表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創造魔法で異世界クラフト無双!~猫耳と聖女と鋼鉄の宴~  作者: Ciga-R


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/71

第40話 猫耳商会、はじめました! ~創造魔法と胃袋の異世界戦争~

 

 ロスウェル防衛都市――日が落ち、街灯の魔石が淡く灯る時間帯。


 冒険者たちの喧噪も一段落し、路地裏の屋台からは香ばしい匂いが漂っていた。


 焼いた肉、香草のスープ、甘い酒――生き延びた者たちが、今夜の命を祝う音。


 その喧騒の中を、ひときわテンションの高い声が貫いた。


「――というわけで!! 創造魔法で“食の革命”を起こします!!」


 机を叩いて宣言する大河。


 周囲の三人(リュミナス、アーク、リオナ)は、全員ポカン顔だ。


「お兄にゃん……今度は料理にゃ? ポーションの次は胃袋革命って……方向性が雑すぎにゃ!」


「違うんだよリオナ。異世界に転生、転移した主人公ってのは、“食文化改革”イベントを通らないと成長しないんだ!」


「……創造者的メタ理論。興味深いですね」


 リュミナスは軽く微笑む。月光を浴びたその横顔は、どこから見ても本当の聖女のように神秘的だった。


 だが大河の視線はすでに“食材テーブル”へロックオンしている。


「見よ、近くの森で仕入れた新鮮素材たちをッ! 獣肉・キノコ・魔香草・謎のぷるぷるゼリー!!」


「最後の明らかに危険にゃ!?」


 アークが淡々と包丁を取り出す。


「主、調理、開始?」


「もちろん! 頼むぞアーク! 機械的正確さで下ごしらえだ!」


「了解。……チョキチョキチョキ(※すごい音)」


 すべての動作が無駄なく、まるで戦闘のような美しさ。


 アークの包丁が走るたび、食材が均等に並んでいく。


 リュミナスは聖光をまとって手をかざす。


「食物は命の恵み。穢れを祓い、清浄なる味を――《サンクティファイ・フード》」


 淡い光が食材を包み、色彩が深く変わる。


 見た目だけで“うまい”と確信できるほどの輝き。


「ぬおおおおぉぉぉ!? 完全にイベント級の演出きた!! 料理アニメだったらここでBGM変わるやつ!!」


「……にゃふふ、盛り上がってるにゃ~」


 リオナは尻尾を振りながら、手早く串を刺していく。動きに迷いがない。


 ――そう、彼女はこの街で長く生きてきたD→現Bランク冒険者。


 食事もまた“生き延びるための技術”なのだ。



創造魔法アルケミック・クック


「よし、仕上げは俺の番だ!」


 大河が演出のためだけに即興でそれっぽい杖を創造し、それっぽく構え、振りかざす。


 その瞬間、青い魔法陣が床に広がった。


「創造魔法――《アルケミック・クック》!」


 空間が震え、香りが弾けた。


 香草と肉の匂いが混ざり、空気が一瞬甘くなる。


 火が立ち上り、具材が宙を舞う。


 魔力が、熱となり、旨味を再構築する。


 アークが機械のようにタイミングを読み、リュミナスが聖なる光で味を安定させる。


 リオナが素早く皿を並べる。


 ――まるで舞台。


 四人の息が、完璧に噛み合っていた。


 そして、完成したのは――


「“創造料理:タイガ流ミラクル・ゴージャス・ビーストシチュー”だッ!!」


「名前のセンスがしょうがくせいにゃ!」


 しかし、味は――


 わざわざギルドから呼び出されたミーネ・ヴァルドが一口食べた瞬間、言葉を失った。


「……な、何これ……!? 魔力回復、身体強化、滋養、すべてが同時に……!?」


「つまり、“食べるバフ”完成ってことです!」


《……戦場での応用、期待大。医療食としても優秀です》


「お兄にゃん、これ……本当に売れるにゃ……!」


 尻尾がぴん、と立ち、リオナの目がきらめく。


「にゃふふ~! リオナ、もう決めたにゃ! “猫耳商会”を作るにゃ!」


「なにその語感の破壊力……!」


「お兄にゃんは共同代表にゃ!」


 ――その夜。


 リオナの屋台《猫耳商会》は、ロスウェルの路地裏でひっそりと産声を上げた。


 聖女が給仕をし、機装乙女な美女が厨房を守り、創造者がカウンターでどや顔。


 そして、冒険者たちはその“味”に目を丸くした。


「……おい、これマジか。食った瞬間、疲労が吹き飛んだぞ!」


「身体が軽ぇ……!? これ、魔法食か!?」


 店の前に瞬く間に行列ができあがる。


 光が灯る。


 街の夜に、笑い声が溢れた。


 ――世界を救う奇跡は、戦場ではなく、屋台から始まるのかもしれない。


 大河はその光景を見ながら、どこか誇らしげに笑った。


「いいねぇ……異世界で文化革命。これだよ、俺がやりたかった“創造者ムーブ”は……!」


 リュミナスがそっと隣に立つ。


「……貴方の創造は、人に“笑顔”をもたらすのですね」


「そりゃそうだろ。創造ってのは、誰かを幸せにするためにあるんだ」


 リュミナスの瞳が、月光のように柔らかく光る。


 その微笑に、大河は思わず頬を掻いた。


「……やばい、今の笑顔、Blu-ray特典エンドカード案件……」


「何を言ってるのか、よく分かりませんが……ふふっ」


 彼女が微笑み、アークが静かに頷く。


「主、次、何作ル?」


「そりゃ決まってる。次は――スイーツ革命だ!!」


「……胃袋、再戦か」


「お兄にゃん、また屋台が大行列になるにゃ~! あたしの分が無くなるにゃ!!」


 ロスウェルの夜は賑やかに、更けていく。


 創造の炎は、まだ消えることを知らない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ