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ちびっこ勇者との出会い

 拝啓、お母様。お母様が天国へ旅立ってからどれくらいの月日がたったのでしょうか。

 現在大型の魔物に襲われ現在必死に逃げていますけどまぁ私はまだ元気に生きています、ハイ。

 まぁそんな話は置いておくとして、現在私はとても面倒くさい状況になっています。どういう事かと言うと…


 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?お姉ちゃんこの魔物なんとかしてよぉぉぉぉぉ!!」

 「無茶言わないでよぉぉぉぉ!!」


 異世界から召喚したちびっこ勇者の仲間になってしまったのです……


 時間はさかのぼって一週間ほど前…………

私の住んでいるリーマの村でいつも通り庭で薪割りをしていた時、国王の使いの人が家にやってきました


 「マルア=リヴェルトンさん。国王シャルル=マーニャ様から招待状を預かってきました。」

 「え、私に招待状…?」


 正直この時点から嫌な予感はしていたのですが…その時の私は気にもせず招待状を受け取ってしまったのです。

 招待状を受け取ったことを使いの人が確認すると


「それでは。」

と言い、敬礼をした後城の方へと戻っていきました。


 まぁこんな田舎娘が国王から招待状を渡された理由はある程度予想が出来ていた。その理由は私が勇者の子孫だからなのだろう。

 この国タリア王国は封印から何度も復活する魔王を倒すために数年に1度勇者の召喚を行うのだ。この私、マルア=リヴェルトンは20年ほど前に召喚された勇者の娘なのです。まぁ私としては父の名前や容姿を知らないので勇者の娘だと言う事を気にしたことは全くない。

 何故父の名前も容姿も知らないのかというと、母を孕ませるだけ孕ませて元の世界へと帰ってしまったからだ。全くふざけやがって…自分がそんなクズみたいなやつから生まれたと考えると少しイライラしてくる。


 「ハァ……親のこと考えるの一回やめよ……あ、招待状って何かパーティーでもやるのかな?」


 招待状を確認すると4日後勇者の召喚を行うから良かったら来てほしいとのことで、本当は行きたくないけど行かなかったら面倒なことになりそうだし行くことにした。


 4日後。私はタリア城下町までやってきた。久し振りに城下町までやってきたけど、やっぱりにぎわってるなぁ…

 

 「もうこのまま城に行かないで城下町で買い物して帰りたいなぁ……」

 「だったらもう帰ればいいじゃないか、マ・ル・ア。」


ゲッ……この声は…。


 「ハァ…そりゃ私が招待されるってことは他の勇者の子孫も招待されるわよねぇ…」

 「あたりまえじゃないかwというかそんなに城に行くのが嫌ならとっとと帰ればいいだろぉ。君みたいな田舎娘が城に行ったって白い目で見られるだけだぞぅw」


 このむかつく喋り方をしているのは城下町に住んでいる私の父とは別の勇者の子孫のジャック=ブロンディア。何か私のお父さんとなんか因縁でもあるのか知らないけどしつこく私にちょっかいをかけてくるメンドイ奴。私とは違い祖父が勇者だったらしい。他にも勇者の子孫はいっぱいいるけど省かせてもらうわ。というか…異世界から勇者召喚すんのは良いけど勇者たち子孫残しすぎでしょ……


 「悪かったわねぇ田舎娘で。というかアンタにそこまで言われたら何かイライラしてきたわ…一発殴らせて」

 「おぅw殴れるもんなら殴ってみろよほらほr…?!」

 

 その瞬間私の拳がジャックの顔をギリギリ擦れ風を切る音が辺りに響く。余り女だからと言って私をなめない方がいい、勇者の子供ゆえに常人よりスピードもパワーも上なのだから。

 

 「ふぅ…あんたこういう結果になるの分かってるのに何でいちいち突っかかってくるのかなぁ…ま、顔に当てなかっただけ感謝しなさい。じゃぁ先に行ってるから」

「おい、ちょ…ッくそぉ……」


 ふぅ…いい汗かいた。さて、気分もスカッとしたことだしさっさとお城にむかうとしようそうしよう。ジャックが悔しそうな顔しているけど気にしちゃダメだね、うん。


 しばらく歩くとお城に到着した。お城の門の前には門番が立っており、私が招待状を門番に見せると快く城の中に入れてくれた。お城の中に入ると勇者を召喚するための儀式を行うための部屋に入れられた。

部屋の中心に剣が刺さっておりその周りに魔法陣が描かれていた。部屋の人たちはその魔方陣の中に入らないようにまばらになっていた。見る限り結構貴族のような人が多く、勇者が召喚されるのを今か今かと待ちわびているようでめっちゃそわそわしてたけど、正直私は勇者の召喚なんかよりパーティー料理とかは出ないのかが気になる、というかパーティー料理を出せ。


 さて、そんなこんなでしばらくすると国王シャルル=マーニャがやってきた。

 シャルルが部屋に入った瞬間空気がピリッとしたような感覚に陥る。これが国王の持つカリスマの力と言ったところだろう。


 「皆の衆よ今日はよく集まってくれた、心より感謝いたす。~~~~(マルアは聞いていない)~~~~」


 国王は話が長いから困る……長ったらしい前置きとかは基本的に私は聞いていたくないのだ。良いから早く勇者を召喚すればいいのに。


「~~~~~。……それでは皆の衆。これより勇者召喚の儀を開始する!」


 国王が開始を宣言した瞬間、部屋の中央の魔法陣が光だし光の中に人影のようなものが見え始めた。

今度の勇者もまた魔王倒したら子孫残していくのかねぇ…

 なんてことお思いながらボーっと見ていたら少しずつ光が弱くなっていった。そして勇者の姿が少しずつ見えてきた。


「ん~…どんな勇者が来たのかなぁ…………?!」

ざわ…ざわ…

    ざわ…ざわ…

 勇者の姿がハッキリと見え始めると周りがざわつき始めた。そりゃこんなの見たら誰だって動揺するだろう。国王だって動揺しているんだから。

 私は目をこすり、もう一度確認するが魔法陣の中に立っていた勇者は何度確認してもどこをどう見ても……


 「ううぇっ?!こ、ここどこなのぉ?!」

 

…………ただの子供だったのだ……



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