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 キャロルとミアが驚いて声をあげた。

「今更、何言ってんだよ。さっきまで案内する気満々だっただろ?」

 ナツメも少し戸惑い気味にマリーに問うた。

「……もちろんじゃ。だが如何におぬしらが根性論を語ろうと、相手が悪すぎる。前にもいうたが、箱を守る守護者と戦えば、おぬしらは詰む。死ぬのが怖くないのか……?」

「怖いよ」

 キャロルが間をおかずに返した。

「怖いけど……。パンードーラの箱に辿り着くことが僕とナッちゃんの『生きる目的』なんだ。だから、マリリン。僕たちは行くよ!だよね?ナッちゃん」

 キャロルの言葉にナツメは強く頷き返した。

 隣にいるミアも「もちろん、私も」と呟いた。

「そうだ。それに今回はマリーも一緒に来てくれるんだろ?あのディオーネの力を貸してくれたら、その守護者とも少しはやり合えるかも知れないしさ」

 言い終わるとナツメは、綿のハンカチをマリーに差し出した。マリーはハンカチを受け取ると両目に溜まる涙を拭き取る。

 そして「ふふ」と笑いながら目を細めた。

「情けない醜態しゅうたいを晒してしまったわ。おぬしらの覚悟は伝わった。なに、案ずるな。さっきもいうたが、今回はわらわも一緒にスイフトに付いていってやることじゃし、大船に乗ったつもりでおれ」

 マリーは先程までの弱気が嘘のように、気迫のこもった声を上げる。

「マリリン。頼もしい!」

 キャロルがマリーに突進していき、ギューと強く抱きついた。

「ふ、不埒ふらち者が……馴れ馴れしいぞ!」

 言葉とは裏腹に、マリーはまんざらでもなさそうだ。

「マリー。事情は大体理解できたんだけどさ。なんで今回に限って一緒にスイフトに行こうと思ったんだ?いや、来てくれるのは嬉しいんだけどさ」

 ナツメがそう言うと、マリーはキャロルを突き放した後、ポツリと「寂しいんじゃ」と呟いた。

「わらわは特殊な術式で不老不死の身体を得た。そして千年という永き時間を生き続けてきて気づいたんじゃ。親しい者や、知人達が死んでいくのに自分だけが生き続けるということの虚しさに。独りは辛い……。もう独りは疲れた。じゃから、おぬしらが死ぬなら我もと思うな……」

 今までのマリーの印象を完全にひっくり返す告白に、ナツメは衝撃を受けた。

 永き年月を生きることを夢見て不老長寿の薬を探し求める富豪や王族がいる。

 彼らは知っているのだ。〝名誉や地位や金はあの世まで持っていけない〟ことを。

 だが、マリーは『もう疲れた』と言った。俺だったらどうなんだろうか?


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