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おせっかい令嬢は悪役回避してハッピーエンドを目指します!~転生先は現代に似た財閥異世界!?~  作者: 星降る夜
第1章

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35/182

35 クレープ焼いたよ。


 遠くから、ザザ~アザザ~アと波の音が聞こえる。


 まだ眠くて頭がはっきりしない。


 んっ、そうだ昨日海のホテルに来たんだ。


 お祖父様が部屋のカーテンを開けるとお日様の光が入ってきた。まだ眠くてベッドの上でモゾモゾしているとお祖父様に声をかけられた。


 「砂浜に散歩に行くぞ」


 海辺の散歩かぁ、おしゃれだけど眠い。


 「貝殻落ちている?」


 開かない目をこすりながらお祖父様に聞いてみた。


 「ああ、たくさん落ちているよ」


 窓を背にお祖父様が笑っている。


 前世では、かなづちだったから海辺では貝殻拾うの好きなんだ。


 たくさん落ちているなら行きたい。


 やっと起き出してお揃いのお洋服に着替えると海辺に繰り出した。お洋服はこれと最初に来ていたワンピースしか無いんだ。


 早朝の海には誰もいなくて風も波も穏やかだ。頬を撫でる空気は冷たい。頭も段々スッキリとしてくる。


 まだ海の水は冷たくて濡れないように注意しながら貝を探すけど、アサリみたいなのばかりだ。


 やっと波打ち際で綺麗なピンク色の貝殻を一つ見つけた。


 やったあ!嬉しくてお祖父様に見せると桜貝だねと教えてくれる。


 後で虎太郎君にも見せよっと。ハワイにはもっとたくさん落ちていたかも知れないけどね。

 

 ふと顔を上げると、向こうからランニングをしている人が目に入った。


 砂浜をランニングなんて根性ものか青春映画みたい。砂浜についた足跡が波にさらわれて消えていく。


 なかなかカッコいい、じっと見ていると見覚えのあるシルエットに見えてきた。


 あれ?高島?


 かなりのスピードで走っているからここまであっという間。


 お祖父様が片手をあげて私は手を振った。


 高島はお辞儀をしながらホテルの方へ走り去って行った。冬の海も静かで良いね。


 散歩の後は私はお部屋のお風呂、一人だから大浴場は危ないって言うんだ。お祖父様や高島は露天風呂に行って良いな……しかもお風呂で会ったとか言ってお祖父様と高島が一緒に帰ってきた。


 (ずるいぞ)お祖父様をジト目で見ちゃう。


 高島は朝食は本館のバイキングに行ってしまった。それも興味あるんだけどお祖父様がまだ小さいからダメだって。


 (つまんない)頬が少し膨らんだ。


 私達はプライベートダイニングで和定食。これはこれで好きなんだ。お祖父様との静かな時間も楽しい。


 朝からお刺身と塩辛があってご飯が進む。塩辛を美味しい、美味しい、と食べていたらお祖父様が驚いていた。子供は気味悪がって食べないらしい。


 しまった、32歳がばれちゃう?


 「これはそのうち一緒に飲めるな」


 嬉しそうに言うから胸をなで下ろした。


 お酒は強かったような気がする。あまり飲まなかったけど酔った記憶が無いから。


 お酒が飲めるのは15年後?お祖父様それまで元気でいてね!横のグラスを取った。


 「お水で乾杯!」


 お祖父様とグラスを合わせた。ふふ……幸せ。


 お正月、本家では何をしているんだろう?お父様達も今頃ご飯食べているのかな?


 目の前でニコニコしながら朝食を食べているお祖父様に聞くのはいけない気がした。せっかくのんびりしているのに、わずわらしいことを思い出させるのは止めておこう。


 お祖父様が私の視線に気がついて箸を止めた。


 「どうした?」


 おっといけない。


 実はもう一つ気になっている事があるんだ。


 「虎太郎君は今日来るの?」


 本当に来るのか?ハワイからだよ。


 「ああ、皆で一緒に夕飯を食べることにはなっているから楽しみにしておいで」


 来るのか。ビッチリマークされる自分しか想像できない。私の優雅な時間も夕方までだね。ご飯食べたら何をしようかな?お祖父様はのんびりとご本を読んだりしたいらしい。


 本館の方ではお正月イベントが色々あるみたいだけど一人では行ったらダメだって。危ないからって言うけど、頬が膨らんじゃう。


 朝から、あれもこれもダメって!もうっ!


 ベッドの上で転げ回ってすねていたらお祖父様がホテルの人にプライベートイベントをお願いしてくれた。


 やったあ!


 近くの農園でいちご摘みが出来て厨房のコックさんがそのいちごでデザートの作り方を教えてくれるって!


 早速高島を連れて Let's Go!


 ホテルから車で10分ほどの所に農園があって、ビニールハウスに入るといちごがたくさんなっていた。大きいのは私の手と同じぐらいだ。


 かじってみると真っ赤ないちごはお砂糖みたいに甘い。


 虎太郎君達にも食べさせてあげたいな。きっと喜んでくれる。


 夢中になって高島と籠一杯のいちごを取った。


 近くにはマスクメロンのビニールハウスまであって、大きなメロンを3個も買ってもらった。皆でデザートに食べられるよ!


 お部屋に戻るとお祖父様がメロンを見て嬉しそうだ。お祖父様はいちごよりメロンがお好き?


 ホテルのコックさんがお部屋のキッチンまで出張してきて、いちごをフランベしてソースを作ってくれた。いちごの甘い香りがお部屋一杯に広がった。


 「良いにおい」


 大きく息を吸い込んでいたらコックさんに笑われた。ホテルで用意してくれたいちごの模様のエプロンを着けて、コックさんに教わりながら一緒にクレープを焼いたんだ。


 けど私の焼いたクレープは穴だらけになってしまった。何枚焼いても上手くいかない。思い出した。前世でも不器用だった。


 山盛りになった穴だらけのクレープを横目に肩を落としていると、コックさんが折りたたんでしまえばわからないって。えっへ!


 クレープをお皿に重ねながらいちごのソースをガラスのピッチャーに入れて出来上がり。冷凍庫にバニラアイスを用意してくれた。三時のおやつに食べるんだ!


 コックさんが帰ってしばらくすると部屋のチャイムが鳴った。


 忘れ物かな?


 「愛梨花出てくれるか?」


 ん?私がでるの?


 お祖父様に言われて慌ててソファーから降りると誰かなと思いつつドアを開けた。


 「愛梨花ちゃん新年おめでとう」


 元気の良い挨拶が目の前に飛び込んできた。なんと雪二郎君と龍一郎君がご両親とたっている。


 二人ともスーツ姿でいつもより大人っぽい。


 「あ、あけましておめでとうございます」


 一瞬驚いて噛んでしまった。ぴょこっとお辞儀をする。お正月からどうしたんだろう?


 「お祖父様!東郷寺様が見えました」

 

 急いで部屋の中に声をかけると、お祖父様は電話中。


 「愛梨花ちゃん何か作っていたの?」

 「これいちごの香りだよね」


 龍一郎君と雪二郎君が言いながら部屋に入ってきた。ご両親がそれに続いた。


 あれ?東郷寺のお祖父様がいない?


 「お祖父様はいないの?」


 龍一郎君に聞くとお祖父様の方をさした。


 「今お祖父様達、電話してるよ、ロビーで待っているはず。お昼食べに行こうって」

 「こんにちは愛梨花ちゃん元気だったかしら?」


 今日は華やかなチェックのスーツに身を包んだ東郷寺のお母様が屈んで私の手を取った。


 南国の美人のような大きな瞳に見つめられた。


 うっ、美人だ。前に入院していた時にご挨拶した以来の様な気がする。


 「はい、おかげさまで。今いちごのクレープシュゼット作っていました」


 お母様は嬉しそうに目を輝かせるとニッコリと微笑んだ。


 「まぁ、後で少し頂けるかしら?お料理お好きなの?」

 「はい。まだ勉強中です」

 「素敵なお嫁さんになるわね」


 そう言って片目をつぶった。


 おぉ、ハートが飛んだ。雪二郎君のウインクはお母様直伝だったんだ。


 お母様は私の頭を撫でてから立ち上がる。


 東郷寺様がお祖父様とご挨拶を終えられるとロビーで待っていると皆で部屋を後にした。


 皆って東郷寺様のご一家だったんだ。お祖父様がエプロンを外してくれた。


 部屋の隅にいつの間にか小さなスーツケースが置いてあって、それを開けると私の洋服が入っていた。いつの間にか、家から着替えを送ってもらってたんだ。


 お気に入りの紺のワンピースに着替えるとお揃いのフリースのパーカーを羽織った。


 「愛梨花は手がかからんな」


 お祖父様も着替えながら言う。なんせ中身32歳なんで、大抵の事は出来ます。


 「えっへ」


 笑ってごまかした。


 夜には虎太郎君も来るからまた賑やかになるね!


 やっぱり皆がいると、楽しい。

 

 



 


 

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