表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜空に見えるのは青い地球  作者: 妃 大和


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/38

練Side2

 もう彼女が1位になることは無いのかと思っていた。

 そのくせ彼女なら何かするのではないかとも思っていた。


 婚約者決定レースの実況中継と途中のチェックポイントでしか様子は分からない。


 早々バイクランで先頭集団からこぼれていたのは見たし、あいつがまき散らす思念で王都を抜けるのに苦労しているのは分かった。ギャーギャーと賑やかで面白い物を見せてもらったものだ。


 空中バイクランは得意だったようで、レースの順位を上げていたようだった。

 多少の危険はあるがシュアがついているからなんとかなるだろう。


 自分のために大勢の女が争っていることを考えると気持ちが冷めていくのがわかる。国民を楽しませるというコンセプトからはそんな素振りをみせたらいけないんだが。所詮自分は半端な存在なのに。見世物扱いってことか。

 やたら良い面だけ見られているようで、肩身が狭い。そんな特別な存在でなんかないのに。


 でも彼女が怪物に襲われた時、怪物の咆哮を聞いて皆が動けなくなった時、最初に動けるようになった自分を特別で良かったと思った。

 王族の精神力の強さと人間の異形に対峙できる強さ、その二つが他人より勝る自分の力を初めて自覚する。

 成人に近づいた今、幼い弱さはない。

 駆けつけて、獣人ではなく異形と形容される姿の猪豚を見ると、戸惑うことも無く剣を切りつけることができた。

 ひるまず彼女が猪豚に向かっている。彼女を守らなければ。身体が考えるより先に動く。


 いつの間にか、彼女のレベルの高い拘束の言葉に助けられながら猪豚を捕縛していた。


 警備は万全なはずだった。

 こんな猪豚、この国のどこに居たんだ? どこで飼っていた?

 眼は虚ろだし、会話が上手く出来ない。獣人とはいえない。(けだもの)だ。

 単に俺の警備の不手際とするためか、婚約者になっては困る人物に危害を加えるためか、嫌がらせにも程がある。感情を隠してこんなことを計画実行できるだけの精神力をもった敵がいるって事だ。だれもが素直に王族に従っている訳じゃないって。


 このままレースは中止と誰もが思ったことだろう。

 なのに彼女は走ろうと言う。

 こいつ、強い。色んな面で。

 精神力だってもうかなり使っているはずなのに、身体だってクタクタなはずなのに。

 そしてこの現状を楽しいと言い切るんだもんなあ。


 眼が離せないじゃないか。


 彼女が1位となれば、もう当然そうだろうと納得できた。

 むしろ他の獣人がなっていたらと思うと冷や汗が出てきそうだ。


 皆に婚約者だと宣言するときには、彼女の肩を抱いていた。

 女の子にこんなことするのは初めてだったが、俺のものだとすることで彼女を色んなしがらみから守ることにもなるし。というのは建前で、役得だよな。俺も一応男子な訳だし。


 彼女から好意が向けられているのは知っている。あいつの感情、だだ漏れだもんな。

 悪いとは思うが、自分にあいつへの恋愛感情があるかどうか、まだ分からない。

 でも気に入っているし、一緒にいれば楽しそうだ。仲の良い異性の友人ってとこか。

 友人さえいない今、貴重な友人殿は大切にしなくちゃならないって事だけは分かっている。身勝手なのは分かっている。取りあえずこれで勘弁してくれ。

 皇子というだけで熱い視線をもらったりはしていたけど、皆が思うほど女子慣れしてないんだよ。


 あいつがフィアンセになったと思うと自然と口が弧を描くのを自覚する。

 まだ認めたくはないが惚れているのかもしれない。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ