幸不幸バランサー
この天国と地獄が統合された今の世の中で、全生命の幸不幸を数値化し、それらは合計すると零になるように調整されている。俺はその数値を管理する仕事を請け負っている。
こっちの人間は今までずっと不幸だったからそろそろ宝くじでも当ててやろうか。こっちの人間はこのところ調子が良かったから一旦躓いてもらおうか。
なんてことをして世界の幸せと不幸せのバランスを取る仕事だ。
ほとんど自動化されていて、たまにいる溜め込んだやつの処理をするのがメインになっている。
今日も画面に出てくるログを眺めながらのんびりと作業を行なっていた。楽な仕事に少し気が抜けた状態で作業を続けていると、突然けたたましくアラートが鳴った。
慌てて画面を見ると、あまりにも不幸を溜め込んだ人間が表示されていた。どういう訳か人の何倍も不幸な目に遭い今まで生きていたようだ。
急いで埋め合わせの幸せがこの人間に訪れるように操作し、この世の幸不幸がちょうど良くなるように調整出来た。
あのままこの人間に死なれでもしたら全世界の調整が破綻して大変なことになるところだった。危ない危ない。
調整も上手くいき今日の作業は我ながら良くできた。少し運も味方したかもしれないな。
俺は達成感に包まれ気分良く帰路につく。
夜の街をスキップするように歩いて帰る道すがら急に車のヘッドライトに照らされた。
「あ、やっば。今度は俺の番か」




