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おせっかい令嬢は悪役回避してハッピーエンドを目指します!~転生先は現代に似た財閥異世界!?~  作者: 星降る夜
第2章 小学校

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72 入学式


 愛梨花ちゃんはいよいよ小学生になりました。


 春休みにも一騒動あった。


 おかげで私は入学式までは東郷寺家か西園寺家以外はどこにも行けなかった。


 なんでも私が迷子?になったかららしい……


 その時の記憶が曖昧で、覚えていなかった。


 お医者様も、お祖父様も無理をして思い出そうとしない方が良いという。そう言う物なのだろうか?


 お父様はその件についてあまり詳しくは聞いていないみたいで、入学かぁ~~愛梨花も大きくなったなぁ~~と感傷に浸る毎日を過ごしている。平和だ。


 私自身が詳しい事を知らないから、お父様が知らないのも当然なのかも。


 お母様は相変わらずお仕事が忙しいみたいで、”入学式が無ければ帰ってこなくて済んだのに”と私の顔を見てはぶつぶつ言っていた。こちらも平和だ。


 来なくて良いのにね。


 ご夫婦仲良くするのに一肌脱ぐのは止めようかな?と思ってしまう今日この頃だ。実際、この家族はお兄様との三人家族の方が上手くいくんじゃないかと思う。


 お兄様は、何故か龍一郎君から色々言われたみたいで、気にかけてはくれるけれど、ご自分のお勉強が第一優先で、挨拶をするぐらいかな。


 月光院家の教育ってそんなに大変なんだろうか?そのうちに私も忙しくなるのかな?


 そこが気にかかるんだけど。


 一緒に買い物に行った龍一郎君は私が迷子になったのが、よほどショックだったらしくて、一緒にいるときは、私がトイレに立つ時までついてくる。まねして虎太郎君もついてくる。二人してトイレの前で待っているのは本当にやめて欲しい。落ち着いてトイレにも行けない。


 お祖父様に言ったら、”まっ、安心じゃな”と微笑んでいた。ダメだから、違うから、乙女のトイレまでついいてくるんじゃ無い!!!


 お買い物に連れて行って下さった、お母様達も、すっかり過保護になってしまって、何だかんだと世話を焼いて下さる。ご迷惑をおかけしましたと、ブティックから届いた山のような服は子供達四人でお揃いで、色違いに形違い。お母様達が喜んで”出かけるときは合わせましょうね”だって。


 確かに可愛いかも知れないけど前世で、男の子はお揃いはいやがるって聞いたぞ。しかも持っている服殆どお揃いなんて恐ろし過ぎるよ~~~四つ子じゃあるまいし。


 そんなこんなであっという間に四月に入り、入学式を迎えた。


 私の前世の知識ではここからが小説の舞台になっていった。


 愛梨花ちゃんが小学校の頃は地震の被害で奔走する本家。そこを狙うようにして忍びよる分家の面々。特に伊集院家と綾小路家が策略を練ってお父様やその次の孫世代に色々仕掛けてきていた。


 詐欺まがいの投資話を持ってきたり、ハニートラップや子供達に対するいじめなどだ。


 愛梨花ちゃんが受けていた幼稚園ぐるみのいじめも実はこの辺から来ているのかと思う。お祖父様は多分ご存じなんだろう。


 小説と違ってきたのは、地震による被害が最小限であったこと。西園寺家、東郷寺家の三家協力により、他家が入る余地が全くないこと。以上のことから小説のように月光院家が力を失う事は考えられなくなった。


 後はお父様やお兄様がしっかりとしてくれれば安泰なんだけれど……


 小説の中で愛梨花ちゃんは小学校では意地悪令嬢になっていった。我が儘で癇癪持ち。皆には嫌われてしまう。でも取り巻きがいて一見ボッチには見えないんだ。


 今思えば、他家の思うつぼに、はまってしまったんだなぁ~~


 最近は寂しい愛梨花ちゃんの心が垣間見えて、側にいたらお友達になったのに、と思う。とにかく私はここ小学校では目立たず静かに気配を消して生きて行くつもり。


 そんな事を考えていると、高島からお母様とお父様は10時からの入学式には会社からご一緒に来ると言ってきた。


 へぇ~~。ご一緒なんて珍しい。


 誰かに何か言われたのかな?少しは良い兆候と考えて良いのかも知れない。


 私は千鶴に編み込みでおさげにしてもらうった。おとなしい女の子に擬態する。ふふふ……


 だけど、まさかおさげであんな事があるとは思わなかった。


 真新しい制服に身を包み高島の運転で学校へ向かう。在校生はいつも通りの登校だからお兄様はもう行ってしまわれた。


 幼稚園とは制服の色が違っていて、女子は紺のジャンパースカートにジャケット、ネクタイ。夏服は水色のサッカー生地のワンピース。


 可愛いんだ。これもきっと有名デザイナーのだと思う。新しい制服にテンションが上がる。


 私の通っていた光の星幼稚園はここの附属幼稚園だそう。今日まで知らなかった。


 今年は暖かかったので、道中のソメイヨシノはすっかり散ってしまい。遅咲きの八重桜が満開になっていた。


 いつ見ても八重桜は木に和菓子の道明寺がくっついているみたいで美味しそうだ。高島に言ったら”食いしん坊ですね”とあきれながらも、帰りに道明寺を買ってもらえることになった。ふふふ……楽しみ。


 幼稚園の前を通り過ぎて小学校のエントランスに車が着く。小学校から大学までは同じ敷地内にあるのだけれど、車でまわるほど広大な敷地で、入り口からは小さな電動式バスがゆっくりと校内を走っている。


 ここ光星学園はセレブ達が通う有名校だ。さながら小さなテーマパークみたい。


 大学の校舎の方にはコンビニや郵便局、学生のためのショップなどもあって、ちょっとしたショッピングセンターみたいらしい。お祖父様が言っていた。だからくれぐれもあちこち行かないようにと、釘を刺された。


 ”迷子になるな”とね……


 話を聞くだけで楽しそうで、そのうち探検しようっと、思ったのは間違いない。へへへ……


 初等科では車の通学が殆どだから校舎のエントランスまで車入っていく。次々と黒塗りの車が生徒とご家族を降ろしていた。


 エントランスでは虎太郎君がご両親と一緒に待っていた。一人で車から降りると虎太郎君のお父様に声をかけられた。


 「愛梨花ちゃん入学おめでとう。愛梨花ちゃんのお祖父様からよろしくと、頼まれてね、ご一緒してくれるかな?」


 そうなんだ、お祖父様は今日はどうしても外せない祭事があるらしかった。お父様とお母様じゃ心許ないって事だよね?(笑)


 「はい、よろしくお願いします」

 「愛梨花ちゃん一緒に行こう。今日はおさげなんだね。可愛い」


 虎太郎君が私の手を握ってニッコリと笑う。


 さりげなく女の子の髪型を褒めるなんてジェントルマンではないか!ちょっと嬉しくなってしまう。


 「虎太郎君、ここは幼稚園じゃ無いからもう手はつながなくて良いんだよ」


 でも虎太郎君はしっかりと手を握ってきた。


 「愛梨花ちゃんはすぐに転ぶから、まだダメだよ」


 虎太郎君はそっぽを向きながら言う。そう言われると二の句が継げなかった。それを虎太郎君のお母様が微笑ましそうに見ている。ここは仕方ないか、どうせクラス分けで別れると思うしね。


 お祖父様が今年は3クラスあるから一緒になるかわからないよ、って教えてくれたんだ。と言うことは多分クラスが別れたのをお祖父様が知っていたんだと思う。


 そうで無ければ事前に、そんな事は言わないと思うから。


 講堂の受付で名前を言うとクラス分けの花を胸に付けてもらった。虎太郎君は赤い花、私は水色の花だった。


 「赤い花は1組で水色は3組だよ、上級生に案内してもらってね」


 受付の先生に言われると、いつの間にか側に来ていた背の高い上級生が私の手を取った。


 「愛梨花ちゃん入学おめでとう。こっちだよ」

 

 聞き慣れた声に顔を上げると龍一郎君が笑っていた。


 「えっ!係なんですか?」

 「そうだよ、何かあったら声をかけてね。お父様とお母様は見えているの?」

 「会社から来るって言っていたので、まだみたいです」


 龍一郎君は私の頭に手をやるとポンポンと叩いて席まで案内をしてくれた。お兄様も係をしているのかも知れない。キョロキョロと周りを見たけれど見える範囲にはいなかった。


 入り口の端でで高島がカメラを片手に手を振っていた。赤い花を付けた虎太郎君は名残惜しそうにこちらを見ている。2人には手を振ってあげた。


 虎太郎君の後ろの席に赤い花を付けたすみれちゃんが見えた。同じクラスだね。翔君は黄色い花を付けていたから2組みたいだ。虎太郎君に手を振っていた。


 翔君は1人でも上手くやって行けそうな気がした。虎太郎君もきっと大丈夫。すみれちゃんは卒園旅行で一緒だった杏奈ちゃんと同じクラスみたいでもうお話を始めていた。


 私はどうなんだろう。


 不安と期待でちょっとドキドキした。




 いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字報告まで頂き感謝感激です。

 読んで頂いているんだと実感!

 嬉しいばかりです。本当にありがとうございます。

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