ひとつの教室
私は片田舎の中学の教師をし、クラスをひとつ受け持っている。全15名の小さいクラスだ。
このクラスはまとまりも良く、いじめや問題なんて無縁でみんな笑顔で学校生活を送っている。
そこに県外からの転校生がやってきた。元々、こんな田舎よりも都会にいた転校生は明らかに派手な存在だった。クラスのみんなも興味はあるが少し警戒しているようにも見える。
それがこのクラスにとって不和に繋がったりしないだろうかと少し不安だった。
しかし、やはり柔軟な思考をもつ年頃なだけあってお互い少しずつではあるが距離を縮めているように思えた。
「ねえねえ、そのノートに貼ってあるシールって今すごく流行ってるってやつだよね? こんな田舎じゃ全然、売ってなくて初めて見たよ! すごい!」
楽しそうな会話が聞こえてきて安心する。転校生からもシールを分けてあげ、ノートを飾ってあげていた。和気あいあいとした空気が広がるようだった。
数日経って、転校生もクラスにだいぶ馴染んできたように感じられる。
彼女のノートだけを飾っていたシールが15人のクラスメイト全員に分けられていた。
「みんなでお揃いなの楽しいね」
そう言いながら楽しそうに笑顔で話し合っている。最初の不安など大人が勝手に想像した思い過ごしだったようだ。
さらに少し時間が経って最初は一人だけ髪型や髪色、服装や持ち物にも少し特徴があるように見えた転校生だったが、こんな田舎だし手に入れられる物にも限りがあるせいか、ある意味落ち着いてきたようだ。
しかし、ある時ふと転校生から相談があった。
「先生。私、転校してきてからクラスに馴染めているかな?」
「もちろんさ。キミが来てくれて以前より結束が強くなったと感じているよ。キミがみんなと同じように笑い合えているのが何よりの証拠だよ」
「そうだよね! ありがとう、先生!」
不安が無くなったのか笑顔を返してクラスメイトの輪の中に入っていった。同じように笑う彼らを見て私も笑顔になる。
そうさ。馴染めていないなんて思う必要なんてないんだよ。
このクラスは特別なテストケースとしてカリキュラムが組まれているから大丈夫。プロジェクト『プラスモディウム』の名において誰一人だって仲間はずれにもならない。
みんなでひとつだよ。




