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「ミーちゃんは、やっぱり凄く優しいよ!うちのバカ兄とは大違い」
キャロルは一転して瞳を輝かせる。
「お前な……ミアも嫌なことは嫌ってハッキリと言っていいからな!キャロはパーソナルスペースが狭すぎる上に、空気読めないとこあるし……」
「うるさい!単純にナッちゃんの心が、蟻の巣みたいに小さくて狭いだけじゃん!」
「あの……私のことでお二人が喧嘩される方が、私は……悲しいです」
ミアが悲しそうに呟く。
ナツメとキャロルはバツが悪くなり口論を止めた。ナツメは気を取り直すと、二人に「とにかくトレジャーハンター協会本部に行こう」と二人を先導して歩き出した。
トレジャーハンター協会本部は、ロザリアの南西部に建てられていた。ナツメはキャロルとミアに入り口手前で待っててくれ、と告げ本部の建物に入って行った。
ここに来るのも久しぶりだ。ハンターになる為に、養成所に通っていたとき以来か。
本部の建物は五十坪、メートルに直すと百六十五平方メートル程の広さで三階建ての造りとなってる。
一階の受付にいる黒髪の女性に、フライスネークの件できた旨を伝えると「確認しますので少々お待ち下さい」と受付嬢は奥の部屋に消えていった。
暫くすると見事な口髭を生やし、褐色の肌をした大柄な男が奥の部屋から出てきた。
「よう、お前か。カテゴリー三のフライスネークを討伐したってヒヨっ子は」
ドスの効いた声を響かせる、この男こそパラメリア王国のトレジャハンター協会を取り仕切るロック本部長、その人だった。
「え、ええ……はい、そうですね。一応」
ナツメはロックの気迫に気圧されながら返答する。
「一応?」
ロックが怪訝な表情を浮かべたので、ナツメは慌てて「いや、俺がフライスネークを倒したナツメです」と言い直す。ロックは大きなどんぐり眼をナツメに近づけた後「がはは!」と笑い出した。
「冗談だよ、冗談。お前さんのことはパラメリア兵団から報告を受けてる。ポトラ村に居座ってた、あの異形種は兵団も手を焼いていたらしいんでな。それを、まさか駆け出しの三級ハンターが退治しちまうなんて。俺も正直、報告を受けた時は耳を疑ったぜ」
——冗談ってなんだよ、とナツメは心中でぼやいた。
「いや……本当、自分でもびっくりしてるっていうか。なんていうか。ビギナーズラックってホントにあるんだなと思いました」
無意識に頬をポリポリと掻いていたナツメに、ロックが突然「馬鹿野郎!」と怒鳴り声を放った。
「運や奇跡でカテゴリー三の異形種を倒せるかっ!百歩譲って、そうしたもんであの大蛇を倒したのだとしても、それも含めてお前さんの実力だ!」
「そ、そうですね……」
褒められてるのか、叱られてるのか分からないな、と感じながらも取り敢えずナツメはロックの言葉に同意した。




