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おせっかい令嬢はハッピーエンドを目指します!~転生先は現代に似た異世界!?~  作者: 星降る夜
第2章 小学校

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88 夏休み盛り上げ計画


 今日は、今学期最後のフラワーアレンジメントのお教室。


 虎太郎君の家でお夕飯をごちそうになっていた。


 「虎太郎君は夏休みは海外に行くの?」

 「夏休みはいつも軽井沢の別荘で過ごすんだ。父様がゴルフ好きだから」


 虎太郎君は同意を求めてお母様に視線を移した。


 「そうなのよ、夏は涼しいところが良いわよね。虎太郎も大きくなってきたからカナダでも良いんだけれど、今年は海外は止めた方が良いみたいだから。愛梨花ちゃんは?」


 「お祖父様にお任せ中です。軽井沢なんて素敵ですね。冬休みは東郷寺様の別荘ですごく楽しかったもの」

 「一緒にサイクリングしようよ」

 「でも翔君のお宅も来るでしょう?」


 何となく気まずい。翔君のお母様が避けているから、こちらも気を遣ってしまうんだ。


 「翔の所はハワイだよ。ねっ!」


 虎太郎君のお母様も頷いた。


 「翔君のお母様がハワイがお好きなのと、あちらでもお仕事をしていらっしゃるから」


 そうか、ニアミスしないなら良かった。


 「主人から月光院様に聞いて見るわね」


 虎太郎君のお母様はそう言ってニッコリと微笑む。本当のお母様みたいで嬉しい。


 「そう言えば龍一郎達はヨーロッパに音楽留学するらしいよ」

 「サマースクール?それともずっと?」

 「夏休みの間だけみたいだ」


 最近はいつも龍一郎君達が一緒だったから何だか寂しい。本当に色々面倒を見てくれていたんだ。ちょっとだけしんみりして言葉が出なかった。


 「愛梨花ちゃん?」


 虎太郎君が私の顔を覗き込んでいた。


 「あらあら。寂しいのね。今年の夏休みは一緒に過ごしましょうね」


 虎太郎君のお母様がそう言って微笑む。優しいその笑顔に胸の奥がほっこりと暖かくなった。


 ま、まぶしい……後光が差したよ、今……


 前世も今世も母の愛には縁が無かった。心の何処かに母親に甘えたい、そんな気持ちが残っていた。


 虎太郎君は優しいお母様でうらやましい。ううん、いけない。私にはちゃんと両親がいて、お兄様やお祖父様までいるんだもの。


 それにずいぶん恵まれている。


 何たって、いつでもパフェが食べられるんだ!

 

 「虎太郎君、パフェいっぱい食べようね!」


 虎太郎君も笑顔全開で頷いた。


 「お腹壊さないようにね」


 虎太郎君のお母様が私達の頭を撫でてくれた。


 数日後お祖父様が夏休みは日本一周クルーズに行こうって。


 まさか、ヨットで日本一周とかじゃないよね?少なくても卒園旅行の時のクルーズがいい。泳げないんだもの。心配になってお祖父様に詰め寄ったら笑われた。


 そして今私の家のティールームで御前会議ならぬ夏休み会議が行われている。すみのテーブルで雪二郎君と2人でお茶を飲んでいる。あの中には入りづらい。


 メインテーブルを囲っているのは最年長の龍一郎君を筆頭に神馬兄弟と虎太郎君だ。家族で1人だけの夏休みを送ることになった私のために皆で色々考えてくれるらしい。


 雪二郎君と龍一郎君は海外組だ。何故か龍一郎は遅れて行くらしくてスケジュールを調整中だって。


 自分の事なのに特に意見も聞かれずお任せ状態の私と、今年の夏はバッチリ全部留学する予定の雪二郎君は蚊帳の外だ。


 まっ、龍一郎君なら我が家のお祖父様よりは頼りになると思う。案が決まれば虎太郎君のお父様がとりまとめて決めて下さるらしい。何たってクルーズ船が西園寺様の会社ので卒園旅行の時ものらしいから。


 それを聞いたときにはあのチョコレートタワーを思い出した。あれは美味しかった。ふふふ……楽しみ。


 雪二郎君は少し寂しそうに皆を見ている。


 「サマースクールは楽しみ?」


 雪二郎君は頷くと寂しそうに笑った。


 「去年から楽しみにしていたんだけれど、今は敬のやつがうらやましいかも」

 「神馬君のお兄様が?なぜ?」


 メインテーブルの方へ目をやった。


 「皆でガチャガチャ過ごすのも面白そうだからね」

 「来年は一緒に過ごせるといいね」


 元気づけるつもりで言ったんだけれど、来年のことまではわからない。目指す物がある人はどんどん先に行ってしまうから。目標があるって凄いと思う。


 でも何だかんだと過ごせるのも小さい頃だけなんだ。大人になってから気が付いた。少しでもこの時間を大切にしたい。


 中学、高校と大きくなれば塾や受験で段々友達との付き合いなんて減ってくるし家族ぐるみなんてなくなっちゃう。あっ、我が家はもうすでにないかも。


 「雪二郎君は目指せる物があるから凄いわ。私、雪二郎君のピアノ大好き。また聞かせてね」


 雪二郎君は本当に嬉しそうに笑うと私の頭を撫でてくれた。サマースクールから帰ったら離れのピアノを弾いてくれるって。楽しみ。またガーデンパーティーしようと約束しちゃった。


 「楽しんでいる?」


 龍一郎君が私達の方へ来て雪二郎君の頭に手を置いた。どうやら会議は終わったみたいだ。


 「終わったの?」


 龍一郎君は頷きながら手に持った紙をひらひらさせていた。


 「一応我が家のお祖父様にも目を通してもらうからもう少し待っていてね」


 紙を見せてもらうと”愛梨花ちゃんの夏休み盛り上げ計画”と書いてあった。


 何だか恥ずかしい。


 

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