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おせっかい令嬢は悪役回避してハッピーエンドを目指します!~転生先は現代に似た財閥異世界!?~  作者: 星降る夜
第2章 小学校

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85 果たし状じゃありません。


 期末テストが終わってもうすぐ夏休み。


 階段にロウが塗られていた件は未解決のままみたい。学園としては大事にしたくないらしい。


 特に誰かを狙ったと言うよりは、ただのいたずらじゃないかって高島が言っていた。学校ではこういういたずらも多いんだって。子供だからちょっとした事が大事に至るなんて思わないんだね。


 そうかも知れない。小さい子ほど残酷って言うし……


 さて、夏休み前でテンション上がっているんだ!


 セレブの夏休みはやっぱり海外だよね!


 小説では南の島とかに行ってた気がするんだ!


 楽しみ!


 って思っていたら海外はダメだって……お祖父様が言うんだ。


 それなのに、それなのに、お兄様はお父様とお母様のいるヨーロッパへ行くんだって!


 ずる~い。


 だけどよく考えてみたら、私は年末年始遊んでばかりだったけれど、お兄様はずうっとお勉強していた訳だから、大人な愛梨花ちゃんとしては我が儘言わないんだもん。


 後で聞いたらサマースクールに参加するからやっぱり勉強するらしい。どこまでも我が兄だ。


 「月光院さんは夏休みの予定は決まった?」

 「ううん。まだかな」


 隣の北川さんと教科書をカバンにしまいながら話をする。夏休みまでもう2週間もないのに全く決まっていなかった。と言うか何も知らない。


 「うちはハワイに行くのよ。月光院さんも海外?」

 「今年は海外は行かないみたい」


 う~~ん、両親もお兄様もヨーロッパなのに私1人でお留守番?


 これは勝手に予定を決めてお祖父様に承認をもらうパターン?


 どう考えても1人じゃ限界がある何とか共犯者を、もとい協力者が必要だよね。しかもお金も出してくれる、大人の。


 考え込んでいると教科書で頭をポンと叩かれた。こんなことをするのは1人しかいない。


 「神馬君、痛いでしょ」


 私が睨むと嬉しそうに空いてる椅子に腰掛けた。どこが嬉しいのかニヤニヤしている。


 「お前、夏休みどこも行かないのか?」

 「まだ決まっていないだけ」

 「ふ~ん。俺んち来ても良いぜ」


 んっ?神馬君の家で何かあるのかな?神馬君だって海外に行くのじゃないだろうか?


 「ありがとう。まだ予定が決まっていないから行けたらね」


 取りあえず曖昧に答えておいた。


 もうすっかり足は良くなったけれど、神馬君は自分の責任だと思っていて、いまだに机を片付けたり、道具を運ぶのを御園君と2人で手伝ってくれた。何んやかんやと一緒にやろうともしてくれる。


 手伝ってくれるのは嬉しいし、ありがたいんだけれども、一緒に何かやるのは無理があると思う。運動神経が違いすぎるから。


 特に御園君や神馬君は率先して、クラスの事をやりたがる。目立つんだだよね、君達。そこに巻き込まれると私も、目立つんだな。


 ひっそりと静かに過ごしたいスクールライフが危機に瀕しているの。


 助けを求めて北川さんを見るけど、いつも無言で首を振る。あきらめなさいって事らしい。


 ヤレヤレ……


 夏休みの計画も決まらないまま昼休みに図書室へ行こうとしていると知らない女の子から声がかった。


 「月光院さんですか?」


 振り向くとメガネをかけたおとなしそうな女の子だった。


 「はい、そうですが、何か?」

 「あの、これを渡すように頼まれました」


 そう言うと手に持っていたメモ帳の切れ端を私の手に押しつけた。んっ?誰から?


 「渡しましたからね」


 その子はそう言うと、あっという間にかけていく。何だったんだろう?4つに折りたたまれたメモを開くと、”放課後体育館の裏で待つ”と書いてあった。


 わぁ~~~!!!


 これは、もしや告白?


 いっきに心臓がドキドキして頭が真っ白になった。前世でも告白なんてされた事がなかった。人生初だ!しかもまだ小学1年生だよ?凄い!


 ど、ど、どうしよう。しかもあの子女の子だったし。


 パニックになりながらもいつもの図書室の席で机に突っ伏していると神馬君のお兄様と雪二郎君に声をかけられた。


 「愛梨花ちゃん。どうしたの?気分悪い?」

 「保健室行くか?」


 覗き込むように2人に言われて慌てて起き上がった。


 「ち、違います。大丈夫です」


 そう言ってブンブン首を振る私を2人は不審なものを見るように目を細めた。


 「何があった?」

 「と、特に何も……」


 目が泳ぎまくっているのが良くわかる。ポーカーフェイスは苦手だった。正直者なんで。


 「愛梨花ちゃん。兄様に来てもらおうか?」


 し、心眼の持ち主ですか?まずい、心を読まれる。まだ雪二郎君達ならごまかせることもあるかも知れない。私は素早く脳内でどちらの方がリスクが少ないか判断した。


 「あの、絶対に龍一郎様には言わないで下さい。あと、神馬君にも」


 お2人の顔を交互に見て了解を取った。お2人とも大きく頷いてくれた。これなら良いかな。ポケットから先ほどもらったメモを取り出した。


 机の上で広げてみせると2人の顔が険しくなった。


 「果たし状か」

 「は、果たし状?違いますよね」

 「愛梨花ちゃんは何だと思ったの?」


 えっ?それを私から言うの?言いにくいんですけれど。告白だなんて……


 「えっと……わからないです」


 俯きながら言うと神馬君のお兄様はそれ見ろというばかりのドヤ顔をした。


 「やはり果たし状だな」

 「でも女の子からもらったから違います」

 「愛梨花ちゃんは行くの?体育館裏に」


 私が頷くと神馬君のお兄様が首を振った。


 「行かせられないな、雪二郎はどう思う」

 「同感だね。行かない方が良いよ」

 「でも行ってみないと何がどうなっているのか、わからないじゃないですか」


 神馬君のお兄様が雪二郎君と顔を見合わせる。


 「なら、僕達も行く」

 「えっ?でも……」


 どう考えても4年生に一緒に来てもらったら、相手は何も言えないような気がする。絶対に来るという自称お兄様方を説得して、隠れて見てもらうことにした。危ない時だけ出てきて下さいねと念をして。


 危ない時って何なんだ!刑事ドラマじゃあるまいし。


 自分で自分にツッコミを入れた。


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