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「わらわのディオーネが発生させる紫煙は、特殊な毒を含んでおってな。相手に幻覚を見せることが出来る。そして紫煙を一定以上吸い込んだ動物を死にもたらす」
マリーの言葉にナツメは額から汗が滲み出るのを感じた。
——毒……?死をもたらす?そんな。だとすれば一刻も早く、煙の充満するこの部屋から退避しなければ。
だが、出入り口は全てディオーネの紫煙に覆われ脱出することが出来ない。
——くそ。どうしたらいい?
「ふふん、ナツメよ。このままではおぬしの仲間達は皆、死んでしまうぞ。良いのか?」
良いわけないだろ!!、と言いかけた時、キャロルが「ナッ……ちゃん……。僕……」とかすれた声を上げ崩れ落ちた。
「キャロ!」
ミアも全身を震わせながら「ナツメ……さん。ごめんなさい……体が……」と苦しそうに訴えると、紫煙の絨毯に倒れこむ。
「ミア!」
「哀れじゃのう。おぬしは仲間も守れず、ここで朽ち果てるのじゃから」
マリーは艶やかな金髪をかき上げ、死の宣告をする。
その時、ナツメの中で〝なにか〟が切れた。
「……せるかよ」
そう言いながら、ナツメはホルスターからエリュシオンを抜く。
「そのポンコツを抜いてどうする?使えもせんじゃろう」
嘲るマリーに、ナツメはエリュシオンの銃口を向けた。
「撃て、るさ……」
——そうだ。キャロルもミアも絶対に死なせない!死なせてたまるか!!オレが、俺が守るんだ。
ナツメは全神経を銃に集める。黒塗りの銃身が眩く輝き出す。
——発動しろ。しろよ!ポンコツ銃が!今、やらなきゃ……みんなが。
「キャロルも……ミアも……二人とも死なせない!」
ナツメの叫びに呼応するかのように銃口に光球が浮かび、徐々に大きさを増していく。
マリーの顔色が変わった。
「まさか……」
ナツメは渾身の力を込めて叫んだ。
「いっけえええぇぇぇっ!」
銃口から巨大な光球が波動のように打ち出される。波動砲は青白い光りの弧を描きながら、出入口を塞いでいた煙を消し飛ばす。
エリュシオンの放った光線は、数キロ先の湿地あたりで消失した。
出入り口は見事なほどに粉砕され、マリーのディオーネが充満させていた煙も室内からすっかり消えている。
「やっ……た……」
放心状態のナツメはその場に座り込んだ。
「——キャロ!ミア!大丈夫か?」
かくいう俺自身も毒の影響か、身体に痺れが走り動けない。
「う…うぅ……」
呻くキャロにナツメが呼びかけた。
「お…にい……ちゃん?」
キャロルが目をこすりながらムクっと起き上がった。
「……キャロ。お前、身体はなんともないのか?」
「う、うん。なんか急に眠くなっちゃって……」
——眠い?毒に侵されてたんじゃないのか。




