話し合ってみた
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「王都は急な王の崩御で大変だったようですね」
アリサは思った以上の装備の出来に興奮気味で、できるなら今すぐにでもダンジョンに行きたいと考えていたのに、ルリは出された紅茶を飲みながらモンゾールさんと話を続けた。
「ええ、それはもう驚きでした。ドラゴンの肉の噂が王に届いた途端近衛兵や衛兵に警察までが犯人捜しの様に持ち主を探り始め、私は肉は持っていませんでしたが他の素材を持っていましたので身も縮む思いでいましたところ急な崩御で都民も皆驚いていました。ここピスリッツに黒龍が出たと知らせもありましたから、黒龍による天罰ではないかと言う噂も立つほどでした。そんな事もありオークションの開催が見送られドラゴン素材を売るのにも時間が掛かってしまい、この様にお待たせする事になってしまいました。しかしお陰で装備の方は職人が時間を掛けて作れましたので、こうして思った以上の出来の物をお届けできました次第です」
「あの王ではこの国の滅びが見えていたな」
「しかし今度の王は宰相殿もお墨付きの人格者ですし、正統なお血筋でもありますので安心でしょう。近く戴冠式などの行事が行われる様ですので、王都へも一度出向かれてみてはいかがですか」
「どうします?」
アリサは心ここにあらずで話を聞いていたので、急にルリに話を振られ慌ててしまった。
「この国の王にあまり興味も無いし、お祭りは嫌いじゃないけど王都での行事となると人がごった返すんでしょう。それならダンジョンに挑んでいた方が良いわ」
この街にある高難易度ダンジョンはいまだに最深部迄到達した者はいないと言う話を聞いて、アリサはレベルも上がったし装備も整ったので是非挑戦したいと心からそう思っていた。
「ははは、ルリは王都に行きたそうだな」
「ええ、私は実際にこの目で確かめたい事もありますし」
「俺も一度は行ってみたいと思っている」
「じゃぁ、王都での行事が一段落するまではダンジョン攻略して、その後で王都を目指す事にしようよ」
ルリとシオンが王都に行きたいと言うので、アリサはせめて落ち着いてからと主張してみた。
「私はそれでも構いません」
「まあ、俺もそれでいい」
「それじゃ明日から高難易度ダンジョンに入って、その後王都を目指す決定で良いよね」
アリサ達は明日からの予定を確認しあい、その後モンゾールさんと暫く雑談をしてから宿へと戻った。
宿はこの街に居る間は遠慮せずにそのまま滞在してくれて良いと言うモンゾールさんの申し出を有難く受ける事にした。
「これからも変わらぬお付き合いをよろしくお願いいたします」
モンゾールさんのみならずオッカムさんや店員総出での見送りに、アリサは照れ臭い気持ちを抱え俯き加減で足早に店を出た。
名前 アリサ
ジョブ ナイト
レベル 72
HP 574
MP 916
力 804(+25)
素早さ 913
体力 413(+10)
魔力 603
運の良さ 930
固定スキル 鑑定 複製
装備 ドラゴンローブ ドラゴンブーツ ドラゴンのムチ