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おひとり様で行くファミコンRPG世界冒険録  作者: 橘可憐
2 転移編 1ヤキニック王国
52/95

実感してみた2

森林ダンジョンの第二エリアの広さは第一エリアとあまり変わらないのに構造が複雑だった。

倒れた大木の空洞がトンネルの様になっていて次の画面へと続いていたり、倒れた幹や枝を渡って画面を変える必要があったりと結構複雑だったので探索に時間が掛かった。


しかしそのお陰で着実にレベルも上がり、黒魔導士が使える魔法はすべて解放され魔法の熟練度も着々と上がっていた。


そしてどうせならそのすべての魔法の熟練度を★3にしようと考え、今は第二エリアボス討伐マラソンを実施していた。


第二エリアのボスは巨木トレントで、木の根を地中から槍の様に突き出したり、葉を手裏剣の様に飛ばしたり木の実を飛ばし破裂させたりととても厄介だった。

だが初めのうちはルリやシオンがきっちりと私を庇うように手助けをしてくれたので如何にか倒せていた。


しかし今は戦闘にも慣れすべての魔法を使える様になり、上位魔法も使えるので結構余裕が出て来ていた。

巨木トレントの攻撃を避け広範囲魔法で一撃だ。


倒したら同じこの場所へデジョンを使い『戻る』とトレントは復活していたし、トレントはエリアボスだけあって攻撃してくるまで少し間があるので先制攻撃もしやすかった。

その上にその姿が消えるまでに時間も掛かったので、トレントが消えるまで魔法を次々と発動させる事で魔法の熟練度も気持ち良いほど上げられた。


そして疲れたらこの場でトレントが自然にリポップするまで休憩をする事もできて、他の冒険者を見かける事も無く安全に思う存分好きな様に籠り効率良く熟練度上げの作業を続けていられた。


黒魔導士の魔法の熟練度は100回で★1・500回で★2・1000回で★3・3000回で★4・5000回で★5になる事が判明した。


取り敢えずジョブを変えても使えるよになると言う★3を目指し、今は熟練度の★が埋まって行くのが楽しくて時間を忘れてトレントマラソンを繰り返していた。


敵が巨木一体だけだったのも、魔法の熟練度上げと言う作業をする上でとても楽だったのも時間を忘れさせる要因だったと思う。


そしていよいよすべての魔法を★3にしてみると、この際だから★5にしてみようかと考え始めている自分が居た。

既にファイアは検証のために★5になっていた。


一つを★5にしてみると、何だかすべてを同じにしたいと言う欲求と、その為にはこれから今までに掛かった5倍の時間が必要なのだと言う思いの狭間で私の気持ちは揺れ動いていた。


「後2週間位この場に籠っても良い?」


「私は別に構いませんが、悩んでいるなら気分転換をしてみてはどうかしら」


「そうだな、途中の出入口の外に村もある事だし一度行ってみるのも良いだろう」


この第二エリアの途中にダンジョンの外へと繋がる出入口があって、このエリアで活動する冒険者達が拠点としているらしい村もある様だ。

ルリとシオンはどうもその村の事も気になっているらしい。


「じゃぁ一度気分転換してじっくり考える事にするよ」


私はそう決めて出入り口まで戻りダンジョンの外へと出ると、すぐ目の前にあまり大きくない村があった。

冒険者の為の村と言うだけあって、畑や鶏や山羊の放牧を営む者の他は素材の買取や道具屋に宿屋に食堂と言った店を経営する者達ばかりだった。


この村を拠点に第二エリアを探索して少し稼いでは街へ戻る冒険者も多く居るらしく、娯楽施設の様なものは一切無かったがそれなりに賑わっていた。

取り敢えず必要最低限冒険者に必要な物は揃っていると言った感じの村だった。


そしてここへ来て初めてとても重要な事に気が付いた。

私はすっかり風呂の事を忘れていた。

身体を綺麗にするための道具も用意せずに、2週間も籠る事を考えていた自分がとても恥ずかしい。


せめて着替えや体を拭く為の手拭いや桶の用意位はしないと、何日も野宿をするなんて健全な人間としてまったくダメダメだろう。

私はたとえこのまま熟練度上げを続けるにしても、一日一度はこの村に戻り宿に泊まる事を心に誓う。


そしてその前に素材買取所へと向かうと、ここでも『肉買い取ります』の張り紙。

私は迷うことなくウリキョンがドロップした上カルビを35G上ロースを50Gで買い取って貰う。


それから道具屋の前の『トレントの枝買い取ります』の張り紙を見てトレントの枝も25Gで買い取って貰った。

エリアボスのドロップ品にしては随分と低価格なのに少々不満を感じたが、そのお陰であの場所を独占していられるのだと思うと納得しておいた。


他にもマンドレイクの素材やトレントの実や毒キノコや高級キノコに鱗粉に蝶の羽と言ったアイテムも多数あったが、クエストが無かったので街に戻ってから売る予定。


かなり潤った懐具合を確認して、着替えと念のための野宿清潔セットとして桶や手拭いに石鹸と歯ブラシと歯磨き粉を購入。

歯磨き粉が缶に入った粉だったのを見て、ああやはりこの世界の基本は昭和なのだと実感していた。



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