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異世界に来た俺はチート能力があって魔王に会った瞬間倒した。  作者: ライトニングブロッカー 教
第九章 ありふれた日常・ただの一般人の章。
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第8話 マスターのお供をする、ノアです。

 散歩に出かける。


「おともします」


「おう」


 ノアが俺のとなりを歩く。


「行き先はどちらですか?」


「散歩しながら考える」


「肯定。なにかお話ししても、よろしいですか?」


「おう。やろうぜ」


「新型コロナウイルスが怖いですけど、手洗いとうがいはされてますか?」


「当たり前だろ。お袋が口うるさいし」


「もう、そんな言い方はよくありませんよ!」


「ごめんって」


 俺とノアは、些細な会話を楽しみながら、閑静かんせいな街を散歩する。



 

 歩いていると、


 泣いている少年がいた。


「あーん! あーん!」


「どうしたんでしょう?」


「さあ?」


 俺は立ち止まる。


 なんとかしてあげたい。


「チートのう・・・」


 俺は途中で、動きを止めた。


 チート能力を使う?


 どう使うんだ?


 子供を泣き止ませるのに、チート能力なんて、意味がないだろ。


 どうしたらいいんだ?


 俺は頭をかかえた。




 魔王を倒す力がある。


 地球を守る力がある。


 異世界を救う力がある。


 でも、


 目の前で涙を流す少年一人、俺は泣き止ませることができない。




「なにがチート能力だ。俺は肝心かんじんな時に・・・・・・・・・・・・無力むりょくだ」


 俺は悔しさで、手を握りしめた。





 ノアが俺の横を通り、


 少年の前でしゃがんだ。


 すまし顔のノアに、少年がおびえる。


 そして、ノアは自分の顔を、手で隠した。





「いないいないばあっ」






 変な顔した、ノアがいる。






「・・・」

「・・・」






 俺と少年は固まった。


「あははは! オネエちゃん、変な顔!」


 少年はノアを指をさして笑う。


 少年が泣き止んだ。


「・・・マジか」


 俺はいろんな意味で、呆気あっけにとられる。


「坊や!」


「ママー!」


 駆けつけてきた母親が、少年の手を引いて、去って行った。


 肩の荷が下りた気分で、二人の後姿を見送る。


 よかった。




 ノアが俺の顔を見てくる。


「マスターでも、出来ないことがあるんですね」


「・・・あ、ああ」


 ノアはにんまりと笑う。


「うふふ」


「・・・うれしそうだな」


「失礼しました」


「いいけど・・・」




「いないいないばあっ」




「・・・なんで?」


「マスターが泣いていたので」


「な、泣いてないだろ!」


「いえ、泣いていましたよ」


 ノアが手で、胸を押さえる。


「・・・・・・心が」


 どうやら見透かされているらしい。


 俺はポケットに手を入れ、先を歩いた。


 ノアがとなりを歩く。


「泣いていない」


「泣いていました」


「泣いていない!」


「泣いていました!」





「ククク!」

「うふふ!」


 つくづく、思い知らされる。


 この世界はチート能力で、どうにもならないことばかりだ。


 だから、俺は思う。


 所詮しょせん俺は、














 ただの一般人だ、と。














〜 完 〜




読者A

「動いて、話して、コーヒーをれるだけの、等身大人形とうしんだいにんぎょうが欲しい」

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