スキル剪定
前述しているがプレイヤーは基本的にスキルを剪定する必要がある。その時に使うのが合成・分解・特性化のどれかだ。
この三択に正解・不正解はない。
どれを選ぶかはプレイヤー次第。
「あー、先に言っておく。俺の方針だが……」
色々な宗派があるので、コメント欄も指示コメで荒れ始めた。
〈分解がオススメ〉
〈ガチャ頼む〉
〈プロなんだから特性化でしょ〉
〈合成しか勝たん。ていうかガチャがみたい!〉
「基本的には特性化しかしない」
……のだが。
〈やっぱり一番ムズいとこいくか〉
〈特製化って扱いがムズすぎるんよな〉
〈ガチャしてくれー!〉
〈ガチャやれ〉
〈ガチャが見たい〉
ガチャの魔力があることは俺も認めるところである。
配信映えするしな。少しは視聴者の期待に答えるか。
「……まあお前らのために合成もやるよ。少しだけな」
〈嫌そうw〉
〈やったー!!!〉
〈ナイスゥー!ワカッテルゥー!〉
「いらないスキルは……そうだな」
俺はステータスを確認しながら吟味する。
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コモンスキル【無心】
心が乱れにくくなる
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これと、
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コモンスキル【フォレストラン】
森のフィールドで走りやすくなる
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これだな。
「無心とフォレストランを合成してくれ」
「……合成したスキルは消失します。入手できるスキルのレアリティが上がる確率は20パーセントです。よろしいですか?」
「ああ」
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コモンスキル【無心】
と
コモンスキル【フォレストラン】
を合成します
…………合成完了
コモンスキル【初級風魔法】を入手しました
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〈基礎魔法きちゃ!〉
〈コモンのままか……〉
〈でも買ったら100万円するぞこれ〉
「んー、レアリティは上がらなかったが、基礎魔法は当たりだな。それも俺と相性の良さそうな風、運が良かったな」
〈もう一回!〉
〈もう一声〉
〈まだいける〉
「うるさい。ガチャはもうやらん。あとは特性化していくぞ」
エルガンに頼んで次から次へ特性化を行っていく。
最終的な剪定後のステータスはこうなった。
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【ステータス】
烏我 科戸
Lv:16
体力:1/60(B)
魔力:71/90(S)+9
筋力:80(S)+36
知力:60(A)
器用:80(S)
敏捷:155(S)+70
耐久:45(B)
精神:45(B)+1
幸運:80(S)
【スキル】
敵刃不滅/修復/調合/工作/食いしばり/身体強化Ⅱ/加速/捕食者の構え/短剣術/連撃強化/回避強化/パリィ強化/見切り強化/見切り穿ち/火事場力/デッドアングル/致命返し/初級風魔法
【称号】
最大成長
【装備】
武器:若葉の短剣
頭:なし
胴:なし
腕:花攻蜂の篭手
腰:なし
足:潜伏糸迅脚
装飾:なし
装飾:なし
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習熟度的にスキルは二十個が適正だと言われている。
少なめだが、天与のことも考えるとこんなもんだろう。
このラインナップならどれが強くなっても嬉しい。
ま、すぐ他のスキル覚えてしまうだろうがな。
俺は鞘から短剣を引き抜いた。
「エルガン、スキルの試し打ちをさせてくれ」
「かしこまりました」
エルガンは胸の前で右手をゆっくりと掲げる。
彼女の周囲に浮遊していた精霊文字が一斉に輝き始めた。
青白い光の輪が幾重にも展開され、空間そのものが演算されるかのように震え、エルガンの純白の修道服が翻る。
やがて右手の先に無数の光粒子が収束した。
星屑のような粒子は線となり、面となり、やがて一本の武器の輪郭を形作る。
鍔。柄。刀身。
まるで見えない職人がその場で鍛え上げているかのように、これまた純白の片手剣が生成されていく。
刀身内部にはエメラルド色の光回路が走り、淡い脈動を繰り返していた。
完全に形成された瞬間、教会内に澄んだ鐘のような音が響く。
——カァン
召喚エフェクトが落ち着く。
エルガンが片手剣の剣先を揺らした。
「いつでもどうぞ」
「いいなあ、その武器。めちゃくちゃ強そうだ」
「譲渡は致しません」
俺は無遠慮に短剣で水平に斬り付ける。
静謐な空間に、ガィイイイイイン——と金属音が響いた。
「ダメージ126」
エルガンが抑揚の無い声で言う。
これは俺の筋力と若葉の短剣の攻撃力が乗った値だ。
そして例えば‘’スラスト‘’は+150%の強攻撃だったから、スキルとして使えば189のダメージが入るはずだ。
今度は特性化したスラストを意識して水平に斬りつける。
使用感はスキルと一緒だ。ただスキルと違ってスキルアクティベートの通知はないが、淡いスキルエフェクトが控えめに光った。
ギャィイイイイイインンンンン——火花が散る。
「ダメージ158」
通常攻撃に比べたら威力が微増している。
スキルにしては効果が弱い。
それが特性化だ。
特性化についてまとめると。
デメリットは、
・威力・効果が半減する
メリットは、
・魔力を消費しない
・モーションが縛られない
・ステータスから消えるので習熟度の効率UP
・ステータスから消えるので無駄な天与が減らせる
まあこれは特性化の有無には関係がないが、結局スキルの数ってのは増え続けるので、主要なスキル以外は忘れて使わなくなってしまう。
それなら合成や分解で剪定した方がいいという説もある。
だからスキルを活かせる奴だけが特性化を選ぶ。
俺は間違いなく全てのスキルを活かせる。
「助かった。ありがとうエルガン」
「とんでもございません」
「いつかお前に一撃入れたいな」
「…………」
エルガンは機械的に微笑むだけだ。
俺は短剣を鞘に収めると出口に向かう。
片手をあげた。
「じゃあな」
「またのお越しをお待ちしております」
俺は教会を後にする。




