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7

「わらわのディオーネが発生させる紫煙は、特殊な毒を含んでおってな。相手に幻覚を見せることが出来る。そして紫煙を一定以上吸い込んだ動物を死にもたらす」

 マリーの言葉にナツメは額から汗が滲み出るのを感じた。

 ——毒……?死をもたらす?そんな。だとすれば一刻も早く、煙の充満するこの部屋から退避しなければ。

 だが、出入り口は全てディオーネの紫煙に覆われ脱出することが出来ない。

 ——くそ。どうしたらいい?

「ふふん、ナツメよ。このままではおぬしの仲間達は皆、死んでしまうぞ。良いのか?」

 良いわけないだろ!!、と言いかけた時、キャロルが「ナッ……ちゃん……。僕……」とかすれた声を上げ崩れ落ちた。

「キャロ!」

 ミアも全身を震わせながら「ナツメ……さん。ごめんなさい……体が……」と苦しそうに訴えると、紫煙の絨毯《じゅうたん》に倒れこむ。

「ミア!」

「哀れじゃのう。おぬしは仲間も守れず、ここで朽ち果てるのじゃから」

 マリーは艶やかな金髪をかき上げ、死の宣告をする。

 その時、ナツメの中で〝なにか〟が切れた。

「……せるかよ」

 そう言いながら、ナツメはホルスターからエリュシオンを抜く。

「そのポンコツを抜いてどうする?使えもせんじゃろう」

 嘲《あざけ》るマリーに、ナツメはエリュシオンの銃口を向けた。

「撃て、るさ……」

 ——そうだ。キャロルもミアも絶対に死なせない!死なせてたまるか!!オレが、俺が守るんだ。

 ナツメは全神経を銃に集める。黒塗りの銃身が眩く輝き出す。

 ——発動しろ。しろよ!ポンコツ銃が!今、やらなきゃ……みんなが。

「キャロルも……ミアも……二人とも死なせない!」

 ナツメの叫びに呼応するかのように銃口に光球が浮かび、徐々に大きさを増していく。

 マリーの顔色が変わった。

「まさか……」

 ナツメは渾身の力を込めて叫んだ。

「いっけえええぇぇぇっ!」

 銃口から巨大な光球が波動のように打ち出される。波動砲は青白い光りの弧を描きながら、出入口を塞いでいた煙を消し飛ばす。

 エリュシオンの放った光線は、数キロ先の湿地あたりで消失した。

 出入り口は見事なほどに粉砕され、マリーのディオーネが充満させていた煙も室内からすっかり消えている。

「やっ……た……」

 放心状態のナツメはその場に座り込んだ。

「——キャロ!ミア!大丈夫か?」

 かくいう俺自身も毒の影響か、身体に痺れが走り動けない。

「う…うぅ……」

 呻くキャロにナツメが呼びかけた。

「お…にい……ちゃん?」

 キャロルが目をこすりながらムクっと起き上がった。

「……キャロ。お前、身体はなんともないのか?」

「う、うん。なんか急に眠くなっちゃって……」

 ——眠い?毒に侵されてたんじゃないのか。


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