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スキル【迷宮管理者】に目覚めた俺氏、スレ民たちとめちゃくちゃに発展させるw  作者: もかの


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最終話『おぅおぇ』

 広場にはちょうど高校の1クラスが編成できそうなくらいの人が集まっていた。

 九条さんやケンヤなど、今回の『日本全国スタンピード』においてともに頑張った人たちもいるが、ほとんどが我らが『おぅおぇ』のスレ民たちである。


 いやもしほんとに1つのクラスだったら学級崩壊すぎるだろ。

 俺だけじゃん。マトモ枠。


「うっほご馳走じゃん!!」

「『うっほ』ちょっとキモいな」


 バカニキが興奮しているように、俺たちは多くの料理をそれぞれ持ち寄って並べたテーブルを囲んでいた。

 日本全国スタンピード攻略の最大功績者――俺やサボリニキ含めスレ民のオフ会である。


 実際にはスサノオの自滅で幕を閉じた今回のスタンピード。

 公にはサボリニキやバカニキによって討伐されたとダンジョン庁から発表された。


 このスタンピードが偶発的に発生したものではなく、スサノオの言う『大いなる目的』の一節にすぎないということを隠すためである。

 まぁ、めちゃくちゃ混乱されてもめんどくさいだけだからな。

 当然世界各国のダンジョン庁的な場所にはそのことは伝達されており、要は今後「裏で対策しようね!」ということになるらしい。


 ま、そのあたりのことは俺関係ないけどな!!

 ただ【迷宮管理者】とかいうあたおかなスキルが使えるだけの、しがないスレ主だし!


「おいスレ主。それはもうただの罵倒だからな?」

「これが嫌ならバカニキって呼ばれる方が嫌だろ」

「いや、バカニキっていう言葉はなんかみんなに愛されてる感じがして……好きなんだよな」

「ツンデレデレデレ」

「デレの割合のほうが多いこと、あんまそうやって表さないから。あと多くないから」


 俺とそんなやり取りをしていると、ついに前線に上がってきた後方腕組スレ民たちが「ほぉらいぃっぱい食べてねぇ」と言いながらバカニキを連れて行ってしまった。

 恐怖に染まった顔で助けを求めてきているが、無視。


 あ。

 あと、俺の【迷宮管理者】というスキルは全世界に公表された。

 いや、『された』ってのもおかしいか。俺が公表するようにサボリニキに頼んだ。


 日本国民を大量に収納した時点で公表されるのも時間の問題だとは思うけども。


 けど、公表されたのは『今回の攻略には【迷宮管理者】という新スキルがなければ抑え込むことは不可能だった』ということだけ。

 誰が持っているか。どういうスキルなのか。そういった情報は、俺が公開しないように頼んだ。


 別に、「実力隠すキャラ、かっこよくね?」とか思ったわけではない。

 いやほんとにほんとに。ほんの14割しか思ってないって。

 ちなみに残りの-4割は「君たちに話すようなことではない……」である。


「スレ主。いまいい?」


 バカニキがスレ民たちから狂気的に愛されている様子を見ていると、九条さんやケンヤと大人な飲みをしていたサボリニキが俺のもとに来た。


「御託はいいからさっさと話しやがれよ」

「なんでそんな強気なの? まぁいいや。妹さんは元気してる?」


 そうそう。

 琴葉のことだが、今は地上で元気に暮らしている。


 バカニキが気付いたスキル遺伝装置を使う作戦が見事に成功したのだ。

 遺伝先をその辺で抜いてきた雑草にし、遺伝が成功したあとすぐに薬品をぶっかけた。

 つまり、【創造神(イザナミ)】はもう、この世に存在しない。


 果たしてそれが良かったのか、俺たちには分からない。

 もしかしたら、今後スサノオなんて比にならないほどの厄災が訪れて、それに立ち向かうために神が与えたものだったのかもしれない。


 それでも。


 俺はナニカのヒーローってわけでもないのだから、身内の命を優先したっていいだろう?


「元気ではあるけど、って感じだな」

「……まぁ、失った10年ってかなりだよね」


 封印魔法とはかなり特殊なようで、身体の成長を含めたすべての時間が停止するらしい。

 それ故、使用難易度もバグみたいに高いらしいのだが、今回は割愛。


 だから本来、琴葉は身も心も成長が止まっている状態であるので、封印が解ければあの頃の琴葉がそのまま出てくる──はずであった。


 しかし、【創造神(イザナミ)】の効果が強力すぎたことが関係したのだろうか、意識だけは完全に封印されていなかった。


 そのため、見た目は子供、生きた感覚は22歳とかいう、はてなマーク溢れるコ〇ンくんが──今の琴葉である。


 そういうわけで、精神的に不安定になるかもしれないという判断が下り、復学はせず母さんたちと暮らしながら自主学習をしている。


「ま、今のところは何ともねえな。スキルの喪失も特に問題なさそう」


 一度その身をスキルに渡したこともあって琴葉の身がどうなるか心配であったが、そのあたりはなんとも無い様子であった。

 詳しいことは知らんけど、無事なら何でも良いっしょ!


 俺はalwaysこのmindでdoさせてもらってます。

 うざい? すまん。


「そっか。ま、いつでも頼ってよ」

「わーってるって。ダンジョン大臣サマ」

「……その呼び方まだ慣れないんだって」


 俺がニヤニヤしながらわざとらしくサボリニキに言うと、照れた様子で言い返す。

 少女漫画のヒロインか。


 ……え、じゃあ俺ってサボリニキとの恋路ルート?

 え? バカニキとの三角関係って……こと!?


 最悪じゃねえか。


 ともかく。

 サボリニキは今回の功績やもともとの実力が政府に認められ、まさかのダンジョン庁の大臣に抜擢された。


 一つの庁を一介の冒険者に任せて良いものかという不安もあるかもしれないが、「ダンジョンに関わることは、ダンジョンを一番知っている奴に任せるべきだ」というのが政府の最終判断であった。


 まぁ実際、国民からもまぁまぁな理解は得られているし、なんやかんや結構うまくいってるっぽい。

 懸念点はサボることくらいだろ(最重要)


「スレ主はさ」

「ん?」

「スレ主は、これからどーするの?」


 バカニキが一生可愛がられているのを眺めながら、サボリニキは真剣な声色で聞いてくる。


 たしかに、そういう質問も出てくるかぁ……。


 当初の目標は『ダンジョンをめちゃくちゃに発展させる』こと。

 これは……十分すぎるほどに達成したと言っても過言じゃないのではないか?


 だって……大きさがわけわからんマンション作る奴いないだろ。

 誰がゴブリンキングでダンジョンメイキングするんだよ。

 俺だって冷静になって考えれば分かるんだぞ。俺がどれだけ異常か。


 それに、妹も助けることができた。


 サボリニキ視点、俺の行動目標もなくなったし、俺が『スレ主』である理由もなくなったからこその心配だろう。


 それは分かる。

 分かるけど……


「どーするって……これからもあいつらと、サボリニキたちとバカしていくぞ?」


 俺は「何を言ってるんだ」と言わんばかりのテンションで返事する。


 たしかに俺が何か頑張る理由は無くなったかもしれねえけど、それがあいつらと縁切る理由にはならないだろ?

 楽しさに突っ走る。それが俺だぜェ!


「……ぷ、あははっ! 僕の心配返してよこのスレ主が」

「いや勝手に心配されて勝手にキレられる俺の気持ちを」

「まぁそれは冗談としてさ。なーんかいつものスレ主で安心したよ。いつまでもこのまま続くんだろうなぁって」


 どこまでも客観的に、俯瞰的に、幻想的にサボリニキは語る。

 俺には抽象的としか感じなくて分かんなかったけど。


「おーい! スレ主助けてくれ!!」

「逃さないからねぇ」

「かわいいねぇ」

「ずっと一緒だからねぇ」

「アッ…………」


 俺とサボリニキが少し込み入った話をしていると、奥でずっと可愛がられているバカニキからヘルプが入った。


「さ、俺たちもあいつらのもとに行くか」

「そうだね。結局僕はまだスレ民たちともあんまり話せてないし」


 九条さんに「ちょっと行ってきますわ」と小さく頭を下げてから、俺とサボリニキはあいつらのもとに歩いていく。


 改めて、すごい日常だったな……。


 なんかエッグいスキル手に入れたと思ったら、スレ民とダンジョンめちゃくちゃに作ることになるし。

 そしたらなんかエッグい事件に巻き込まれるし。

 名前も知らないあいつらと一緒に世界救ったし。


 ってか、そうじゃん。

 散々楽しく話してたけど、俺サボリニキとバカニキ以外の名前知らないんだな。


「……はは」

「ん? どうしたの?」

「いーや? 名前も知らね―スレ民と協力して世界を救うって、すっげーいいなって思ってさ」


 やっぱ俺、匿名掲示板のこの関係性が好きなんだな。


 こいつらとはこれからもゆっくりまったり、バカやっていきてえな。


 俺は歩きながらスマホを取り出し、いつものスレッドを開く。


 まさか世界を救うなんて思ってもいないからこそ、この『おぅおぇ』とかいうふざけたスレ名を見て笑ってしまう。

 けど、このスレッドもよく見たらもう990件を超えている。


 1000件を超えたらまた「Part2」とか立てるのが普通なんだろうけど……




 このスレッドで過ごした俺の――スレ民と世界を救う伝説の物語はこれで一旦幕を閉じた。

 これからはまた、平和な日常が戻って来る。……俺の【迷宮管理者】で遊ぶことにはなるんだろうけど。


 まぁそれはともかく。

 新規一転、スレタイを変えてまた新しい人生を築くってのもありなのかもな。


 そうだな……あいつらとの関係、そしてこれからを見据えて。






「さよなら、『おぅおぇ』の俺達。

 よろしく、新しい――――」






 スキル【迷宮管理者】に目覚めた俺氏、スレ民たちとめちゃくちゃに発展させるw


 これにて、完結となります!


 不定期&激遅投稿にも関わらず、毎回の更新を追ってくださった皆さん。

 そして、この作品を応援してくださった皆さん。

 本当にありがとうございました!


 この作品は「読者と作り上げてきた」と自信を持って言えると思います。

 本文をさらっと見つつ、コメントを見ながら見返すのも、また違った楽しみ方ができるかなと思います。


 それでは皆さん。

 改めまして、本当にありが、と────











 ザ、ザザ……




 ザザ、ザザザザザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




『お前らちょっと聞いてくれww』




『えっと、んじゃ早速……スキル、【迷宮管理者】ッ!』




『ドラゴンってさ、デカくて移動も早いよな。

 ってことはさ────畑仕事が適任だよな!』




『最近食費高くね?』




『世はまさに大農業時代──ッ!』




『うっし、労働基準法ぶち壊すか』




『──────ーー!!! ────ッッッ! ──────────────!!!!!!!』




『うおおおおおおおおお!

サボリニキだああああああ』




:おっと、もしかして俺のバカがバレただけ?

:バカニキようこそ




『キェアアアアアアアアアアアアアアアア!! なんでもういるんだよクソがああああああ!!!!』

『ぼルげハぁぁぁあああああああ!!!』




『クッソ、やっぱス〇ローすぎるって』




『お前らが真剣とか、新しい天変地異?』




『さて始まりました! 『安価で世界の命運を決めよう大作戦』、略して安価な命!』




『栗"原"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!! 隙"間"あ"る"ぞ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"!!!!!!』




『……やってやらぁ!!!!!! 安価は絶対だからな!!!!!』




『ドっラゴーーーンっっっ!!!!!』




『──ただぁ!!』

『粗〇?』




『おいスキル野郎、助けろ』




『……今あいつらいねーし、抜け出せるくね!?』




『えっ、お前スレ民なんか?』




『きゃむるぞ』




『スキル【迷宮管理者】はネームドスキル【迷宮管理者ラビリンス・アドミニストレータ】に進化しました』




『お前はここで消す』




『さよなら、『おぅおぇ』の俺達。

 よろしく、新しい――――』











998.スレ主

1時間後────11/2、19:00頃。

待っててくれよな。

お前らに伝える、最後のメッセージ(最終話)

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