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「で、本題なんだが……報奨金の額は銀貨三十枚ってことになった」
「三十……ですか」
「お前さんも耳にしてるだろうが、ポトラ村の連中がトレジャーハンター協会に損害賠償を求めてきてな。パラメリア王国がお前さんに出す報奨金の六割、つまり銀貨六十枚は村の修繕費に取られることになった。残りの一割は協会規定に従って、俺たちが受け取る。お前さんに異議や言い分があるなら聞ける範囲で検討するぞ。なにせ討伐したのは——」
「いや、特に不服なんてないですよ。銀貨三十で十分です」
ロック本部長は、ナツメの顔をしげしげと見つめていたが、やがて「そうか。お前に文句がないなら、これにて一件落着だ」と言いながら柔和な表情を浮かべた。
ナツメからしてみれば銀貨三十枚でも相当の額だ。俺とキャロルとミアの三人で山分けしても一人頭、銀貨十枚。当面は生活に困らないほどのお金である。
「お前を二級ハンターにクラス上げするよう、口添えしといてやる」
そう言い残すとロックは奥の部屋へ戻っていき、代わりに黒髪の受付嬢が布袋を持って受付に帰ってきた。
布袋には銀貨三十枚が入っており、受領のサインを済ませたナツメは袋を片手にトレジャーハンター本部の外に出た。
「あ、ナッちゃんだぁ!どう、どう?報酬はきちんと貰えた?」
本部の前にある石畳の階段でミアの猫耳を撫で、じゃれ合っていたキャロルがナツメに声を掛ける。
「ああ」と言いながら、ナツメは周囲をぐるっと見渡す。キャロルが報酬はどうだった、などという発言をしたからだ。
ロザリアはパラメリア国内でも治安が際立って良いが、お金や分け前の話を公共の場所でやり取りするのは愚の骨頂である。
ナツメは二人に手招きし、トレジャーハンター協会の敷地内にある協会員のみが使用を許可されている宿泊施設に入った。
施設には個室も用意され、小額の代金で寝泊まりすることが出来る。




