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おせっかい令嬢は悪役回避してハッピーエンドを目指します!~転生先は現代に似た財閥異世界!?~  作者: 星降る夜
第1章

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26 犯人はお前だ!


 丸太小屋の中はあまり使われていなかったみたいで殺風景で物があまりなかった。


 木のテーブルにパソコンが1台、他にはオーディオ機器みたいな物にヘッドフォン。携帯などが散らばっていた。


 小説では、グレーのパーカー男は爆弾が爆発して、即ご用になっているはず。こんな所にはいない。


 細面のメガネは出てきていなかった。つまり端役、モブだ。


 警察がちゃんと犯人捕まえてくれないからややこしい事になっているじゃん。


 虎太郎君が不安そうに私を見た。


 「ごめんね、私のせいで、こっちに来たから」


 虎太郎君が首を振る。


 「愛梨花ちゃん手は痛くない?」

 「大丈夫」


 虎太郎君が安心できるように笑顔を見せた。32歳だから何とかするよ!


 「虎太郎君、私に考えがあるから何を聞かれても黙っていてくれる?私に合わせてね」


 虎太郎君の頬を両手で挟んで顔を近づけた。不安そうな瞳が少し落ち着いた。


 虎太郎の頭を撫でた。大丈夫、お姉様が守ってあげるから。


 小声で話していると細面のメガネがこちらにやってきた。


 確かグレーのパーカー男はSNSの指示で動いていた。


 つまりこいつもその指示で集まった人間だ。


 海外を拠点に置いていた犯罪組織。


 犯罪組織に向いている捜査を混乱させる為に今回の爆破事件は起きていた。


 組織の目的は2つ。


 日本を混乱させることと、テロ活動の資金集め。


 世界的に誘拐事件も起こしていた。


 前回の東郷寺様の誘拐未遂も関わっている可能性が指摘されてはいたが現時点ではわからないはずだ。


 問題はこいつがどこまで組織に関与しているかだ。


 「名前は?」

 「人に名前を聞くときは自分から名乗るのよ」

 「可愛い顔して生意気なガキだな、鈴木だ」


 小心物ほど子供や弱い者にえばるんだよね。たぶん偽名に違いない。


 「高島 愛梨花、こちらは鈴木 寅」


 とっさに思いついた名前を言う。


 さっきから虎太郎君が私を名前を呼ぶからそこはごまかせないしね。


 「今日はクリスマスだからもう帰らないといけないの」

 「そりゃ良い、おじさんがパーティに連れて行ってやるぜ」


 思い出した”パーティーに連れて行く”って言うのは合い言葉だ。

 

 ”赤ワインは飲まないの”が作戦終了の合図だったはず。ちなみに作戦決行は”シャンパンで乾杯”


 ジッと鈴木と名乗った細面のメガネの顔を伺う。


 「悪いけど赤ワインは飲まないの」


 テーブルでパソコンを見ていたグレーのパーカー男が立ち上がった。


 「お前どこでそれを……」


 その時玄関の呼び鈴が鳴った。グレーのパーカー男が私達の手を取ると奥の部屋へ押し込めた。


 「無事に帰りたかったら大人しくしているんだ」


 そう言うとポケットからナイフを取り出した。


 折りたたみ式のナイフだ。小さい。リンゴも切れないよ!?


 私1人刺したら虎太郎君までは刺せないね。どうせあってないような私の命、いざとなったら覚悟を決める。


 「どうしましたか?」

 「ちょっと人を探していて」


 聞き覚えのある高島の声に視界が曇ってきた。どうしよう。


 「ここには誰も来ていませんよ、何かあればご連絡します」

 「じゃあ名刺を渡すんで、ちょっとお待ち下さい」


 高島、名刺なんて持っていたかしら……もしかしてあめ玉に気がついた?


 「すみませんペン貸してもらえます?」


 龍一郎君の声もする。これはあれだ、時間稼ぎだ!


 「連絡先書きますね」


 龍一郎君が言う。グレーのパーカー男はドアに耳を当てて外の様子をうかがっている。


 気が気じゃ無いみたいだ。


 出来るか分からないけどチャンスは今だ。虎太郎君に目配せをする。


 わかってくれたかな?それからナイフを持っている手に思いっきりかみついた。


 「い、いててて!!!何すんだこのガキ」


 グレーのパーカー男がドアから離れた瞬間、虎太郎君が部屋のドアを開けた。


 私がかみついたのとは逆の手でナイフを掴み振り上げた。


 ここまでかと思いギュッと目をつぶった。


 衝撃が無い!?目を開けると虎太郎君がナイフを持った手に飛びついていた危ない。


 グレーのパーカー男の股間めがけて頭突きした。


 ”ぐふっ”とくぐもった声が聞こえた。急所だよね?


 隣で飛ばされた虎太郎君に声をかけた。目にいっぱい涙を浮かべている。


 「大丈夫?」


 虎太郎君をギュッと抱きしめた。もう怖くないからね。頭も撫でてあげた。


 「愛梨花ちゃん、大丈夫?」


 顔を上げると龍一郎くんが覗き込んでいた。


 ほっとすると視界が緩む。


 「虎太郎君が泣いてたから」


 虎太郎君がむっとしたように顔を上げた。


 「オレは泣いてない。汗だ」

 「そっ、良かった」


 私は泣き笑いだ。


 龍一郎君がポンポンと私達の背中を優しく叩いてくれた。


 いつの間にか高島が2人をグルグルに縛り上げて何処かへ電話をしていた。


 程なくの虎太郎君の両親が駆けつけた。


 ”頑張ったね”とお父様に抱き上げられて嬉しそうにしている虎太郎君は幼稚園生の顔をしている。


 可愛いね。


 「まだ滑るの?」


 龍一郎君が笑いながら首を振る。


 「お昼だね」


 私の頭にポンと手を置いた。


「おなかすいた」


 ほっとしたらお腹がぐうっと鳴った。


 高島が来て私を抱き上げた。


 「来てくれてありがとう」


 そう言って高島の首に抱きついたら、もじゃもじゃの眉毛がどこまでも下がって絞め殺されそうになった。


 「くっ、苦しい……」

 「え、愛梨花ちゃん!大丈夫?!白目むいてるよ!」


 危ういところで龍一郎君に助けられた。


 私は真っ赤な顔で高島を指さした。


 「知らない人!!!」


 

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