表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おせっかい令嬢はハッピーエンドを目指します!~転生先は現代に似た異世界!?~  作者: 星降る夜
第2章 小学校

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/130

86 体育館の裏


 虎太郎君が迎えに来る前にお教室を出て、少し早いけれど体育館の裏で待っていた。


 自称お兄様方もきっと何処かに隠れていると思われる。


 もしかしたらまだ来ていないかも知れないけど、元々1人で来るつもりだったから、それはどうでもいいや。


 ふふ……告白なんて初めて、本当に体育館の裏に呼び出すんだ。


 なんて返事しようかな?そんな事を考えながら、しゃがみながら小枝で、地面にのの字を書いていた。


 こうすると落ち着くんだったかな?もはや前世の知識も混乱中。


 「あら、ちゃんと1人で来たのね。関心だわ」


 ガヤガヤと4,5人の女の子達がこちらにやってくる。どう見ても上級生のお姉様方だ。それに聞き覚えのある声にお正月に出会った振り袖姿の女の子達を思い出した。


 あの意地悪な女の子達。これは告白というよりは、果たし状?どちらかというと集団リンチ?


 ガッカリした自分がいた。サッサと終わらせて帰ろう。


 「お姉様、この子何処かで見たような?」

 「あら、そうなの?まぁ、何処にでもいるような子じゃない」

 「ほんと、そうですわ。きっと卑しい子なんですよ」


 私を呼び出しておいて、無視してペチャクチャおしゃべりしていた。


 「何の用ですか?用がないなら帰ります」


 立ち上がって真っ直ぐに目を見据えて言うと、一番最初に声をかけてきた女の子は少しは鼻白んだ。言い返されるとは思っていなかったみたいだ。


 多勢に無勢で有利にたっていると思っているみたいだけど、小学生なんて相手にならないからね。


 「用はあるのよ。あなた生意気だから」

 「そうよ、男の子侍らせて女王様気分なの?」

 「はい?私がいつ侍らせたんですか?何年何月何日何曜日の何時何分何十秒ですか?」


 前世で良くやっていた証拠をだせ。と言うやつだ。


 「んっ、まっ、まっぁ!本当に生意気な!」


 リーダーと覚しき女の子は真っ赤な顔をして怒り出した。地団駄を踏んでいる。


 見ているとマンガみたいで面白いんだけど、笑いが込み上げそうになって手で口元を押さえた。笑ってはいけない場面だ。年末の番組みたいだ。笑うとお仕置きされちゃうの。まずいよね。


 「泣いたってダメだから」


 私が俯いて笑うのを我慢していたら、泣いたと勘違いしたみたい。


 もう相手にしていられないから帰ることにした。顔を上げて思いっ切りあっかんべえをして、後ろを向いて立ち去ろうとしたら1人が私のおさげを掴んだ。そのまま引っ張る。


 「痛いからやめて」


 するともう1人が私を突き飛ばした。砂利に尻餅をついた。つくづく運動神経がお粗末な自分が恨めしかった。違う子が持っていたペットボトルの水を私にかけようとした。


 ぎゅうっと目をつむる。誰かが駆け寄ってきた気がした。目を開けると神馬君のお兄様と雪二郎君が私の前に立ちはだかっていた。


 「遅くなってごめん」


 雪二郎君が振り返って言う。


 「まだ、危険じゃないからへいき」


 笑顔を作ったけれども上手く出来なかったみたいだ。雪二郎君の顔が悲しそうにゆがんだ。


 「お前ら、1年生いじめて楽しいか?」


 神馬君のお兄様がペットボトルを持った女の子の手を掴んでいた。いつもの優しいお兄様の顔と違う。


 「神馬様、東郷寺様、私達はいじめてなどいないわ」

 「ふんっ、じゃあ何だ」


 神馬君のお兄様が掴んでいた手を乱暴に振り払った。女の子は少し痛そうに手を撫でて、私を睨んでいる。私が掴んだんじゃないんですけど……


 「学園になれていない生徒に色々と教えていただけです」

 「水をかけるのがか?」

 「水分補給は大事かと」


 この人本当におバカだ。私は植木じゃないんだから!


 「花壇の花と一緒にしないで」


 私が言うと雪二郎君が笑う。


 「可愛いのは一緒だけどね」

 「へっ?」


 女の子達が一斉に私を見るんだけど、その視線が怖い。神馬君のお兄様が私の頭を撫でた。


 「伊集院、俺の妹分に手を出したらただじゃ置かないから覚えておけ」


 妹分?


 おおっ!神馬君のお兄様は親分だったのか!


 「い、妹様?わかりましたわ」


 体裁が悪いのか、そそくさと逃げる様に去っていった。ヤレヤレ……立ち上がろうとすると神馬君のお兄様が背中を向けて私の前にしゃがみ込んだ。


 「おぶるからつかまれ」


 親分口調が抜けていない。


 「親分?」


 隣で雪二郎君が肩を振るわして笑っている。


 「愛梨花ちゃんって面白い。敬、親分だって」

 「いいから、保健室まで行くから」


 そう言うと大丈夫だと言うのに、自称お兄様方は私に有無を言わせないで背負って保健室まで連れてきてくれた。特に怪我なんてしていないのに、そう思っていたけど、尻餅ついたときに手の平をすりむいていた。


 保健室の先生には”またあなたなの?気を付けなさいね”と半ばあきれた顔で消毒をしてくれた。私を探していた虎太郎君が、誰に聞いたのか保健室に顔を出した。


 「愛梨花ちゃん!大丈夫?」

 「滑って転んだだけだから」


 一体何があったんだと言う顔をして雪二郎君を見ていた。雪二郎君は神馬君のお兄様と顔を見合わせる。雪二郎君が虎太郎君に簡単に説明をしていた。


 保健室の先生もしっかり聞き耳をたてている。さっき何でもないって言ったばかりなのに……


 あの女の子達は神馬君のお兄様と雪二郎君の取り巻きかファンなんだと思う。何を勘違いしたのか、私が目障り?


 私というよりは月光院家が目障りなのかも。


 私に何か仕掛けてくる分には別に良いんだけれど、大人だからね。でも皆を巻き込みたくはないんだ。


 それにしても告白じゃなかった……


 小学1年生だから当たり前なんだけど、ちょっとガッカリ。


 はい、自意識過剰です。すみません。




 


 いつも読んでくださりありがとうございます。リアクションもとても嬉しいです。更新がランダムになってしまい申し訳ありません。最低でも週二回は更新出来ればと思っています。土日はなるべく更新出来たらと頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ