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子竜、世界を見る  作者: 笛口秋雲
第一章
9/10

 翌日、僕は母の側で目覚めた。彼女はまだ寝ているようだ。昨日の飛行で疲れているのかも知れない。


 昨日、砂浜の奥の森に入ると、僕達は生い茂る木々の中で眠った。

 視界が悪く、何かに襲われないか心配だったが、結局そんなことはなかったようだ。


 周囲には、幹が太く背の高い真っ直ぐな針葉樹が林立しており、葉の暗い影で赤黒い地面を覆っている。木々の隙間を、海からの冷たい風が吹き抜けていった。

 身の丈ほどもある下草によって見通しが悪い。



 しんと静まりかえった森の何処かから、唸るような叫び声が聞こえてくる。僕はその音に不安を煽られた。


 母に早く起きて欲しかった僕は、彼女の口元を小突いた。最初に触った時よりも硬くなっているような気がする。


 母が目を開けた。


『■■■■■■』


彼女はどこか嬉しそうだ。

 母が身体をおきあがらせ、再び目を閉じた。


 何をしているのだろうか。少し不安になる。


 目を閉じて少しすると、母は僕の額の辺りに口を近付けた。


 その瞬間、何かが僕に流れ込んできた。何処からともなく僕の中に湧き出たそれは、身体の中に溶けていく。


 その何かは、僕の中で僕の中の何かを変えていった。頭の中に自分が持っていなかったはずの知識が次々溢れてくる。

 その感覚に耐えられず、僕は再び眠ってしまった。

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