スライムと今後について
☆
それは、ローズのお話が終わった直後であった。
窓ガラスの方から急に叫び声して、目を向けると。
「――うわあ、どいてどいてッー!」
ガッシャーン! と大きな音を立てて、窓ガラスが割れる。
「いってて……」
「カ、カレン!?」
尻もちをついて痛がるカレンのそばには、今さっきガラスを割った原因であろう――彼女のほうきが転がっていた。
「ようライン、アリシエ! それとアリシエのぼーいふれんど!」
「「ぼっ、ボーイフレンド!?」」
なぜかふたりとも、カレンが窓に突っ込んできたことよりも驚いていた。ぼくがアリシエの友だちであることが、そんなにも不思議だろうか。
「あっ、だいまほー使いさま!」
せっかちな彼女は視線を移すと、ガラス片をじゃじゃりと踏みながら彼のもとに歩いていった。
「魔女見習いカレン、ただ今さんじょーいたしましたっ」
「ほっほっ。お主も元気がええのう。しかし、どうして窓から?」
「教員室にアリシエのちこくを伝えてから、すぐにバーティカルに向かったのですが……。ほうきのスピードの出しすぎで、魔法警察につかまってしまいまして……。これでは先生のこーぎに間に合わないと思い、それ以上のスピードを出したら、こうなったしだいであります!」
……元気よく報告したのはいいが、けっきょくスピード違反をしていることに変わりはなかった。
「あやまりなさい、カレン!」
「ほっほっ、よいよい。どうせ、すぐ魔法で治るからの」
ラインが強引にカレンの頭を下げさせようとするが、
城主であるローズはまったく気にしていなかった。
「――改めてお主たちは、すごい才能を持っている。魔法がなんのために存在しているか、それを常に頭に入れて、これからも修練に励んでもらいたい。わしからは以上だ。以上だ、が……」
そこで彼が視線を向けたさきには――ぼくがいた。
「――ゼラくん。お主は、イェリスと同じ中等部に通いなさい」
☆
「いっ、いきなり何いってんだじいちゃん!」
ローズの進言にいちはやく異見を唱えたのは、イェリスだった。
「少し人に慣れているとはいえ、モンスターを中等部になんて」
「不満か? 彼が人間として実態を保てているのは、魔法の才能があってこそ――奇跡をあやつれる技量があるからだ。初等部での授業は、彼のスペックに適応しておらん」
ローズは温かい目を、ぼくに向けて。
「いまきみが望んでいるのは、人間として、アリシエちゃんのとなりに立つことだろう? ならば男として、それなりの力はつけておかなければな。 ――いざという時に、剣を握れる強さをつけておきなさい」
「……ゼラ」
アリシエは、不安そうにぼくを見ていた。ぼくが中等部でもやっていけるかどうか、心配してくれているのだろう。でも――
「だいじょ、ぶ。それ、に。家でまた会える、から」
せいいっぱい、言葉を絞り出して伝えた。
「それに、知りたい。たくさんの人間を。
そして――きみを、守れるだ、けの力を」
「ゼラ……!」
アリシエは、とっさにぼくを抱きしめて言った。
「家で、待ってるね」
「――ッ……!?」
「ふふっ、あらあら」
「さすがぼーいふれんど、だな!」
自然とほほが熱くなって、その様子をラインとカレンが面白おかしそうに眺めていた。だから、『ぼーいふれんど』ってなに……!?
「けっ! このリア充が……年上をさしおいて……!」
「ほっほっ。決まりじゃな」
なぜか親指を噛んで悔しがっているイェリスを放って、
大魔法使いはぼくたち全員に目を向けて、口を開いた。
「では、初等部4年生――ゼラよ。貴殿を大魔法使い、ローズの名のもとに、中等部への転入を命ずる」
ここまで読んでくださった方、ありがとうございますm(_ _)m 正直、ここからは一ミリもプロットを考えていません。手探りでの創作になりますが、よろしくお願いいたします




