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すべてを失った王子の告白

エリカ女王が議会で告げたその瞬間、エドワードは自らの「未来」を失った。

――いや、違う。

もっと前から、すでに失っていたのだろう。


いったい、どこから間違えたのか。

いつから、取り返しがつかなくなっていたのか。


王妃が用意してくれた教師たちを、周囲の言葉に流されて追い出したときか。

父上の命令だけを信じ、母上の助言に耳を貸さなくなったときか。

父上に従い、あらゆる手を使ってアンジェラを宮廷から排除しようとしたときか。

ティムが受け取る贈り物や褒賞を、必死になって奪おうとしたときか。

それとも――あの襲撃を利用し、ティムの目を傷つけることに加担した、そのときか。


……どれも、違わない。

すべてが、同じ過ちの連なりだった。


今にして思えば、母上はすでにすべてを見通していたのかもしれない。

エドワードの記憶の中で、母上は何度も繰り返し語っていた。ティムの将来について。

辺境の領主として送り出すか、あるいは空公国のアイリン嬢の婿として迎え入れるか――どちらの道であっても、将来エドワードが王となったとき、確実に助けとなると。


母上は時間をかけ、丁寧に説明してくれた。

理解させようとしてくれていた。

それでも――。


父上は、違うことを言った。

二人きりのとき、父上は囁いた。

ティムが辺境貴族となれば、対外路線で裏切るかもしれない。

空公国の婿となれば、空を動かして王権に刃向かうかもしれない、と。


そしてエドワードは――父上の言葉を選んだ。

刺客を使い、ティムの目を奪った。


……愚かだった。

あまりにも、単純で。

あまりにも、浅はかだった。


エドワードは、ずっとティムに嫉妬していた。

あれは、少年が最も持ちたくない種類の「兄」だった。

容姿に恵まれ、頭も切れ、何を学んでもすぐに身につける。それでいて、称賛に溺れることもない。


たとえ彼の出自がただの侍従であろうと、その事実は何一つ、エドワードの不安を和らげはしなかった。


本当はわかっていた。

母上が用意した教師たちは、父上が与えた宮廷教師よりも遥かに優れていることを。

古びた書斎に籠もり、百年前の書物を繰り返すだけの者たちとは違うと。


それでも彼は、宮廷教師の授業を選んだ。

そこでは、完璧な点数がもらえたから。

書き換えられた答案と、作られた賞賛。

それが、心地よかったから。


正しい指摘も、思考を強いる問いも、すべて拒んだ。


ティムさえいなければ。

アンジェラさえいなければ。

母上は、もっと自分を見てくれるはずだと。


――だが、その結果は。

ただ、完全に見捨てられただけだった。


父上が死に、エドワードが翡翠魔法学院へ送られてから。

ようやく彼は、自分の過ちを理解し始めた。


共通語の読み書き。

魔法元素の識別。

他の生徒たちにとっては当然の能力が、彼にはほとんど備わっていなかった。


母上が派遣した執事の助けを借りて、彼は一から学び直した。

同じく個別指導を受けていたマリアンよりも、習得は遅かった。


それでも。

新しいことを理解する喜びは――かつて自分の中にあった嫉妬や怒りを、静かに消していった。


もし、あの頃。

素直に母上の教えを受け入れていれば。


そんな考えが、ふと頭をよぎる。


――遅すぎた。


取り返せない。

アンジェラにも、ティムにも。

自分が与えた傷は、もう戻らない。


エドワードは、すでに運命を受け入れていた。

ただ一つ、気がかりがあるとすれば――マリアンが、この先を受け入れられるかどうか。


彼らには、子を成すことが許されない。

血を繋ぐことはできず、他者から子を迎えるしかない。


それでも構わない。

彼は名目上の大公として、静かな領地で生きていく。


ただ、静かに。

父上のように踏み越えてはならない一線を越えず。

母上の逆鱗にも触れず。

そして――ティムの傍らにいる、あの金色の女の怒りを招かない限り。


そうすればきっと、穏やかな生を送ることができるはずだ。


……それで、十分だ。



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