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魔像の湯

 冒険者ギルドから数分歩いた先にラーメン屋【月影】があった。


 木造平屋、黒い瓦屋根は大和の影響を感じさせた。敷地と建物が存外広いのは、【月影】に併設して風呂屋【魔像の湯】を営んでいるからだ。

 庶民は自宅にちゃんとした入浴設備がないのが普通で、水浴びや体を拭く程度で済ます。なのでココは、ちょっと贅沢な憩いの場であった。


 ソドム達は六人掛けのテーブル席に三人並んで陣取り、ワンタンメンを注文し、自家製麺と薄皮ワンタンに舌鼓を打っていた。晩飯には少し早い時間なので客は少ない。


 トビウオ・煮干しと鶏ガラなどでとったスープは絶品で、料理が得意なソドムでも原材料の特定には難航し、「無理だ、とりあえず食を楽しもう」とあきらめた。


 やはり、人気店ともなると一筋縄ではいかぬもの、煮干しといっても、焼き干しと煮干し両方使うこだわりようなので、食べたから再現できるものではなさそうだった。


 ちなみにソドムは、麺を啜るのが好きではないので、麺を箸でとってから口で受け止め、箸で麺を手繰っては口に運ぶ。そうすれば、音も出ないし途中冷めて食べやすいからだ。


 大和の文化に染まりきっていない者は、音を出して食べることが受け入れがたい。それとは逆に通《つう》ぶって啜る者もいる。

 

 その最たるものが彼の両脇を固める女性陣、見よう見まねで麺を啜っているから堪らない。


 これがまたヘタを通り過ぎて、皆の注目を浴びているのだ。


 髪の長いレウルーラとルゼッタは左手で髪を押さえ、


「ジュゾゾゾ~」「ジュゾ!ジュパジュパ」などというエロい音を立てて啜り、満足げに咀嚼しながら 啜らないソドムを見て「麺類で音を出すのはマナー違反じゃないのよ」と言わんばかりのドヤ顔をしている。


 彼女たちは、正しいマナーという自負があるので、周りの男性客からの視線など気にしていないようであった。


 ソドム的には彼女らが、ミニスカ・ハイレグという服装で男に注目されることは許容できるが、エロい妄想に繋がる行動は何とも恥ずかしく思えて顔を赤らめた。

(かといって、二人で美味しいね と喜んで食べているのに 抗議するのも感じ悪いし、いかにも器が小さい。この二人が幸せならそれでいい、啜り方が上達するのを期待しよう・・・)


 ラーメンの熱さと恥ずかしさに困るソドム。顔を上げて とりあえず店内を見回した。


 客席はカウンターも含めて五十、店員は六人ほど、ピークタイムになると店員は増えるのかもしれない、と ソドムは思った。

 店員の半分はハーピーであることから、亜人との協力関係はスウィートの街より進んでいると感じた。

(我々のダイバーシティ計画より先に、亜人が社会に馴染んでいるようだな)



 地元の者しか知らないが、アクシーズに戦士として加入しているのはハーピーのエリートで、飛行適正がない者は人間と同じく普通に働いているのだ。


 飛行適正・・・とは言っても、基本ハーピーは飛べるので、実際はトイレトレーニング力という言葉が近い。


 彼等ハーピー族は、鳥の習性が残っているため、飛び立つときに糞尿を出してしまう癖があった。

 少しでも体重を軽くして、飛行を楽にするための習性なのだが、野生生活でないので それでは諸々問題がある。


 では、「我慢すればいい」となるのだが、構造上、難しいらしい。

 

 例えるなら、人間が大をするとき一緒に出る小を我慢しろといってるようなものだ。まず無理だろう。


 ゆえに、糞尿を漏らさず飛び立てる一握りの者が 空の戦士になり、称賛されている。

 とはいえ、地上で働いてる者達が劣等者として差別されているわけではない。彼らは人間より骨がスカスカぎみで打たれ弱いため戦士系を避け、一般職に就く者が多い。むしろ、将来性を考えたら、命の危険がある職より、安全に末永く働ける一般職を選ぶ方が賢いかもしれない。


 

 ハーピーの考察をしながら、店内を見ているソドム。湯上りの客がチラホラいることに気がついた。彼らは赤紫の浴衣に白い帯を巻いているので、異国情緒を感じさせてくれた。


 ソドムの前を横切ろうとしている女だけ特別なのか、白い浴衣に赤紫の帯だったのでひときわ目立っていた。歳は三十前、長い黒髪は後ろで束ね、風呂上りなので すっぴんであった。体の引き締まり具合からして、ただの町人でないことがわかる。


 その女は、ビン牛乳を飲みながら横切る・・・途中で立ち止まり ソドムの風体と顔をマジマジと見た。レウルーラとルゼッタは、何となく身を引き、どんぶりを手で覆う。

 

 何の用事かな?と、ソドムが赤い眼を女に向けた時、「ブベェ~!」と牛乳を吹き付けられた。


「うわぁ~!うわぁぁ~!!」と、後退りしながら叫んだ。


 ひとしきり叫んだ女は腰を抜かし、ストンと尻餅をついた。レウルーラは その顔にピンときた。


「あなたは・・・アクシーズの月山九兵衛レイコ!!」


 前日に漁夫の利を狙ってきた躑躅色《つつじいろ》の集団・・・派閥アクシーズ棟梁であった。


 現場で居合わせたルゼッタは、離れたところで見た程度だが、遠見の平面水晶で見ていたレウルーラは、画面を拡大してリーダー格の人物を覚えていた。



 街《ホーム》ゆえに油断していたレイコだったが、敵対派閥に出会った以上、堂々たる対応をしなくてはならず、ゆっくりと立ち上がる。


 が、すぐに心が折れた。


 ただでさえ、竜王《ソドム》の恐ろしさを練り込むように聞かされて育ったというのに、その正体は もっと凶悪なデスドラゴンだったので気絶しそうであった。

 あろうことか牛乳を吐きかけてしまっては・・・、絶望という言葉が頭をよぎる。もはやなりふり構わず謝るしか選択肢がない。

(ででで、終末竜《デスドラゴン》に牛乳ぶっかけてしまったぁぁぁ!超常の化物に対抗策などあろうはずない。身の振り方次第で人生どころか街が滅ぶ・・・)


「本当に申し訳ない!」と、非礼を詫びた。そして、自らの口を拭うことなどを忘れ、店員から受け取ったタオルでソドムの顔を甲斐甲斐しく拭いた。その手は恐怖で震えている。

(しかし…普通、敵対派閥の街に留まるか?それとも、揉め事を起こして、それを口実に我らを潰す気か?)


 これにて派閥の上下関係が決まったようなものだ。せっかく昨日アクシーズ幹部で協議して、ハッタリでも対等な立場でネオギオンにあたると決めたが、大和民としてのソドムへの畏怖が出てしまった。

(む、隣の女は昨日の聖印徒!ならば、ギルドとなんらかの契約をしているだろうから、争わずに済むか!?)



 被害者であるソドムの頭の中は、牛乳のように真っ白であった。

 せっかくの休日、楽しみにしていたラーメン、女を侍らしている優越感、これら全てがブチ壊された。


 まあ、顔にぶっかけられたのは初めてではない。以前シュラが食べ放題でむせて、ソドムの顔にパスタをぶちまけたことはあった。


 その時の言い訳は今でも忘れていない・・・。「隣には冴子さんとルーラがいるから汚いもの吐けないじゃん。なら、正面のソドムでいいかなって」と、ゴミ同然の扱いをされたことを。


 それに比べれば、謝罪しただけでもマシだったので、怒ってはいなかった。気持ちは沈んだが。


「何でもなくはないが、気にしないでくれ月山殿」ソドムは彼女の物腰からレウルーラの情報が正確だと思い、ちょっと毒はあるが紳士的に振舞った。


 話によれば、昨日 直接は戦っていないので、わざわざ揉めても益はない。元々はチヤホヤされたくて王を目指したのだ、このように世話されるのは嫌いじゃなかった。


「今の時間でしたら、貸し切り風呂が空いてますので、よろしければ…もちろん、飲食代も含めて支払わせていただきます!」レイコは、デスドラゴン相手に必死である。

(強大な力を持つソドムだが不思議と野心は無く、小市民的な娯楽を好むと祖父から聞いている。冷静になれ、冷静になれ・・・、幸い厄介なシュラ姉はいない、これに乗じて友好関係を築き利用せねば)



「・・・」ソドムは、牛乳によってミルキーに成り果てたラーメンを見て「そうしよう、俺は風呂に行ってくる」と言い、すっくと立ち上がる。


 レイコは、極々さり気なくタオルをソドムの股間に当てようとしたのだが、レウルーラによって弾かれた。「すいません」とばかりに、微かな笑顔で弾かれた手を押さえるレイコ。

 その手には少し血が滲んでいて、戦士である彼女は 魔術師の手に暗器があると悟った。

(恐い恐い、ガードは堅いようだな)


「貸し切りなら、わたしも一緒に行くわ」レウルーラは食事を中断し、何事もなかったかのように立ち上がってソドムにくっついた。宿のシャワー生活に嫌気がしていたので、手のひらを返したようにご機嫌になったようだ。


 レイコは水面下の争いを隠して、

「かしこまりました。御召し物は、その間に洗って乾燥させておきますので」すぐさまスタッフに事情を話し、ソドム夫妻を案内させた。

(男としての魅力はないが、あの力があれば我がアクシーズが連邦を倒すのも夢ではない)


 以前からアクシーズの方針として、不倶戴天の敵である連邦系派閥とは手を組めないとは決まっていた。ましてや、亜人・魔物・邪教徒の殲滅を掲げる 光の神ホルス・過激派タイタンズでは相容れない。


 ならば、ネオギオンと手を組むべきだったが、本拠地が近いため、将来的に利害関係で衝突しそうなので、あえて接触してこなかった。やはり、同盟は遠交近攻が望ましい。

 しかし、状況は変わり 噂に過ぎなかった影王ソドムが復活し、圧倒的な力を見た今となっては、味方に引き入れないと、こちらが滅ぶと確信した。


 同盟の懸念材料として、最近 傘下のハーピー族がネオギオン支配下の街スウィート近くにあるリザードマン集落を襲ったばかりである。あとはアクシーからの入植者を送り込み、冒険者ギルドを設置すれば、こちらの勢力圏内への引き込みは完了する・・・という段階まで進んでしまっていた。


 ネオギオンの潜在的敵勢力が近くに迫れば、ソドムは危機感を覚えるに違いない。いわば、手を繋ぐ前に ぶん殴ってしまったような状態だ。

(この感触だと、集落の件は知らぬようだ。さて・・・、搦め手としてソドムを落とすのは どうか?だが、正妻レウルーラにシュラ姉、冴子という三人の妻がいて、それらを排除するのは困難だろう。突然の出会いにビビッてしまったが、ここはひとつ対等な盟友を演じて共闘し、何らかの形で祖父《おじいさま》のように恩を売り、操るのが最善か)



 レイコは閃いた、「そうか、リザードマン集落を割譲して恩を売ろう」と。

(まずは、眼前の聖印徒と仲良くなるのが全ての近道か)

 

 聖印徒は担当した冒険者と共に戦うが、基本的にはギルド職員なので中立だ。それゆえ、敵対派閥だろうが話すことは問題ない。


 ルゼッタは「食べないんでしたら、チャーシュー貰っちゃいますよ~」と、遠ざかるソドム達に声をかけてから食事を再開したが、啜り方がアウトだったので、見かねたレイコは観光客である彼女に食べ方をレクチャーした。


「あなたね、箸の持ち方はいいんだけど、啜り方は・・・練習が必要かな。麺を啜るときに汁を連れてき過ぎなのかも。汁はレンゲで後追いで吸うといい」そう言って、思い出したようにタオルで自らの顔を拭く。ソドムがいなくなったからか、レイコの口調は自然体になっている。そもそも、この店はアクシーズ系列なのだから、かしこまる必要などないのだ。


「なるほど。さすがは大和民、アドバイスが的確です」ルゼッタは素直に感心した。


 レイコは、彼女には裏表がなさそうだと感じ、向かいの席に座り、

「そういえば、昨日は目を見張るお働き。あのシュラ姉と二人だけで魔神を倒し、タイタンズとも戦うとは恐れ入った。しかも、仕掛けはわからぬが影王を召喚するとは・・・。宜しければ、お名前を教えていただけるか?」と、ルゼッタを持ち上げた。


 案外ちょろいルゼッタは、褒められたのが嬉しくて

「聖印徒のルゼッタと申します。少し前には貴女と同じ冒険者をしておりました」などと、余計な情報を付け足す。


「!?ああ、聞いたことがある。確か・・・、今はジオルド担当になった聖印徒クインと二人で魔神を討伐して、ゴールドランクになった勇者ルゼッタ殿か」とんだ有名人と逢ったものだと、レイコはわざと大げさに驚き、両手でルゼッタの右手を握った。


「いやぁ、そんな大そうな事は・・・」と、照れるルゼッタ。あっさりと心も掴まれたようである。


  月山レイコは武家の棟梁ゆえに、幼き日より剣術の鍛錬を怠ったことはなく、その実力も かなりのものだと自負している。

 大将たるものに剣術は不要、という考え方はあるが彼女の師である祖父は違っていて、「荒くれものである兵を束ねるには畏怖されるほどの武が必要だ」という思想の持主であり、大将を狙って突進する敵を止めておき 逆撃することもできるため戦術上でも有効だと教えられて育った。


 その達人目線で、ルゼッタを「できる!」と判断し、真面目そうな雰囲気からネオギオンとの橋渡しに丁度いいと思った。

(このような可愛らしいお嬢さんが どんな経緯で血生臭い道に入ったのやら)

 ルゼッタの背景は後に聖印徒に聞くとして、まずは相手の信用を得るために、こちらの内情を話し出す。


「我々の戦力は小粒揃いで・・・集団戦は得意なのだが、ズバ抜けた実力者がおらず、狭いダンジョン攻略は数で押し切るしかない」


「そんな・・・、わたしたちもギリギリで勝利をもぎ取ったにすぎませんよぅ」照れまくって、麺を何度も上げ下げするルゼッタ。ガーターズの稽古は厳しく、しょっちゅう褒められるわけでもないので、嬉しいのだろう。


「勝利への執念は大事!ミッションは成功しなくてはは意味がない。・・・情けない話だが、この先の小島にある祠《ほこら》から配下の忍びが【天沼矛《アメノヌボコ》】を奪取したがのだが・・・」


「あ・・・、そんなところにあったのですね!わたしたちの聞き込みでは、有力な情報がなくてお手上げでした。やはり、現地の方々には敵いませんね。しかも、サムライだけでなく、忍も配下にいるとは、すごい組織力です。依頼は取り下げられたので、私たちは観光に来たと思うしかないですね」ルゼッタは能天気だ、ソドム・レウルーラが情報が入り次第、横取りを狙うとは思っていない。



「天罰なのか島主の仕業かはわからぬが、流木を利用した水遁の術(流木のふりをして、水面下では、竹筒を使い呼吸して進む)で帰還している途中 大きな衝撃が三度ありまして、天沼矛を喪失してしまった・・・。幸い、忍び達は一命をとりとめたが、深淵の魔王討伐のアイテムを失ってしまった」同情を引くため俯くレイコ。



「・・・」ルゼッタは、その悲劇に続きがあるのかと固まった。

(待てよ、衝撃が三回・・・。今日、偶然にも わたしが流木を的に砲撃訓練をしたのですが・・・斉射三連を)


 ルゼッタの反応に違和感を感じたが、レイコは続けた。

「どうやら島主の棲み処である小島は、天沼矛の力でかろうじて存在できたものらしく、祠から我々が持ち出したため、島は海に沈み、怒った主が海域の船を襲いだした」


「えー!そんなことが起きてたんですか!」身を乗り出したルゼッタであるが「ホッ、それに関しては わたしのせいではないです。なにより、忍の方々が無事で良かった」と胸をなでおろす。


「我々の落ち度とはいえ、洋上の魔物と戦うのは得意としていないため復讐できずにいるのだ。ハーピーによる攻撃も海に潜られれば効果は薄い、サムライも船の上では実力を発揮できないからな。なにより、主力艦隊は遠征中で、戦える船は一隻しかない。先ほどギルドには正式に依頼を出してきたが、ネオギオンの方々には、共闘をお願いしたい」と、レイコは頼み込んだ。

(見たところ小娘はソドムらと家族同様の関係性。となれば、彼女を通して頼めば断れまい。正直、あの魔獣が近海で暴れていると、交易に支障をきたし、原因を作った我らの支持率が下がる。コヤツ等を利用してでも速やかに排除すれば、逆に信頼が高まるというものだ)


「ゔっ、よ…喜んで協力させていただきます!」ルゼッタは罪悪感によって、引き受けざる得なかった。


「真か!?あの影王を説得してもらえるのか?」喜び詰め寄るレイコ。想像以上に あっさりと利用できそうなので驚いている。派閥という観点からすれば、厄介な魔物など放置して、少しでも損害を与えたいと思うのが普通なのだが。


「大丈夫だと思いますよ。海上交易の妨げは この街のみならず、他の地域への悪影響になりますから。民のためになり、その対価として報酬が貰えるなら、あの方は断りません。闇眷族の頂点と恐れられてるかもしれませんが、実は良い人なんですよ」と、ルゼッタは珍回答をした。


「影王が良い人!?デスドラゴンだぞ?」クールなお姉さんを演じているつもりが、声は裏返り「お前、頭大丈夫か!?」という疑念溢れる表情になってしまうレイコ。


 それはごく普通の反応で、「影王率いるネオギオンは大陸進出と世界征服を目論んでるに違いない」と、アクシーズでは分析しており、そこに”良い人”などという要素は微塵もなかった。



「え・・・、そりゃあ・・・シュラさんに空気椅子させて そこに座って食事したり、夜は私が気絶するまで稽古しますけど、それはあくまでも修行の一環だと思います。良い所もあるんですよ!ちゃんと船の掃除当番に加わったり、シュラさんの食べ残しを食べたり、シュラさんの着替え手伝ったり・・・」いうほどソドムの良い所が出てこないルゼッタ。


「そ、そうなのか。なんだか普通にお父さんだな。相変わらず、シュラ姉は私生活ダメダメなのか」


「ええ、義理父《おや》と娘という関係性は変なところで継続しているみたいです、フフッ」ちょっと可笑しくてルゼッタの顔がほころんだ。


「ともかく、よろしく頼む。討伐は早朝、もしシュラ姉が不在で船乗りが足りないのなら、こちらから貸し出そう」


「ちなみに・・・おいくらほど頂けそうですか?」ルゼッタはガーターズに染まってきて、生活に直結する報酬を気にした。

(わたし一人ならボランティア価格でも構いませんが、皆さんの生活もありますし)


「ああ、手続きはギルドでしてもらうが、討伐報酬は金貨十枚だ。こちらの損害が軽微だった場合は色を付けよう」


「わかりました、そのように交渉してみます」

(経験上、この額なら引き受けるはず)


「よろしく頼む。そうだ、せっかくだからルゼッタ殿も風呂に行ってみてはどうかな?家族同然なのだろう?」


「え!いやいや、それはないですよ。殿方と一緒なんて!」と、顔を赤らめるルゼッタ。


「そうか?相手は妻が三人いる男だぞ、気にしないと思うがな」と、レイコは少し意地悪そうに口をゆがめた。


「こっちが気にするんです!!店員さん、チャーシュー麺のチャーシュー増しお願いします」ルゼッタは恥ずかしさを誤魔化す為、追加注文して強引に話を終わらせた。

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