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プロローグ~『ファンタジー・ワールド』開始~

初めまして!

VRゲーム系を描きたい衝動のまま始めた小説ですので、不定期更新です。

ごめんなさい。


拙い文章ではございますが、どうぞご覧くださいませ。


それではどうぞ!




「……おはよう、母さん」


 自分以外だれもいない、大きな家。仏壇に手を合わせ、挨拶をする。


 一人暮らしするにはあまりにも大きな家は、否応にも亡くした者を思い出させる。だが、それ以上に忘れたくない思い出が詰まったモノでもある。


 引っ越す気も起きず、自分以外は誰もいないと言うのに二人分の朝食を作ろうとしてしまう。その事に苦笑いしながら、朝の日課を延々とこなす。



―俺、道満雷治の一日はここから始まる。




▼ ▼ ▼ ▼




「さて、いよいよ今日からか。」


 朝ご飯をすませ、自室の時計を見ながらそうつぶやく。


 今日の午後13時、世間で話題沸騰中のゲーム『ファンタジー・ワールド』の正式サービスが開始される。


『ファンタジー・ワールド』

 完全仮想空間、VRが当たり前となり、VRMMOが繁栄してゲームで稼ぐことが仕事として成立するこの時代に置いて、これは突如として現れた。

 今までのゲームもリアルに近かったグラフィックがより現実に。

 豊富なコンテンツ。沢山あり過ぎて進まないクエスト。

 そして、何より注目されたのが、五感の完全再現と専用の機械を使う事によって実現される、24時間365日の永続ログイン。

 一度もログアウトせずに、ゲーム内で計算上、寿命を迎えるまで過ごす事が出来る。


 その様な理想を歌い、このゲームと専用機器が発表された。


 勿論、世間は大いに荒れた。

 本当に可能なのか、只のでたらめだ。すごい、ゲーマーの夢だ………っと。


 そして、開始されたβテスト。

 当選した者は、会社が指定した施設まで行き、幾つもの契約を結び、実際にゲームをプレイ。契約で、βテスト終了まで中でのことを一切語る事は出来ない。

 しかし、テストが終わった後ならある程度の情報は流していい。


 そして、テスト終了後。βテスター達はこう言った。


―「ゲーム会社が言っていたことは、本当だったと。」


曰く、五感の完全再現……いや、現実以上に凄かった。


曰く、ゲーム内で食事をすると、ちゃんと現実でも満腹だった。


曰く、ゲーム内で睡眠を取ると、現実でもスッキリしていた。


曰く、豊富なコンテンツとシステム。今ままでのゲームの中で確実に一番の自由度と規模。


―曰く、テスト期間中、ずっとゲーム内で過ごす事が出来た。なんなら、ゲーム内で過ごした分、健康になった。


 ¨本物¨だった。

 話す内容に違いはあれど、テスター達は共通してそう言っていた。


―そして今日、その『ファンタジー・ワールド』が開始される。


……実を言うと、幸運にも身内がそれを開発した会社に勤めており、祝いと称してこのゲームと専用機械が家に送られてきた。


 現在無職の貯金で暮らしている俺は、やる事も無く暇を弄んでいた為、運よく手に入れる事が出来た『ファンタジー・ワールド』をやり込む事にした。



「……始まるか。」


 昼飯を食べ、ゲームを手に入れることが出来たネット友達とチャットをしていると時間になる。


 専用機器に入り、準備完了。いつでも始める事が出来る。


専用機器「アナザーゲート」

 全身を入れる大きなカプセル型の機械。

 カプセル内を特殊な万能ジェルで満たす事により、ゲーム内での行為を現実に起こす。

 万能ジェルが栄養素や酸素に変わり、排泄物を分解することで、生きるのに必要な行為をカプセル内で完結させることが出来る、夢の機械。


 13時きっかり、利用可能と出ているマークを視界に納め、夢のゲームへとつながる魔法の言葉を口にする。



「―ゲートオン・アナザーワールド」






―視界を開けると、真白な空間が目に入る。


 体を見下ろすと、簡易な白い服を着ており他は何もない。



「―ようこそ、アナザーワールドへ」


 白い空間でどうすればいいか途方に暮れていると、アナウンスが流れ、目の前にウインドウが現れる。


「ここは、現実とは違うもう一つの世界。此処で一生を過ごす事も、現実で過ごす事も可能。貴方が自由にできる、貴方だけの世界です。」

「……ここが、アナザーワールド」



『アナザーワールド』

 アナザーゲートを使用することによって作られる、『ファンタジー・ワールド』とはまた違う空間。

 ゲーム内だけだと疲れる。けど現実にログアウトしたくない人の為のプライベートルーム。

 家、天候、環境、時代などを自由に変更可能。それにより、自分が一番過ごしやすい空間となる。

 こちらはゲームとは違い、「アナザーゲート」に付属されているシステム。

 そのため噂ではゲームソフトの100倍は倍率が高かったとか。



「それでは、この世界の設定を開始します。」


 目の前のウインドウに、変更できる項目が映る。


……この世界も楽しみではあったが、今はゲームの方を楽しみたい。とりあえず、簡単自室再現のみに変更をとどめておき、ゲームを優先する。


「了解したしました。それでは『ファンタジー・ワールド』を開始いたしますか?」


 ウインドウに、はい・いいえの選択肢が出たのでハイを選択。


「『ファンタジー・ワールド』を開始します。存分にお楽しみくださいませ」


 アナウンスが終わると、意識が落ちていく。




『ファンタジー・ワールドへようこそ!』


 意識が覚めると同時に、目の前の小さな妖精がそう言った。……いや、正確には妖精と認識してしまう小さな球体だが。


『これから貴方が過ごす事になる異世界に行く為の準備を始めましょう! まずはアバター作成!』


 そう言った妖精がその小さな腕を振ると、目の前にウインドウが現れる。

 ウインドウには今の自身の姿が出ており、どうやら変更したい箇所を選択することで自由に変えることが出来るらしい。


 少しカッコイイかな…?位の顔に、普通の身長。男にしては長い髪に少し筋肉が付いている体。


 顔は変える程醜い訳では無いし、体も太っている訳ではない。髪色を黒から白に、瞳の色をアメジストに変えてアバター作成を完了する。


『次は、種族を決めよう!』


 ウインドウが変わり、ずらりと選択可能な種族が並ぶ。

 エルフやドワーフなどの大所から、海洋鮫族やアルマジロの獣人などの色物も多く存在した。

 それぞれの強みや弱さなどを一から見ようとしたらそれだけで一日が終わってしまいそうだ。

 流し見でスクロールしていくと、ある内容が目を引き付ける。



―――――――――――――

「無族」

どの種族にも属さず、どの種族にも属している。

何物にもなれず、何物にもなれる。

エルフが自然の代表とするならば、無族は矛盾を代表する者。

愛することを誓えば愛される。

愛さないことを宣言すれば愛されない。


:種族スキルとして、一切の条件を問わずにレジェンド以下の種族スキルを覚えることが出来る。

種族や魔物を問わず、愛されやすい。

:種族や魔物を問わず、嫌われやすい。

種族補正が無く、又、環境支援も受けることが出来ない。(プレイヤーに因るモノを除く)

ステータスが上がり難い。

必要経験値が増える。

―――――――――――――



「……『愛されやすい』、か。よし、これにしよう」


 『愛されやすい』。そのテキストに惹かれたのも事実だが、スキルを多く覚える事が出来るのはありがたい。

 やり込むとは言ったが、攻略の最前線に立ちたい訳では無く、色々な事を経験したいエンジョイ勢。

 時間は腐るほどあるし、ステータスが上がり難くても大したデメリットではない。


 理想のゲームスタイルと合うと思い、この種族を選択する。


「―うわ!」


 すると、自分の体が光に包まれる。直ぐに収まったが、いきなりの事に少し驚いた。


『これが冒険を始める貴方の姿になります!』


 大きな鏡が現れ、自身の姿を映す。

 顔や体型は変わらず、髪と瞳の色が変わり、掌に幾つもの言語で描かれた小さな陣があり、そこから黒い線の刺青が伸び、その先にまた同じような陣があり、それが体中のいたる所に有る。


『無族は、その陣の中に他の種族の特徴をセットする事で、セットした特徴を自在に操る事が出来ます! 例えば、背中の陣に翼の特徴をセットする事で翼を生やして飛ぶこと可能に成ると言った感じです。一度セットした特徴は自由に出し入れ可能。正し!セットした特徴ごとに装備と同じで耐久値があって、その耐久値が無くなると特徴は破壊され、使用不可能になります!』


 どうやら、この無族はかなり色々な事が出来そうだ。やはり、ゲームスタイルとあっているな。


『次は職業を選びましょう。好きなのを選んでくださいね!』


 これもまた、種族の時と同じ位……いや、種族の時より多く存在していた。詳しく見て種族のが一日なら、職業のは三日はかかりそうな程、膨大な量の職業があった。

 しかし、今回は直ぐに決まった。



―――――――――――――

「無全・劣」

無族だけが就くことが出来る初級職。

特殊職以外の一切の条件を問わず、初級職のスキルを習得可能になる。

習得に必要な経験値が更に増える。

ステータス補正は無く、スキル補正も無い。

―――――――――――――



職業欄の一番上に載っており、折角ならばとこの職業を選択する。



『……――ちょっと待ったー!』



 すると、妖精の可愛らしい声がいきなり図太い男の声に変わる。


『おっと、いきなりすまないな。私はこのゲームのステータス制作の最高責任者をしている「川田」と言う者だ』


 小さな球体の姿から、少しお腹が出ている中年(顔はイケている)の男に変わり、そう名乗る。


「えっと、運営の方がどうして……?」

『安心したまえ。先に言っておくと、不正などでは無く、只の善意で声を掛けさせてもらった。』

「善意……?」

『うむ。では説明しよう。』


 戸惑いながらも、何故声を掛けてきたかを尋ねると、川田さんは善意だと言う。そのことで更に頭に疑問符を浮かべていると、苦笑いをしながら答えてくれた。


『今、君が選ぼうとしていた職業。そして、君が選んだ種族。この二つのメリットは、確かにこの世界の中でも選りすぐりのモノだ。……しかし、それと同時に、デメリットもこの世界の中でヤバイ方に分類される。「無族」と「無全」のデメリットが合わさると、難易度がぐん!っと上がってしまうのだよ。』


 確かに、この二つのデメリットは共通しているものがある。ステータスはかなり上がり難くなり、レベルを上げるのにも苦労するだろうと考えられる。

 しかし、それだけの事でわざわざ運営が直接説明するのだろうか……?


『言ってしまえば、レベルが上がり難くなり、スキルもステータスも成長が遅くなるだけだがな。……が、この世界ではそれが致命的になる可能性がある。詳しいことは機密が有るので省くが、この世界は生きている。プレイヤーたちの行動次第で、進行度が極端に速くなったり、遅くなったりする。そして、最初に決めた種族と初級職は序盤では変更が出来ない。その為、これを選んだせいで「イベントに参加できなかった!」や「全然クエストが終わらない!」などの苦情を言われない様に、他に比べて極端にデメリットがデカいモノを選んだプレイヤーたちに、運営が直接確認を取る様にしているんだ。』

「成る程。そういう事でしたか」


 確かに、デメリットを舐めているとそうなる可能性もある。我慢強い性格や、そういう趣向の人以外がやると苦情のオンパレードになりそうだ。

 最初にも言われていたが、自分に非があるわけでわなく、ただ確認の為に来たことにほっとした。


『てなわけで、確認だ。……本当に良いのかね?このデメリットはかなりきついぞ。』

「はい。……これを選びます。これが、一番自分に合っている感じがするので」


 川田さんの確認に頷く。さらりと職業のリストを見てみても、他に遭ってそうなモノが見つからない。

 結局、この職業が一番自分とあっているのだろう。


『……分かった。確認はこれで終わりだ。存分に『ファンタジー・ワールド』を楽しんでくれ。

君の旅路に良き出会いがある事を祈っているよ。』

「ありがとうございます。」


 そう言って、川田さんの姿が元の小さな球体に戻っていく。


『…………最後に一言。その種族と職業は大器晩成型だ。育つのに想像以上の時間はかかるがね。

ではさらばだ。』


 最後にそう言って、姿が完全に元に戻る。


『マスターが突然すみません!ですが、これで作成は完了しました!後のチュートリアルは、世界に降り立った後に受ける事が出来ます。』


 小さな球体の横に、大きな扉が現れる。

 何時の間にか手に持っていたフードを羽織り、扉に向かう。


『貴方の旅に、良きことがある事を祈っています!いってらっしゃいませ!』

「……ああ、行って来る。」




―そうして、俺の『ファンタジー・ワールド』での日々が始まった。






補足

実はβ期間中にゲーム内でちょめちょめした人がいたが、その人はネットに情報を流していない。

その為、ある時期までちょめちょめ欲だけは満たせなかったんだな……っと、プレイヤー達はできないと思っている。


補足の補足

β期間中にちょめちょめした人は、ある人工知能を愛して育てている。

まるで、我が子に愛を注ぐように。


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