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その晩は我が家でささやかなお祝いをした。
アゼリアが初めて誰かに怒りを抱き、反論をした日として。
「やめてくださいっ」
アゼリアは恥ずかしそうだったけど、みんな嬉しかった。両親だけではなく、アゼリアの成長を共に見守っていた屋敷の者たち。特にアゼリアに初めて会った時に共に居た者達は喜びもひとしおで、父がお祝いだからと秘蔵のワインを用意させたとたんそれを口にして、酔ったように何度もアゼリアと初めて会った時のことを話し出す。
「坊ちゃまの初めての我儘の時点で嬉しかったですけど~まさか、お嫁さんを見付けるなんて思いませんでしたよ~」
「アゼリアちゃんに一目ぼれした坊ちゃんはお目が高いと思いましたよね~」
「しかも理想のお嫁さんに育成中だし」
「「「すごいわよね~」」」
うん。アゼリアと自分はワンセットだけど、その話は流石に恥ずかしい。アゼリア共々顔を赤らめてしまう。
「抜け出してもいいかな……」
「お供します」
水魔法と光魔法。そして、闇魔法の合成でそっとその場を後にする。
「私のことでこんなお祝いされるなんて……」
アゼリアは困惑しているけど、
「しょうがないよ。――アゼリアの成長を見守っていたからこそ。着実に育った心に喜ぶんだ」
身体の成長ではなく。心の成長。
心無い言葉でずっと傷付いて、人に極端に脅えていたアゼリアが誰かとの軋轢を恐れずに自分の言葉を伝えた。
「立派になったね」
「褒める論点が間違っていると思います」
確かに、普通は人に酷いことを言ってはいけませんと注意すべきだろうけど、あっちの方がおかしいし、ここで黙っていると肯定扱いされる。
日本のあいまいさとかは通じない世界なのだ。
「貴族社会だからね。――高位貴族が舐められる隙を作ってはいけない。――アゼリアは間違っていない」
優しいアゼリアには難しい世界だ。
もちろん、前世日本人の自分にも大変だ。
「堂々とできればいいけど、そこまではね……」
せめて貴族として務めを果たしていれば心置きなくできるかもしれないけど。
「リュカスさま……どの口でおっしゃるのでしょうか……?」
何故か不思議そうな目で見られたけど、何かおかしかっただろうか。
「いえ……」
何でもありませんと言われて、腑に落ちないがアゼリアが言うつもりがないのなら聞かないでおこう。
隠しごとをするアゼリアも可愛いから。
「全属性持ちで、魔道具研究に手を貸して、庶民の生活が楽になるような実用品を開発するのに協力している息子といい」
「医療現場で聖女と崇められているアゼリアちゃん」
「「なんで二人して、自分たちの貢献に無頓着なのか……」」
両親が実はこちらの様子を覗き見して呆れている事実を知らなかった。
親にイチャイチャを見られるほど神経は図太くないのだから(今更だけど)




