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夜空に見えるのは青い地球  作者: 妃 大和


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36. 日常再び

つたない文章を読んでいただきありがとうございます。透子ちゃんの引きずっている恋心が少しでも伝わったならうれしいです。

 右手がギュッと握られる。引き寄せられる。

 ーーー上に向かっていると思ったのにクルクルと世界が回る。ただただ回る。前と一緒だ。でも怖くはない。だっていつもの所に帰れると分かっているから。上下の感覚が無くなって、何もかもが心許ないけど、2度目だから我慢できる。ーーー


 と思ったけど、やっぱり気持ち悪いや。前回よりはマシだけど。

 前方につんのめりそうになったけど、シュリさんに抱えられて、今回は地面に手を付くことは無かった。

 上を向けば夜空が見え、街灯の明かりもある。

 あっ、ここシュアくんと会った桜の木の下だ。茂った葉が以前より濃い。

 …帰ってきたんだ。


 ◇◇◇


 黒服のスラッとしたサングラスのおじさん2人とやけに大きな(190センチくらいあるかな)牛のようなどっしりしたおじさんに迎えられ、今、牛さんとシュリさんの3人で私の自宅へと向かっている。

 牛さんはバックスさんと言って、桜の木の次元ゲートの管理人兼日本でのうさ君の生活お世話係らしい。もっと色々聞きたかったんだけど、もう深夜になろうって時刻って事と私が重力負けして身体が重くってだるくってバテバテなせいで省略。詳しくは後日となりました。


 重力ってハンパなく身体に効いているんだね。涙でそう。

 でも、空気が酸素が濃いのは元気がでる。細胞が喜んでいる。


 自宅に着けば、今か今かと待っていた両親に迎えられた。

 黙って一週間もどこかへ行っていたとゆうのに、怒られない。あれ? 


「この度はディディエル家のご子息、デュラン様を助けてくださり、本当に透子さんには感謝しております。」

 バックスさんとシュリさんがすごーく丁寧なお辞儀を両親にしている。

 何々迷子になっていたデュラン様を大使館まで送って、離れたくない、お礼に自分の国に連れて行くとワガママをデュラン様が言って、私を無理矢理連れて行ったそうだ。なんてワガママな…デュラン様の年齢設定10歳だって。それで騙せるなんてバックスさん凄すぎ。騙される両親情けないぞ。だいたいデュラン様って誰だい? 架空の皇子とはちょっと話に無理がない? 国って聞いたこと無い名前だし。


 もう遅いので、ここでもお礼は改めて明日となって解散です。

 両親から私への追求も「疲れているから寝かせて。」とかわしました。実際本当に身体ボロボロなんだよ。物凄くけだるそうな私の姿を見て、両親は何か言いたげだったけど、見逃してくれました。感謝です。

 明日が日曜日で良かった。たっぷり寝ないと色んな意味で現実に戻れそうに無い…爆睡しました。




 ◇◇◇



 あれから、あれよあれよと月日は経って梅雨です。

 裏月での生活は夢かと思うほど遠い日々となりました。


 帰宅翌日、バックスさんとシュリさんが自宅へ来て…分厚い封筒を両親に渡していたんですよ。子供は大人の事情に口は挟みませんとも。口止め料で追求を止める私の両親ではありません。たぶん、いつもと違う私に遠慮して何も追求しないと思いたい。

 人型でありながら毛色の違うお二人を見ていると異世界を身近に感じていたけど、最近は全く会うことも無くて。

 …あれは良い経験させてもらった。…

 くらいの気持ちでいる最近の私。


 裏月での生活は絶対に誰にも話してはいけない!と約束させられたので、誰にも言えません。これがちょっとストレスの元。せめてシュリさんに会って話しでも出来れば良いんだけど、連絡先を教えてもらってないし。向こうは私の連絡先知っているのに。


 体力もなんとか元に戻って良かった。ホント、通学するだけで保健室行きって、どこの深窓の令嬢だって、友達にはからかわれたし。そう言いながら眼がマジだった。行方不明で警察沙汰寸前までなっていたらしいからねえ。

 良いこともあった。部活で台詞言うのがすっごく上手くなったらしい?! どうも裏月での「感情を入れての会話」のおかげで台詞に気持ちがタップリ乗っていて迫力満点の台詞回しをしているらしい。向こうでは感情入れるのヘタで通っていたのに。

 バイクに乗る機会はないので、これは忘れちゃうかな。

 勉強で覚えなくちゃならないこと沢山あるし。

 毎日が忙しい。けど充実。


 うさ君のことは思い出すし、忘れられない。

 でも、実際問題、地球に生活している私がフィアンセの役割を果たすのって、すっごく難しいと思う。

 フィアンセになれたっていう喜びの思い出に浸って、うさ君をこれ以上好きにならないようにしようと私は決めた。

 急がしく生活することで忘れようとしていたと思う。

 二ヶ月もなんの音沙汰もなければ、連絡をとる手段さえ私には無いんだから。



 突然エアメールが届いた。例の見知らぬ国名が差出人の場所に書かれている。差出人の名が入っていない、すごーく怪しい手紙。

「忘れられていると思ったのに…」

 呟きがこぼれた。

 差出人はうさ君だろうな。

 封を開ければ、アタリでした。


 ーー夏にこっちに役割を果たしに来いよ。ーー


 裏月のことなんて何処にも書いていない、何とでもとれる言葉。

 これだけだったのに、私の胸は再び恋しい気持ちで一杯になってしまった。







裏月世界に関わっていく透子ちゃんの導入部はこれで終わりとなります。練との関係は中々進展していませんが、興味を持たれた方は引き続き「異界の夏山は碧き世界を抱えて」にて二人の関係を見守っていただけるとうれしいです。

亀更新でありながら読んでくださり、大変感謝しています。感想など頂けたら幸いです。

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