清浄な空気
この地域を担当する管理官はクソが付くほど真面目な男だった。
人間の不正はどんなものでも赦せず、ダメなものはダメ、情状酌量なんて存在しないという考えであった。
効率を重視し無駄なものは一切認めなかった。
作業中の休憩は怠惰だとみなされ、本題に入る前の世間話は無駄口だと切り捨てた。
ある時から作業性の基準を設け、下回った場合サボっていると判定しその人間を処した。
その結果、全体として生産性は向上した、かに見えた。
管理官は基準を下回った約1割の人間を排し、ほぼ全員が勤勉に働くようになった。しかし、今度は残った人間の中から基準を下回る者たちが出始めた。
真面目な管理官は基準に則り下回ったものを排した。やる気があるものだけが残り、担当区に非効率や怠惰なものは居なくなった。これでさらに環境が良くなる、はずだった。
全員が基準より上のものだけを残したのに、またこの中から基準を下回るものが現れた。
基準を遵守する管理官はそのもの達を排した。
日に日に基準を下回るものを排し、疲弊する担当区。次第に生産性はガタガタと落ちていった。
そしてある日、担当区は生産ノルマをこなせなかった。それは誰も基準を上回らなくなった事を意味した。
「これでこの地域は綺麗になりますね」
管理官は真面目な表情で処分のボタンを押した。




