共闘してみた
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次にどこのダンジョンを攻略しようかと話し合った結果、冒険者達に人気の鉱山ダンジョンを避けてアンデッドダンジョンに挑む事にした。
そのダンジョンはアンデッドダンジョンと言うだけあって、山脈近くの谷間に有る墓場のダンジョンでアンデット系の魔物が多数出る事で有名だった。
この世界のアンデットは光魔法が弱点だと言う事は無かったが、HP回復ポーションでダメージを与える事ができるのは有名な話になりつつあった。
なのでアリサは、上級ポーションを購入し事前に複製しまくって準備していた。
別に他の攻撃手段で倒せない事は無いが、ポーション1本で倒せるのならMPを代償に複製できる私にとって魔法を使うのと変わりないので別に惜しくもない。
他の冒険者では余程お金を持っていなければできない戦術だし、アンデット達に湯水のごとくお金をかけて倒すほどの価値があるとも思えなかった。
なのでこの戦術はアリサにだけ可能な戦術だと言えるだろう。
この一見地味な『複製』スキルの有難さがここでも身に沁みる。
街から1時間ほど歩いた所にあるアンデッドダンジョンは、荒野のダンジョン同様外から景色として見ているとただの墓場だった。
しかし一歩ダンジョンへと踏み込むと途端におどろおどろしい雰囲気になり、夜の様な薄暗さの中にアンデッド城らしき大きな邸も現れた。
ジョブはモンクに変更した。
モンクは扱える武器が少ないので今のうちに済ませてしまおうと考えたのだ。
モンクは蹴り・ためる・格闘・チャクラ・カウンターと言うアビリティーを覚える事ができ、両手攻撃が可能なので一回で二度の攻撃判定があるのが美味しいジョブだと言えるだろう。
なのでアリサは片手にポーションを握り、殴り攻撃でポーションの瓶を割ってダメージを与える事でジョブレベル上げをしていた。
上級ポーションだけあって思っていた通り1本で消滅してくれるので攻略するのは楽だった。
中級ダンジョンだと言っていたので少し身構えていたが思った程では無かったので、アリサは安心して見かけるアンデッド系の魔物を次々と倒しまくった。
そして墓場エリアのエリアボスであるワイトを上級ポーションを3本も使ったが攻撃されること無く倒し邸エリアへと突入する。
墓場エリアはボーン系のアンデッドが多かったが、邸の中は死霊系の実体のないアンデッドに変わっていた。
それでも上級ポーションの威力は変わらず一撃なのでサクサク進んで行く。
実体が無い筈のアンデッドなのに、殴り攻撃も蹴りも通るのが不思議だった。
広い邸の中を一部屋一部屋確認しながら進んでいると、キッチンと食堂が繋がった大きな部屋がモンスターハウスになっていた。
スケルトンやレイスに混じってリッチなども現れ一瞬たじろいでしまったが、ルリとシオンが左右と後ろを守ってくれたのでアリサは前方だけを注意して寄って来る奴らを倒して行った。
溢れんばかりに居たアンデッド達を倒し終わる頃にはジョブのレベルがかなり上がっていたので、少々疲れたが良かったと思う事にしてルリとシオンに感謝の気持ちを伝える。
「ルリもシオンも本当にありがとう。お陰で助かりました。それにしても相手がアンデッドでも変わらずに強いんだね」
私は上級ポーション無しでもアンデッド達を楽々と倒していたルリとシオンに改めて感心していた。
「一体づつ倒すのは楽ではありませんでしたけどね」
「私を誰だと思っている」
疲れも見せずに余裕然としている二人の様子を見て少しだけ悔しかった。
「じゃぁ、少し休憩したらもう一度挑んでも良いよね」
アリサはニコリと笑顔を作るとジョブレベル上げの効率を考えて二人にそうお願いしていた。