなくてもいい。
笑われてもいい。
誰かに届くのなら、それでいい。
諸君。
どうか、この男の物語を笑ってやってほしい。
そして、できれば次の誰かを救うために、覚えておいてほしい。
**不幸な男の幸福論。**
その最終目標は、たった一人の男が幸せになることではない。
同じような物語を、これから生まれてくる子どもたちに繰り返させないことだ。




