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おせっかい令嬢は悪役回避してハッピーエンドを目指します!~転生先は現代に似た財閥異世界!?~  作者: 星降る夜
第2章 小学校

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82 事故?事件?


 ほんの少し待っただけなのに神馬君のお兄様と雪二郎君が駆けつけてくれた。急いできてくれたんだ。


 ”弟のせいだからごめん”と言って保健室まで背負ってくれた。


 ちゃんと受け止められなかった私が悪いんです。ごめんなさい。


 所で私より弟は放っておいて良いんですか?


 神馬君は何となく恨めしそうな視線でお兄さんを見ている。雪二郎君が面倒を見ているけど、逆でしょう?


 雪二郎君も神馬君のお兄様に何か言いたそうな視線を投げていた。


 ゾロゾロと皆で保健室に行くと、私と神馬君以外は授業に戻された。今日はイベントだしね。最後の体育館見たかったなぁ~~


 神馬君は打撲だけですんだみたいだ。良かった。私がちゃんとクッションになっていた。小っこいかも知れないけれど役に立ったからね。えっへん!


 先に戻る神馬君に私のカードも渡しておいた。歩けそうにないから。残念!


 私は多分捻挫だけれどお医者さんに行った方が良いって。ご家族に連絡するからと先生に言われた。


 保健室のベッドでおとなしく待っていると、慌てた様子の龍一郎君が顔を出した。雪二郎君から聞いたのかも知れない。保健室の先生と何か話していた。


 「ご家族の許可が無いとダメよ」


 先生に相手にもされずにあしらわれている。何だろう?


 龍一郎君が何処かへ電話かけると先生の電話が鳴った。先生は電話を取ると話ながら意味ありげに龍一郎君の顔を見た。


 ん~~何となくわかった。龍一郎君が手を回したって事ね。電話を切ると先生は私達に言う。


 「わかったわ、今お迎えが来るから病院に行きなさい。付き添いは……」

 「僕です」


 龍一郎君に保健室の先生が苦笑する。


 「やれやれ、月光院さんのお兄さんはどうしたの?」

 

 そう言えば私にはちゃんとお兄様がいるはずだ。他人の手ばかり煩わせてしまっている。思わず龍一郎君を見た。


 「教室に荷物を取りに行ってます」


 私の横に座ると気遣うように包帯で巻かれた足をそっと撫でた。


 しばらくして荷物を持って現れたのは神馬君と虎太郎君だ。


 保健室の先生にささやいた。”あれは兄ではありません”先生も苦笑していた。さっきから苦笑してばかりだ。


 高島が保健室までお迎えに来て抱き上げてくれた。もう幼稚園生ではないからかなり恥ずかしい。


 恥ずかしいからイヤだと言ったのに無視する。高島、後で説教部屋だからね!


 いつもの病院ではいつもの先生が待っていた。ここの病院勤めじゃないはずだけどいつもいる。しかも大分なじんでいるんだけど。勤め先変えたのかな?


 待合室で龍一郎君にその話をしたら、笑っていた。私がここの常連さんだからじゃないかって。そんな事ないのに……


 いつもの先生には何故怪我をしたのか聞かれたから、正直に上から落ちてきた神馬君を受け止めよとした、と答えたらあきれた顔をされた。


 「お嬢様、ご自分の実力を思いだして下さい」


 高島が横から口を挟む。まさかここで私の体力測定の結果をばらすんじゃないよね?キッと睨んだ。余計な事は言わないで。


 「今度、腕力鍛えます」


 先生がちょっと意外そうな顔をしている。どうやって鍛えるのかと思っているんだな、きっと。


 「愛梨花ちゃんは無理しないんだよ」


 診察室の中まで付き添ってくれた龍一郎君が、私の頭をポンポンとしてくれた。


 「骨も折れてはいないから捻挫だけだね。大事を取って全治3週間かな。毎日ご自宅の方へ伺うから、いいね」


 入院しなくて良いんだ。良かった。冷静に考えれば捻挫位じゃ入院しないもの。ほっとしたらお腹がグウッとなった。


 「食事制限はないから、好きなものを食べて良いよ」


 先生が笑いながら言う。私は恥ずかしくて俯きながら頷いた。頬が熱い、赤くなっているかも。


 「取りあえず帰ろうね」


 龍一郎君はそっと私の頭を撫でてくれる。優しい、お兄様と言うよりはお母様みたいだ。


 忙しいだろうに龍一郎君も一緒に家まで来てくれた。我が家ではお祖父様が待っていた。私は高島からラグビーのボールみたいにポイッてお祖父様に渡された。


 病院でもらった松葉杖は上手く使う事が出来なかった。しばらくは歩くのに苦労しそうだ。


 虎太郎君が学校帰りにオリエンテーリングでもらったメダルを持ってきてくれた。神馬君ご兄弟も顔を出す。皆心配してくれていたみたいだった。


 我が家のお兄様は、珍しく私の頭をポンポンと叩いて直ぐにいなくなった。照れているのかも知れない。


 ただ龍一郎君が、怪我をしたときの状況が気になるみたいで、しきりに神馬君にどうして転んだのか聞いていた。これには神馬君のお兄様も不思議がっていて、実況見分をすると言ってもう遅いのに神馬兄弟と学園へ行くことにしたらしい。


 それを聞いたお祖父様が何処かへ電話をかけていて、高島の後輩のお巡りさんも一緒に学園の方へ行く事になった。


 私は動けないから家で虎太郎君とお留守番。今は2人でアフタヌーンティーをしている。


 ホテルほど豪華ではないけれど、スコーンにいちごジャムとクロップドクリーム。一口サンドイッチに焼き菓子などが用意されていた。


 「虎太郎君は階段で滑らなかったの?」


 私は一口サンドイッチを手に取る。好きなんだ。お腹がすいていたから丁度良い。


 「ああ、手すり側の方を登っていなかったから」


 虎太郎君も学校帰りに直ぐに来てくれたからお腹がすいていたみたいだ。パクパクと食べていく。その勢いにちょっと引いた。あまりたくさん食べるとお夕飯食べられなくなっちゃうよ!


 「手すり側の方が滑ったの?」

 「そうみたいだよ。愛梨花ちゃん、足はまだ痛いの」

 「ううん。お薬飲んだからもう平気」


 紅茶のカップを虎太郎君の方へ寄せてあげた。虎太郎君はマドレーヌを頬張っている。食べながら話すと喉に詰まるよ。紅茶も飲まないと。


 「僕が落ちても受け止めないでね。僕の方が大きいから」


 虎太郎君は紅茶のカップを手に取った。


 「虎太郎君でも受け止めるよ。鍛えるからね」


 力こぶを作るポーズを取ると虎太郎君が吹き出した。汚いなぁ~ナプキンを取ってあげた。


 「愛梨花ちゃんは自分の身を守ることを考えないとダメだよ」


 後ろから声がして振り返ると、いつの間にか帰ってきた龍一郎君達がリビングへ入って来る所だ。お祖父様がいない?


 「お祖父様は?」

 「まだ学園の方に残っているよ。先生と話があるみたいだ」

 「じゃあ、僕達はこれで。愛梨花ちゃんお大事に」

 「今日は悪かったな」


 神馬君が手を振りながらお兄様に手を引かれて帰って行った。神馬君のせいじゃないのに悪い事をした。すごく責任感じているみたいだし。


 それにしても、お祖父様も遅い。授業中の怪我だから保険とか色々あるのかも知れない。お祖父様にも迷惑かけちゃった。反省。


 「今度から気をつけます」


 龍一郎君がポンポンと背中を叩いてくれた。元気出せって事かな?


 後から龍一郎君が教えてくれたんだけど、階段にはロウが塗ってあったらしい。


 故意って事?


 事故?事件?どっち?


          ♢      ♢      ♢



 私が足を怪我したので、ヨガとなんちゃって太極拳はしばらくお休みになった。学校も2日お休みしちゃいました。


 休み明けに学校に着くとエントランスでは神馬君兄弟が待っていて、荷物を持ってくれた。もちろん虎太郎君も付き添ってくれた。抱き上げて運ぼうとする高島を追い返して、虎太郎君の肩を借りてゆっくりと歩いて行った。


 「西園寺、お前クラス違うだろう。先行けよ」


 神馬君の言葉を虎太郎君が無視している。不穏な空気が漂い始めた。ダメダメせっかく仲良くなってきたのに。


 「神馬君も虎太郎君もありがとう」


 笑顔全開で微笑むと2人ともプイッとそっぽを向く、心なしか耳が赤い。その仕草が本当にそっくりで面白い。


 「さあさあ、仲良くね」


 後ろから神馬君のお兄様が2人の頭に手を置いた。私と目が合うと片目をつむっておどけている。


 精悍な顔の神馬君のお兄様はモテるんだろうなぁ~~何となく女の子に囲まれている様子が目に浮かんだ。


 そんな私達を、うらやましそうに誰かが見ているなんて気が付かなかった。


 女子の恨みは怖いのだ……



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