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【本編完結】狐狂いのVRMMO ~理想の狐を作ったら最弱の幼狐になりました~  作者: かきのたね
番外編

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番外編3 お気楽プレイヤーの辺境滞在日誌(後編)

 俺からの提案に、神父は非常に困惑した表情をしていた。


「遺跡を……村に……ですか……?」


「えへへ……実は、魔物が弱くて、中で死んでも外で蘇るから子供でも安全で、ちょっとした冒険ができるっていう遺跡に繋がる簡易祭壇を持っていまして……それを設置出来ないかなー……って……」


 あれ、何か説明するたびに、変な事をやらかしちゃった気がしてきたぞ……?

 いや、チュートリアル報酬のアイテムだし、アウレリアの辺りには放置された祭壇が山程あったし、住民の子供達も利用してたし、きっと大丈夫だろ! うん!


「貴女って人は……。また突拍子もないことを……」


 大丈夫じゃなかったっぽい! ゆるして!


「まあ、いいでしょう。それはどれほどの大きさで、どのようなものなのでしょうか?」


「えっと……私の腰ほどまでの大きさで、祭壇に物を捧げるとパーティを組んでたら、三人まで遺跡の中に飛ばされるってものなんっすけど……。これを、教会の中に置かせて貰えないかなー……って……。あ、ちなみに設置した人じゃないと基本的に撤去出来ないようになってるので、勝手に誰かが持って行ったりは出来ないので安全っす」


「……そうですか。何故、教会の中に設置をしたいのかを、お聞かせ願いますか?」


「あー……えっと、教会の中にあれば、子供達が入り浸っても、帰らないなんてことが無いかなーっと……」


「ふむ……。貴女なりに、子供達の事を考えているわけですか……。よろしいでしょう。ですが、安全性の確認はさせていただきます。祭壇はすぐに撤去が出来るのですね?」


「あ、はい。設置した人なら、すぐにインベントリに収納可能っすけど……」


「なるほど……では、人を呼んできますので、礼拝堂で少々お待ちください」


「了解っす」


 初心者用のダンジョンの設置に人を呼ぶとか、大げさだなー……。

 一番強いボスでもせいぜいゴブリン程度だし、死んでも死なないのに何を確認するんだ?


「デボラさん、お待たせいたしました」


「遺跡の祭壇を設置すると聞いてきたのだが……。死んでも死なないというのは本当か?」


 ジョバンニの兄貴を呼んでんじゃねぇよ! 熊を狩れる人を呼ぶとか、オーバーキル過ぎんだろ!


「あ、はい……本当っす……。入った人の強さで出てくる魔物が変わるっていう訓練用の遺跡で、アウレリアでは街の子供達も遊びで突入しては小遣いを稼いだりするような簡単で短いものっす……。強さで変わると言っても、一番強いのでもゴブリン程度しか出ないんっすが……」


「……そうか。おい、ヴィンセント」


「わかっておりますよ。では、デボラさん。そちらの隅に設置をお願いいたします」


 指定されたところに祭壇を設置したけど、なーんか二人ともピリピリしてるなー……? そんなに信用無いんかね? 俺……ちょっとショックかも。


「では、パーティをお願いいたします」


 神父からの申請を許可すると、視界の隅にパーティメンバーの名前とレベル。それと、体力ゲージが表示される。

 ジョバンニの兄貴のレベル……すっげぇたけぇな……。神父のレベルも俺とは比較にならねぇぐらいに高いし、わざわざ何を確認するつもりなんだか。


「……参ります」


 神父がクッキーを一枚置き祈りを捧げると、視界が薄暗い遺跡の中へと移動した。

 ……ここでもクッキー使うのかよ。もったいねぇな。


「デボラさん、内部の構造は?」


「あ、はい。部屋に出てくる魔物を倒すと落とす鍵を使って次の部屋に進んでいって、一番奥のボスに挑むっていう普通の遺跡の形式っすね。大体部屋も三つぐらいしか無い、とても短いものっす」


「なるほど、そこは変わらない訳ですか……ふむ」


「おい、そんなところで考え込むんじゃない。先に進むぞ」


 最初の部屋では、二十センチほどの三匹のネズミがちょろちょろと歩き回っていた。気配を消してこっそりと近づき、捕まえて持ち上げ……そのまま床にぽーい!


  べちゃ


 あっさりネズミは霧散し、ドロップアイテムのログが流れる。ネズミの肉……本当にいらねぇ……。

 周囲を見ると、他のネズミもすでに消滅していた。


「ふむ……出てくる魔物がこの程度ですと、命の危険は少なそうですね」


「あ、弱い人が入ると、もっと弱い虫とかスライムが出てくるっすよ」


「なるほど、確かに子供でも大丈夫そうですね」


 さくっと次の部屋のネズミも片付け、ボス部屋の鍵を手に入れた。


「じゃあ、開けるっすよー」


 ガチャっと鍵を捻ると、重厚な扉が音を立てて動き出す。眼前に開かれる広大な部屋。そして、そこに佇む素手のゴブリン一匹……。何だか哀れなんだよなぁ……。

 運営よ……。せめて、棍棒か何かを持たせてあげようや……。


 ジョバンニがすたすたと無警戒に歩くと、奇声をあげながらゴブリンが襲いかかる!

 拳を握り締め、大降りに振り下ろす!

 だが、振り下ろした先には誰もおらず、横に移動したジョバンニに足を払われてしまい、顔から床へと倒れ伏せる! 大丈夫か!? ゴブリン! 起き上がって顔を振ってる間に見失ってるんじゃないぞ!

 頑張れ、ゴブリン! 負けるな、ゴブリン! あ、パンチを受け止められた。更に膝蹴りされて、あっさり霧散しちゃった……。やはりジョバンニには勝てなかったよ……。

 さらばゴブリン……。また逢う日まで……!


「……おい、何か変な事を考えてないか?」


 ……ジト目で怒られた。すんません……。

 それはともかく……。ボスを倒した事で、最奥の部屋の扉が開かれる。そこには三つの木箱が置かれていた。


「ちゃんと宝箱も用意されているのですか……」


「そうっすね。中身は全然大したものは入ってないんっすが……お、こっちは木刀っすね」


「こちらはマルベリーが数粒ですね。この辺りでは手に入らない果物が出るのは助かります」


「銅貨が五枚か……。本当に子供でも探索出来るレベルだな」


「どうっすか? これなら子供達だけでも冒険させれるんじゃ無いかなーっと……」


 あれ……? なんか、二人で目配せして頷いて変な空気なんだけど……。


「では、ヴィンセント……。頼んだぞ!」


「……ええ、準備はできております」


 え、何なの……?


「ふぅ……ぐっ、かふっ!」


 ……はっ?


 ちょっ……ええぇぇぇー!? ジョバンニの兄貴ー!? いきなり剣を取り出して首を突くとか、何やってんのー!!?

 ジョバンニが膝をついてその身体が霧散していく。完全に消えた頃、視界の隅の体力ゲージが無事に蘇った事を示していた……。


「ふう……。驚かせて申し訳ございません。子供達が入るということであれば、万が一の際に蘇る事を確認しておく必要があったのです。私は死した直後であれば蘇生が可能ですので、もしも蘇れなかった時のためにも、このような手段を取らせていただきました」


「ちょっ……あっ……で、でも、いきなり自分の首を突く事は無いでしょ!? ちゃんと蘇るって言ったじゃないっすか! あと、証明っていうんなら、説明してくれれば私が斬りつけられても良かったんっすよ!?」


「ええ、確かに蘇ると聞きましたね。ですが、その裏付けは取れていません。そして、貴女は冒険者です。貴女が蘇るのを確認出来ても、子供達が本当に蘇るのかは確認が出来ません。ですので、誰かが命を懸けて確かめる必要があったのです」


 確かにそうかも知れないけど……。子供の安全を考えれば、そうかも知れないけどーっ!!

 目の前で、自ら首を突き刺すとか、トラウマになるわっ!!


「なら、なんで自刃する事を一言でいいから説明してくれなかったんっすかねぇ!?」


「あはは……申し訳ございません」


 おい! なんで微笑んだ後に目を逸らせる!? 忘れてたとかじゃないよな? なあ!?

 でも、追求しても答えてくれなかった……。解せぬ。


 そして、遺跡から出てカイル達にここの事を教えに行くとすっごい喜んで、すぐに三人で入って行った……。出てきたら満面の笑みで木刀を振り回していたけど、すぐに神父に怒られてやがった。そりゃそうだ。

 こんな感じで、変化があるんだか無いんだかわからない、俺の村での生活は繰り広げられていくのであった。

最近忙しくなってきたので、一旦完結済みにさせていただきます。

書くネタはあっても書く時間が……!

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