第2話 純白のウェディングドレス。
「逃げずに来たみたいね」
「ああ」
町外れの白い大聖堂に来た。
中は白く広い空間。
スタンドグラスが美しい。
なんか、結婚式で永遠の愛とか誓ったりする場所の、神父の前にある木の台の上に嫁は立って、腕を組んでいた。
手には包丁が握られている。
「一ついいか?」
「ええ」
「なんで嫁って書いて、ファントムって読むんだ?」
「知らないわ」
「なんでなんだ!?」
「質問を質問で返すようで申し訳ないけど、人間がどうして人間なのか、アナタに答えられる?」
「む、無理だ・・・」
「それと同じなの。人間がどうして人間なのか、嫁がどうして嫁なのか、きっと誰にも答えられないわ」
「そうか」
「フフフ、分かってもらえたみたいで、嬉しいわ」
全然分からない。
「まずは着替えましょうか。結婚式にふさわしい姿に」
嫁が包丁を上に掲げた。
結婚式の神聖な音楽が流れ始める。
突然、スタンドグラスがけたたましい音をたてて壊れた。
視界を奪う大量のカラフルなガラスが光を反射させながら宙を舞う。
俺はポケットに手を入れたまま、微動だにしない。
「ずいぶんと派手な演出だな」
「せっかくの私たちの結婚式ですもの。飽きさせないよう、大いに盛り上げさせてもらうわ」
スタンドグラスが全て落ちた時、嫁は純白のウェディングドレスに着替えていた。
「綺麗だ」
「ありがとう」
嫁が木の台から飛び降りる。
そして、包丁を構えた。
「さあ、始めましょう。私たちの最初で最後の結婚式《血にいろどられた決闘》を!! そして、アナタにプレゼントするわッ! 赤いタキシードをねッ!!!」




