第11話
パーティ『自由の風』
最近、急成長している冒険者パーティである。
「マリー、そっち行ったわ」
「OK、切り裂けウインドカッター」
「はぁぁぁぁ」
「レオンくん、ナイスアシスト」
「今回の依頼完了っと」
「もう少しでCランクに上がれますね」
「そうね」
「王都に行くにはCランク以上の冒険者パーティを護衛に付けるか、自分がCランク冒険者になるかの2択しかないのがね」
「マリーさん、仕方ないですよ。王都に行く途中にある森にはCランク相当の虫の魔物や野盗が出るって聞きますし」
「森…虫…」
ティアは2人に聞こえない声でボソリと呟いた
「レオンくんだって護衛雇うくらいなら、そのお金で美味しい物食べたり、いい宿に泊まりたいとか思わない?」
「美味しい物は食べたいと思いますけど、いい宿でも僕って抱き枕になるんですか?」
「なに言ってるの?」
「そうですよね。マリーさん、いい宿なら1人一部屋」
「レオンくんは私達の抱き枕なんだよ」
「…………」
レオンは何も言えなくなった。
冒険者ギルドに帰ってきた3人は依頼完了の報告を行なっていた。
「こちら、今回の報酬です」
「ありがとう。ねぇいつもより冒険者の数が多い気がするのだけど、何かあった?」
「はぐれワイバーンが出たとの情報がありまして、現在、確認行っているため、冒険者の方々には待機してもらっている状態です。」
ティアは報酬を貰いマリーとレオンの所に戻る。
「ティア、いつもより人が多いけど、何かあったの?」
「ワイバーンが出たんですって、まぁAランク、Bランク冒険者がこれだけいればなんとかなるでしょ?それにDランクの私達では討伐に参加出来ないしね」
「そうだね」
「レオンくん行くわよ」
「はい」
ティアは浮かない顔をするレオンに話しかける。
「レオンくん、ワイバーンのこと気になってるんでしょ?」
「まぁ」
「気持ちはわからなくもないけど、ワイバーンはBランク以上のパーティでないと討伐に参加出来ないわよ」
「ワイバーンは危険だからね。村一つ壊滅したって話もあるくらいだし」
「それより早く夕食食べに行きましょう」
レオン達が夕食を食べている頃
冒険者ギルドでは
「はぁ、はぁ、やべぇーぞ」
「ワイバーンじゃねぇ、ドラゴンだ」
「ドラゴンだと!」
「おい、マジかよ」
「早く街の連中に避難するように伝えてくれ!」
「ヴァルフレアさんが不在じゃなければなぁ」
「ドラゴンを倒すにはSランクじゃねぇと無理だぞ」
「この街にSランクなんていねーよ」
「いや、待て」
「そうだ、あいつなら」
「訓練場でヴァルフレアさんとやり合ったっていうアイツか」
「確か、いつもあそこで食べてたわよね?ちょっとアタシ、呼びに行ってくるよ」
冒険者ギルドでは冒険者を集めるために騒がしくなっていくのだった。
その一方、レオン達はというと
「レオンくん、あーん」
ティアはレオンに嫌いな野菜を食べさせていた。
「ティア、何しれっと、レオンくんに自分が嫌いな物を食べさせてるの?好き嫌いはダメって昔から言ってるでしょ?あとレオンくんも食べないで」
「でも残すのは勿体無いじゃないですか?」
レオン達が話していると店の入口の方から声をかけられた。
「あっ、いた。自由の風のレオンくん、すぐにギルドに来て欲しいんだ」
声をかけた女性冒険者は険しい顔をしていた。
「只事では無さそうね。」
「なんか嫌な予感がする。」
「とりあえず行きましょう。」
「ありがとう。事情はギルドに着いたら説明するわ。」
4人は走り、冒険者ギルドに到着した。
「来てくれたか」
「待ちくたびれたぜ」
「えーと、僕に何か」
「私が説明しよう」
そこに強靭な身体をした男がレオンに話しかけてきた。
「私はAランクパーティ『紅蓮の絆』のリーダー アルフレッド・ターナだ。ワイバーンだと思われていたが確認の結果、レッドドラゴンだと判明した。」
「ねぇティア、レッドドラゴンって」
「街一つ壊滅する力を持っているわね」
「レオン殿はヴァルフレア殿と同じくSランク相当の力を持っていると聞いた。是非とも街の防衛のため、力を貸していただけないであろうか?」
レオンに頭を下げるアルフレッド
「僕は構いませんけど」
レオンはティアとマリーを見る
「レオンくんは私達の仲間です。彼が協力するというのであれば私達『自由の風』も協力させて貰います」
「でもあたし達Dランクなんだけどいいの?」
「状況が状況だ。是非とも力を貸していただけると助かる」
「指揮は私、アルフレッドが取らせてもらおう。まずは状況説明とドラゴン討伐への作戦を考えよう。」
地形に詳しい冒険者やドラゴン討伐に参加したことある冒険者たちによって作戦が決定した。
「では作戦を説明する。
1班と2班がドラゴンの注意を引き、誘導
3班、4班が魔法でドラゴンの翼をメインに攻撃
『自由の風』はドラゴンの真下から攻撃してくれ。」
「それでは各自準備をし1時間後、街の南門に集まってくれ」
冒険者達は各自準備を進めるのであった。