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おせっかい令嬢はハッピーエンドを目指します!~転生先は現代に似た異世界!?~  作者: 星降る夜
第2章 小学校

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78 お友達の家


 「じゃっ、そう言う事だ。後でな」


 私の返事も待たずに、神馬君はあっという間にかけていく。


 断りようがないじゃない。今日は金曜日、空手の日だ。虎太郎君も龍一郎君も忙しい。雪二郎君は音楽のレッスンがある。


 私1人……


 いきなり今日、”家に来いよ”と言われていくほど私はヒマじゃないはずだが……ヒマだった。


 隣の席の北川さんと顔を見合わせる。あの体力測定の授業以来ランチは北川さんも一緒で4人で取っていた。これには正直ホッとしている。数字がいいもの。割り切れる。


 「北川さんは今日は大丈夫?」


 北川さんは苦笑する。そうだよね、こちらの都合も聞いてこないし、予定があるはずだもの。たまたま私は今日はヘレン先生が都合悪いって言ってたからヒマになったけど。


 ヘレン先生とも”なんちゃって太極拳”しかしていないから、そのうちやめようかなぁ~と思っているのは、今はまだないしょ。いずれちゃんとした太極拳を習いたい。


 「家庭教師は夜だから大丈夫だけど、月光院さんは?」

 「空いている事は空いているけど」


 北川さんが一緒なら行ってもいいかな。お友達とお呼ばれなんて楽しそうだし。出来れば女の子の家の方が良かったけれど、贅沢は敵!


 「行ってみる?」


 私の言葉に北川さんが頷いた。


 1度家に帰ってから着替えて現地集合とした。ようは、神馬君の家に集合。今日は御園君も来るみたい。ところで家はどこにあるんだ?住所教えてくれなかったよね。


 帰りの車の中で隣の虎太郎君の顔を伺う。絶対に虎太郎君には言えないな。一緒に行くと言うのが目に見えるもの。さすがに勝手には誘えないし、それは良くないと思った。だけどいつまでも秘密には出来ないから、夕飯の時にでも報告すれば良いかな。


 車を降りて、高島にこっそりお願いすると少し驚いた様で、寺森と何か話していた。神馬家なら良いでしょうと、寺森から許可をもらうと高島は虎太郎君には少し遅くなると言って神馬君の家まで送ってくれる事になった。家どこかわかるんだ、凄いね。


 到着してみてビックリ、神馬君の家は大きな木の門構えで京都にありそうな和風のお屋敷だ。あの学園に通うぐらいだから皆お金持ちなんだね……ため息しか出ない。


 門の前にはもう北川さんが待っていた。


 「5時にはお迎えに上がりますから」


 高島が私を降ろして去って行く。


 「北川さんごめんなさい。待たせてしまった?」

 「今来たところだから大丈夫よ。何だか呼び鈴押せなくて」


 わかる。男の子の家だから何となく嫌だよね。門の前に来てくれれば良いのに。なんて考えながら呼び鈴を探すと、高い所!背が届かない。


 押せないと言うのは位置的な問題だったのか……


 どうしよう……と思えばおもむろに脇にある潜り戸が開いて神馬君と御園君が顔を出した。


 「お前ら、いつまでそこにいるんだ?」

 「呼び鈴が高いところにあって押せなかったのよ」


 北川さんが言ったのに何故か私の方を見てきた。


 「ちびは苦労するな」


 何だかいちいち感に障る。でもたかだか小学1年生の戯言なんだと思ってスルーした。大人だからね私は。


 「今日はお招きありがとう」

 

 ニッコリ笑って神馬君と目を合わせた。礼儀は大事だからね。


 「ああ、こっちだ。早く入れ」


 神馬君がそっぽを向きながら私の手を引っ張った。御園君が潜り戸の扉を閉めてくれた。中に入ると綺麗に刈り込まれた植木が目を引いた。玄関までは玉砂利も引いてある。純和風だね。玄関を入ると、この間お会いした神馬君のお兄様が待っていた。


 「いらっしゃい。こっちだよ」


 神馬君のお兄様の案内で中庭の見えるリビングに通された。大きな木の切り株みたいな机がドンとあって、これは高そう。前世では豪華ホテルとかにあった気がする。


 「月光院さんの家より小さいでしょ」


 神馬君のお兄様に言われて首を振った。我が家は確かに大きいけれど、東郷寺家や西園寺家と比べたらちっぽけです。規模が全然違う。もちろんこの神馬家も負けてはいない。我が家よりもずっと立派です。


 月光院家が小さいとかじゃなくて、我が家は分家だからだと思う。多分お祖父様のいる本家は大きいんだろうな。行ったことがないけれどね。


 中庭は短く刈られた芝生には似つかわしくないバスケットボールのゴールポストにサッカーのゴールネットが置いてあった。


 この分なら何処かにプールもありそうだ。きっといつもお庭で遊ぶんだろうな。そんな光景を心に描いてほっこりしていると、神馬君のお兄様がポンと私の頭に手を置いた。


 「外が気になる?後で庭で遊ぶか」

 

 げっ!私は慌てて首を振る。


 サッカーやるよ、なんて言われたら困る。見ているだけなら良いけど。


 「アニキそいつはダメだ。走ると転ぶ」

 「走ると転ぶ?」


 わからないというように首を傾げている。


 「人には向き不向きがあるんですわ」


 北川さんがいつもの事という感じで助け船を出してくれた。神馬君のお兄様は走るだけで転ぶなんて想像もつかないみたいだ。


 「ふ~ん。じゃあさ、向いているのはどんな事?」

 

 そう言われると、あまりないかも知れない。強いて言えば、


 「本を読む事とお菓子を作る事かな」

 「えっ!お前おかし作れるのか?」


 神馬君が驚いた様に聞いて来る。食いしん坊なんだ。


 「月光院さんはお料理出来るの?」


 ふふふ、優等生の北川さんまで驚いている。ここは自慢できる所?もしかして。


 「簡単なものなら何でも」

 「食べたいな」


 御園君まで嬉しそうに言ってくれた。まてまて、高級菓子ばかり食べている君達のお口には合わないかも知れない。


 そんな私の心配をよそに”今なら厨房も休憩中だからいいですよ”と言われていつの間にか皆で厨房にお邪魔していた。休憩中のはずのコックさんまでお付き合いして下さるとか……


 何故か神馬君のお兄様と仲良く?おやつ作りを始めた。”僕はアシスタントだから”と言うお兄様は何の何の、手際も良いし気遣いも出来て将来はお料理男子としてモテまくりそうだ。このまま行けばイケメンスポーツマンは確実だもの。


 作ったことのあるものが良いでしょうとコックさんのアドバイスを受けていちごのクレープシュゼットにバニラアイス添えとお抹茶とバニラのアイスボックスクッキーにしました。


 先にクッキーの種を作って冷やしておいてからクレープシュゼットに取りかかる。手つきが良いですねとコックさんに褒められた。


 うっふっ!


 喜んでいると神馬君のお兄様が頭を撫でてくれた。どの家のお兄様は皆優しくて良いね。我が家のお兄様は……


 出来上がりをコックさん達に運んでもらうと皆大喜びだった。大袈裟だよね。いつも食べているんじゃないの?


 皆でわいわい食べるおやつは殊の外美味しくて”良いお嫁さんになるね!”と神馬君のお兄様に褒められました。なれたら良いな!


 何故か神馬君が嬉しそうだった。まさかお嫁さんになりたい願望がある?時代は変わりつつあるのか?


 神馬君の家もお母様はお忙しいみたいで今日はお目にかからなかった。この家もご両親はお忙しいんだね。神馬君も寂しいのかなぁ~~


 そう言えば虎太郎君はちゃんとおやつ食べたかな?ちょっと気にかかる。いつもいる私が、いないから心配しているかも。もはや母親の心境かもね。


 そろそろ帰ろうと顔を上げればお迎えが来たと言われた。


 ご挨拶をして車に乗り込もうとドアを開けた。腕を組んで面白くなさそうな顔をした龍一郎君と虎太郎君が乗っていた。思わず車のドアを閉めた。


 何故君達がいる?しかも雰囲気が悪い気がする。2人とも一言も発していない。


 いつもの笑顔はどこへ行った?


 助けを求めて高島の顔を見る。高島は無言で首を振った。


 「私、前に乗るね。狭いから」


 助手席のドアを開けようと手をかけると、反対のドアから龍一郎君が出てきた。


 えっ?何だろう。一瞬目が合った。


 見送りに出てきた神馬兄弟と御園君、北川さんに挨拶をして私の手を取って押し込めるように車に乗り込んだ。


 龍一郎君の圧が怖い。怒っている?何故?


 とにかく良くわからないけど謝った。


 「ごめんなさい」

 「黙っていくのは無しだから」


 手だけ握って虎太郎君がそっぽを向いて言う。


 「心配したんだよ」


 龍一郎君が私の頭を撫でていた。


 「ごめんなさい」


 それからお夕飯までただひたすら謝る1日だった。


 お腹すくとイライラするってよく言うよね。あれは本当だったんだ。


 ご飯を食べたらやっと普通に戻ったよ。


 あ~~~あ、疲れた。



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