第二十話 感謝
にしても、大野がこんな凄い権力者の家の子供だとは思わなかった。まあそうじゃなかったら内水に抗議なんか出来ないもんなぁ…
内水の悪事に対しては何も行動を起こさない学校の教師や、大人たちを見て大野は頼れる存在だ。
そんな事を考えていると、いつの間にか眠りについていた。
~~
翌日。
「あー、よく寝た」
下に降りて、朝食を済ませた後、大野に呼び出された。
大野の部屋に入った。
「…あなた。最近葉月さんに冷たいみたいじゃない?」
「は?」
「そのままの意味よ」
「冷たい?だって里奈には他人のように振舞えって」
「…まあとにかく、彼女に謝ってきたら?」
大野は、子悪魔のように微笑んだ。
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「あ、あの…」
「…零?」
「いや、その…」
「…どうかしたの?」
「あの…その…」
「ごめんなさい。その、我がまま言っちゃって…」
「え…」
「もう、僕は大丈夫だよ。だから…」
「…里奈。」
「ひゃう!?…な、何?」
「俺は…その…」
「…?」
「…里奈を…その…」
「…」
あー、もうまどろっこしい!しょうがない、いや、しょうがないとかじゃなくて、言うしかないのか…
「だから…その…」
何故『好き』と言えないのか…好きな事は確かだ。なのに…
「…零。」
「?」
「ありがとう。僕を名前で呼んでくれて。」
「え?」
「だから、僕も…君を名前で呼んでいいかい?」
「…ああ」
「…じゃあよろしくね、零。」




